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少頭数でも、このメンバーで勝った価値は高い
文/編集部(T)、写真/森鷹史


昨年まではOP特別として開催されていた京都2歳Sが、今年から重賞に格上げされて“第1回ラジオNIKKEI杯京都2歳S”となった。

名前は受け継いだが、フルゲートも珍しくなかった年末のラジオNIKKEI杯2歳Sとは違い、今回は8頭立てでの開催。90年以降の京都2歳S(京都3歳Sも含む)で、もっとも頭数が多かったのが95年の13頭立てで、24年中14年が9頭立て以下だったところを見ると、レース名が変わって重賞となっても京都2歳Sとしての性格を継承した形となった。

一方、昨年まで関西で30回開催されていたラジオNIKKEI杯2歳Sが今年は中山に移り、名前も変えて“第31回ホープフルS”となった。今後クラシック登竜門としての性格は、G2となったホープフルSが受け継いでいくのだろう。

とはいえ、少頭数だからといってこのレースのレベルが低いわけではなく、90年以降の京都2歳S勝ち馬を見ても、92年エルウェーウィン、93年ナリタブライアン、01年アドマイヤドン、02年エイシンチャンプ、09年ヴィクトワールピサ、12年エピファネイアと、後にG1を制した馬も多い。

そして、今年も前走でレコード勝ちを飾ったティルナノーグをはじめ、ダノンメジャー、エイシンライダーと2戦2勝の馬が3頭出走し、楽しみなメンバー構成となった。どれが勝ったとしても、来年のクラシックで有力視される存在になっただろう。

ところが、勝ったのはこの3頭ではなく、単勝6番人気に甘んじていたベルラップ前半1000m通過が63秒1というスローペースとなったが、前にいた2頭を直線で競り落とし、②着ダノンメジャー、③着シュヴァルグランの追撃を振り切って初重賞のゴールを切った。

スローペースの中、ティルナノーグ、ダノンメジャーという上位人気2頭が後方に控える展開で、ベルラップは終始3番手での競馬。展開利に加え、ベルラップ自身が直線で蛇行して後続に影響を与えた面もあった(注:騎乗していたビュイック騎手には5万円の過怠金が課せられた)にせよ、最後までしっかり伸びて先頭を譲らなかったのは強さの証明だろう。

ただ、②着に敗れたダノンメジャーはもちろん、メンバー最速の上がりで差し込んだ③着シュヴァルグランも、まだまだ上積みが見込めるはず。⑦着に敗れたティルナノーグは道悪に泣いた格好だが、良馬場なら巻き返しは必至。今回のメンバーを中心に来年のクラシックが回っていったとしても、何ら不思議はないだろう

そんな中で、今回は人気薄でも勝ち切ったベルラップ。父はハーツクライ、母父シンボリクリスエスで、まだまだ成長が見込めそうだし、距離延長がマイナスになるとも思えない。前述したナリタブライアン、ヴィクトワールピサ、エピファネイアなどに続く可能性は十分ありそうだ。今後に期待したい。

話は変わるが、最初にこのレース名を聞いた時、皆さんはどう感じただろうか。自分は「とってつけた感が否めないなあ…」と同時に、07年から今年まで開催されていた“サウジアラビアロイヤルC富士S”を思い出した。

これは、かつて開催されていたサウジアラビアロイヤルC富士Sをくっつけたもの。そうこうしているうちに、今年から重賞に格上げされたいちょうSが、来年からはサウジアラビアロイヤルCとなり、再び“独り立ち”を果たすことになった。

ところで、06年以前のサウジアラビアロイヤルCがどんな条件で開催されていたか、皆さん思い出せるでしょうか(注:03~06年は5月の東京ダート1600mで、OP特別として開催されていました)。自分はうろ覚えでした。

それと同じで、ラジオNIKKEI杯2歳Sはかつて阪神開催で、ホープフルSに名前が変えられて、その際にラジオNIKKEI杯の名前が京都2歳Sにくっついて……といったことを、自分はいつまで覚えていられるだろうか、とも思う。さらに各レースの歴代勝ち馬となると、それぞれがこんがらがって、まったく自信がない(笑)。

重賞の格付けを維持するためとは承知しているが、2歳重賞はそれぞれ重要なレースなので、今後はレース名をできるだけ変えないようにできないでしょうか。けっこう切実です(笑)。