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過去2年と同じ戦法で待望の中央G1初制覇
文/平松さとし、写真/川井博


ジャパンCダートチャンピオンズCとして生まれ変わった。

施行場が阪神から中京に変更され、これを機に名称が変わったのだ。そして招待レースでもなくなったのだが、皮肉なことにそうした途端、アメリカからホンモノのダート馬がやってきた。やはり、北米の競馬場同様の左回りに戻った(07年までは左回りの東京競馬場で施行)ことも大きかったのだろう。

その北米から乗り込んできたのはインペラティヴ。1枠1番からスタートを切った。

同馬は近走成績が冴えないため、それほど人気にならなかったが、戦ってきた相手が一流馬ばかりであることを考慮すると善戦しても不思議ではないとみる向きもあった。

とはいえ、迎え撃つ日本勢はそれ以上に強力な布陣。ダートのいわゆる最強クラスが顔を揃えた。

その中で1番人気に推されたのはコパノリッキー。今年のフェブラリーSの覇者だが、当時は16頭立ての16番人気。単勝は272.1倍とまったく人気がなかった。

しかし、そのG1を快勝すると一気に本格化。続くかしわ記念も勝利。帝王賞こそ折り合いを欠いて②着に敗れたが、JBCクラシックも優勝。今年だけで三つ目のG1(Jpn1)を制し、ここに臨んでいた。

2番人気はホッコータルマエ。春にはドバイへ遠征するも惨敗。その後、体調を崩したが立て直してJBCクラシックで復帰。④着に敗れたものの見せ場は作っており、ひと叩きされた今回は上積みが見込め、対抗に支持された。

3番人気はローマンレジェンド。夏のエルムS以来だが、今年初戦だったそのレースを勝っていたことから人気の一角に推された。

そんな人気各馬の明暗を分けたのはスタートだった。

人気のコパノリッキー立ち遅れ気味で後方からの競馬に。それとは対照的に好スタートから楽に先行したのがホッコータルマエだった。

「前で競馬をしようとは思っていたけど、考えていた以上に楽に前へ行けました」とは手綱をとった幸英明の弁だ。

クリノスターオーの逃げはそのホッコータルマエら前に行った馬たちに味方した。

名手R・ムーアが逃げたためか前にいるはずのコパノリッキーがいなかったせいか、どの馬(騎手)も金縛りにあったように動かない。前半5ハロンの通過タイムは62秒3。遅い。

馬群はひと塊りになり直線へ向く。するといっぱいになったクリノスターオーと入れ替わるようにホッコータルマエが先頭に立った。直線早目先頭という競馬は昨年、そして一昨年のジャパンCダートでみせた競馬ぶりと同じ。しかし、そこから先が違った

一昨年はニホンピロアワーズに並ぶ間もなくかわされ、昨年はソラを使ったか急激に止まったものの、今年はなかなか捉まらない。

コパノリッキーは後方でもがいたままだったが、ナムラビクターローマンレジェンドが追い上げてきた。しかし、「とにかく必死に追った」というの檄に応え、最後まで先頭を譲ることなくゴールを駆け抜けた

「やっと中央のG1を勝たせることができました」

は瞳にうっすらと涙を浮かべてそう語った。

先日のマイルチャンピオンシップダノンシャーク同様、思えば昨年の1番人気馬。昨年とは舞台を変えた今年、1年遅れで花開いた。ドバイからの帰国後、かなり体調を悪くしたらしいが、見事にリカバリーした陣営の努力にも敬意を表したい。

(文中敬称略)