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丸田騎手の腹をくくった騎乗に翻弄された
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也


出走馬を見渡した時、逃げ&先行型は内枠にも真ん中にも外枠にも、万遍なく散らばっていた。

前走で逃げていた3頭(ダノンレジェンドエイシンゴージャスサウンドガガ)は、内目に2頭(ダノンレジェンドエイシンゴージャス)、外枠に1頭(サウンドガガ)という布陣。その他、先行力のあるサトノプリンシパルは真ん中で、スリーボストンナンチンノンが外目の枠に入った。

逃げ&先行型は、もちろんマイペースの逃げに持ち込む形がベストなのだろうが、ハナを奪っても他馬に絡まれたりしたらひとたまりもない。好位追走から直線で抜け出す形を採れればそれに越したことはなく、そのようなジョッキー心理は確かに存在したのだと思う。

外目に入った先行型の3頭(スリーボストンナンチンノンサウンドガガ)のうち、ナンチンノン以外の2頭(スリーボストンサウンドガガ)は好スタートを決めた。この2頭は行こうと思えば行けたのだろうが、それぞれの鞍上に無理する素振りは見られなかった

結果を見れば、逃げてりゃ良かったじゃないか、と言いたくなるところだが、いわゆる「内の先行馬を見ながら進められる枠」だったことと、過去に控えて勝った実績があったことが影響したのだろう。スリーボストンは2~3番手からの抜け出しでOP特別2勝を挙げていたし、サウンドガガは中山ダート1200mの準OP(仲冬S)を5~6番手から差し切ったことがあった。

一方、真ん中から内枠の3頭(ダノンレジェンドエイシンゴージャスサトノプリンシパル)も好スタートを決め、ハナを奪おうと思えば取れそうなスピードを見せていた。だが、エイシンゴージャスサトノプリンシパルは行かなかった。最内枠スタートだったダノンレジェンド丸田騎手が押して行き、その姿が目に入ったのかもしれない。結果的にダノンレジェンドがハナに立ち、残りの14頭を引っ張って行った。

ダノンレジェンドが1~2馬身の差を付けながら飛ばしていく姿を見て、「これはまずいなあ…」と感じていた。というのも、ダノンレジェンドを穴ぐさ💨に挙げていなかったからだ。

ダノンレジェンドは準OPでの2勝が5馬身差(なにわS)と3馬身半差(テレビ静岡賞)で、OP通用の力がありそうなことは感じていた。ただ、揉まれ弱い面があり、過去の9連対は5~8枠で記録していた。今回の最内枠というのはこの馬にとって「最悪な枠順」に見え、評価を下げてしまったのだ。

揉まれる心配が小さい枠で、なおかつ、控えても好走したことがある馬を高評価してしまったのだが、終わってみればそれは安全な道を選んで失敗するパターンだった。攻める気持ちが足りなかった……。

もしかしたら、その気持ちは他のジョッキーも同じかもしれない。ダノンレジェンド丸田騎手腹をくくった騎乗を見せ、他のジョッキーはそれに翻弄される形になった。

前半3Fを33秒3、4Fを44秒9というハイペースで飛ばし、良馬場の中山ダート1200mを1分9秒5というタイムで走り切ったのだから、ダノンレジェンド強烈に強かったとしか言いようがない。

中山ダート1200mのレコードタイムは1分8秒7(08年カペラSビクトリーテツニー09年千葉Sガブリン)で、今回はそれには及ばないから報道もされないだろうし、もちろんレコード賞も出ないのだろう。だが、この時計は非常に立派で、これまで良馬場の中山ダート1200mでのベストタイムは1分9秒5(01年ガーネットSビーマイナカヤマ)だった。今回のダノンレジェンドはこれに並ぶタイムで、「隠れレコードタイ」と言ってもいいものなのだ。

今回のレースを見て、ふと思い出したのは、マイケル・キネーン元騎手の言葉だ。「ジョッキーにいちばん大切なことは“勝ちたい”という気持ちだ」というもの。ダノンレジェンド丸田騎手は最内という枠順を見て、ハナを取り切る気持ちを強くしたのではないか。その強い気持ちが今回の快勝劇につながったのだと思う。

余談になるが、今回はレース前にシルクフォーチュンが左肩ハ行を発症し、競走除外となって15頭立てに変わった。シルクフォーチュンは追い込み馬なので、出走していてもレースのペースに影響があったとは思えないが、ひとつだけダノンレジェンドにとっては追い風が吹いたように感じられる出来事があった。

3枠5番という枠順だったシルクフォーチュンが除外となり、残りの15頭はシルクフォーチュンが入るはずだった位置を詰めてゲートインした。今回は除外となった馬が内目の枠だったためか、詰めたのは馬番6番より外枠の馬ではなく、馬番1~4番の4頭だった。この4頭が通常よりもひとつずつ左のゲートに入って発走された。

最内枠だったダノンレジェンドは、ひとつ左、つまり、本来は馬番2番の馬が入るゲートとなり、内ラチとの間に1頭分のスペースができた。

まあ、ゲートは内ラチぴったりに置かれているわけではなく、普段から安全確保のために余裕は持たせたレイアウトをされているわけだが、それにしても今回は、その内ラチ沿いに1頭分の余裕が生まれたわけだ。逃げたい馬にとってこの出来事は、ちょっとした追い風になったのではないかと思う。