勝ち負けはついたが、上位2頭とも好スタートを切った
文/浅田知広
以前は1週間以上も
中央競馬がなければ、もう馬券を買いたくて仕方がなかったもの。しかし、近年は
地方競馬の馬券もネットで買いやすくなり、
中央競馬の間隔が少しくらい開いても、競馬をじゅうぶんに楽しむことが可能だ。ましてや地方でも重賞が多い年末年始。
有馬記念と
金杯の間がもう少し開いても良いかなあ、という今年の日程だった。
さて、みなさんはどのようにこの年末年始を過ごされただろうか。ちなみに
当方、もちろん
地方競馬の馬券を買いまくったのだが、その成績は……。きっちり控除率分を持って行かれ、多くのレースを買った分、
損失も増えるという滑り出しになってしまった。
ともあれ、そんな地方三昧も終わって、今年は1日早い4日の
中央競馬でリスタート。初っ端の重賞・
中山金杯には、同コースの
皐月賞を13年に
レコードタイムで制した
ロゴタイプが出走してきた。
ほかにも、前走・
秋の天皇賞や
13年の有馬記念で④着の
ラブイズブーシェ、
13年秋の天皇賞④着・
アンコイルド、
11年のダービー④着・
ナカヤマナイト。そして、近年は不振とはいえ
秋の天皇賞②&③着がある
ペルーサと、今回の人気はさておき、G1で上位を争った経験を持つ実績馬がずらりと揃った。
しかし、
中山金杯はG3のハンデ戦。これら実績馬に挑戦状を叩きつける新勢力も多く参戦しており、その筆頭格は
マイネルミラノ。昨年2月・ブリンカー装着2戦目から
6戦4勝②着2回(そのうち中山は3戦全勝)で一気にオープン入りを果たした上がり馬だ。
さらに、
デウスウルトは長期休養もあって明け7歳ながら、前走の
チャレンジC②着で重賞初連対。こちらも新勢力の括りでいいだろう。
ロゴタイプが
皐月賞後に勝てていないこともあって、同馬が1番人気でも単勝4.4倍と
混戦模様でレースを迎えた。
レースを先導したのは新勢力・
マイネルミラノで、前半の1000m通過59秒4は昨年と同じ。その前の10~13年は60秒6以上。59秒台の昨年は
オーシャンブルー以下、差し馬が上位を独占していた。加えて、馬群も中団あたりがバラバラで全体は縦長。通過タイムからも、見た目からも、昨年同様に差し馬が上位を占めそうな道中だ。
そんな流れで迎えた4コーナー。好位を追走していた
ロゴタイプが早々に前を捕らえにかかり、直線に入ると一気先頭へ。強い馬が先行策から前のグループを「掃除」して、②~③着には差し・追い込み馬。この時点でもまだ、ハイペースの競馬ではよく見られる結果が想像された。
ところが、その
ロゴタイプを追って伸びたのは、好位集団の内で気配を消していた
ラブリーデイだった。これまで、
13年の金鯱賞②着など重賞で②着3回。しかし、重賞勝ちもなければG1も
ダービー&
朝日杯FSの⑦着が最高で、近走も4戦連続④~⑥着。実績馬と言うには物足りず、かといって新勢力でもなし。しかしハンデは実績馬並みの57キロ。今回のメンバーでは立ち位置も微妙で、人気も「なんとなく好走しそう」といった感じの4番人気の6.1倍。そんな馬が、レース終盤で
主役の座を奪うべく、
ロゴタイプに襲いかかった。
こうなると、結果的に少し強い競馬をしすぎてしまった
ロゴタイプは苦しい立場に追いやられる。終いまでよく伸びて、自身の
レコードタイムと同じ1分58秒0では走りきったものの、
ラブリーデイは一気にこれを交わしてその1馬身少々前。
新レコード・1分57秒8でゴールを駆け抜け、
13年の皐月賞、
ロゴタイプから1秒9差の⑮着大敗から1年9ヵ月を経ての大逆転劇だ。
少し速いかと思われた前半59秒4だったが、後半の1000mはさらに1秒速い58秒4。終わってみれば平均より遅め、あるいはスローペースと言えるほどで、それだけ馬場状態が良好だったということだろう。
勝った
ラブリーデイは速い脚に少々欠けるタイプながら、上がりが速い中でもロングスパート勝負気味の展開がズバリはまった印象だ。思い返せば13年、
メイショウナルトが抜群のタイミングでスパートした
小倉記念では、これを追って脚を伸ばし
レコードタイムの②着に好走。その
メイショウナルト役が今回は
ロゴタイプ、そして今度は直線に急坂があって差し切り勝ちである。
これまでは左回りや直線の長いコースで「大崩れなく」走ってきたが、「勝ち切る」にはこういった展開がベストとも思える競馬だった。前半の古馬G1なら
宝塚記念が向きそうな印象だ。
敗れた
ロゴタイプも、ここではさすがG1馬という走り。強気のレース運びが自分の形だけに、こういった敗戦は致し方なし。完全復活へ向けての足がかりはしっかり作った競馬だった。重賞初制覇の
ラブリーデイ、復活の狼煙を上げた
ロゴタイプ。
それぞれに勝ち負けはついたものの、ともに好スタートを切ったと言えるだろう。これとは対照的に、リスタートに
失敗して東西の
金杯が終わってもまだ
ゲート内にいる
当方。さてさて、どうしたものやら。