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条件、展開、馬の地力が上手く噛み合った結果の逃げ切りV
文/編集部(W)、写真/稲葉訓也


「ウチの長男の誕生日が金杯の日(1月5日)なんですよ」

競馬に携わる仕事をしている者として、かなりキャッチーなセリフである。出産間際は「大晦日だったらどうしよう…」「元旦だったらどうしよう…」とそわそわしたものだが(大晦日でも元旦でもどうもしないのだが)、いまとなっては金杯の日(1月5日)に産まれてくれてありがとう、と思っている。

だから、1月4日に金杯が行われると、上記のセリフを言う時に若干もやもやするからやめてほしいです(笑)。日曜日に組んで、少しでも馬券の売り上げアップを目指すというひとつの策なのでしょうけどね。

そんな「1月4日の金杯」に関する個人的な感想はさておき。京都金杯の単勝人気を見ながら思ったことはふたつ。「グランデッツァの単勝が思ったほど売れていない」「馬番8番以内に上位人気馬が固まっている」というもの。

グランデッツァは最終的に4.1倍で1番人気に支持されたが、1番人気に長く就いていたのはフルーキーだった。都大路Sレコード勝ちし、マイルCS③着という実績があれば、頭ひとつ抜けた1番人気に推されても不思議ないのだが、トップハンデ(57.5kg)が嫌われたのか、安定感に欠ける近走成績に不安を感じたのか、はたまた他に魅力的な馬がたくさんいたのか。

中山金杯ロゴタイプが人気が割れた中での1番人気(4.4倍)で、こちらも[3.0.1.0]の中山巧者でありながらトップハンデ(58kg)近走不振という馬だったから、買いたい要素嫌いたい要素が表裏一体で、揺れ動くファン心理が反映された1番人気だったということか。

一方、馬番8番以内に上位人気が固まっているのは、表にすると一目瞭然。

馬番 馬名 人気 着順
1
エキストラエンド 4
2
マイネルメリエンダ 7
3
ショウナンワダチ 12
4
ウインフルブルーム 5
5
シェルビー 3
6
メイショウヤタロウ 15
7
フルーキー 2
8
グランデッツァ 1
9
アクションスター 11
10
ダノンヨーヨー 16
11
ブレイズアトレイル 10
12
レッドデイヴィス 13
13
コアレスドラード 18
14
シャイニーホーク 17
15
ニシノビークイック 14
16
アズマシャトル 6
17
ホウライアキコ 8
18
ミッキーラブソング 9

上位人気5頭は馬番8番以内に収まっていて、最終的に7番人気となったマイネルメリエンダもレースの発走直前までは6番人気だった。『メインレースの考え方』でも書かれていたように、09年以降、馬番8番以内が[6.6.4.32]、馬番9番より外枠が[0.0.2.45]と明暗がくっきりと分かれていた、この内枠有利の傾向を多くのファンが意識していたのかもしれない。

これだけ傾向が顕著だと、ジョッキーも内を意識するあまり、内がゴチャついて、そろそろ外枠が来る頃ではとか思いたくもなるが、今年も馬番8番以内が連対圏内どころか、馬券圏内、挙句の果てには掲示板内まで占めてしまい、これで7年連続で京都金杯は内枠を買っておけばいい」という結果に。

そんな内枠有利のレースに、先行有利な流れも付け加えたのが、レースの主導権を握ったウインフルブルーム&池添騎手だった。1000m通過は58秒8で、マイルドな平均ペースといったところ。過去10年(05~14年)のうち、1000m通過が58秒8以上だった年は5回もあり、言うなれば京都金杯でよくあるペースである。

ただ、06年ビッグプラネット、07年マイネルスケルツィ、11年シルポートと、過去10年の京都金杯で逃げ切りを決めた3頭の1000m通過は58秒8~59秒1で、池添騎手はレース後の勝利騎手インタビューで「ペースを落とし過ぎないように自分のペースで行こうと思った」と話していたが、逃げ切る上で、ペース配分が絶妙だったのは確かだろう。

もちろん、それを遂行できたのはウインフルブルームの実力があってこそ。マイペースで運び、ハンデ差があったとはいえ、勝負所で2番手のグランデッツァにビッシリと競り込まれ、直線でも一旦交わされながら差し返す根性を見せた。グランデッツァがG1③着馬なら、こちらも同じ(皐月賞&朝日杯FS③着)。その実績はダテではなかったと言える。

ダービーは左肩跛行で出走取消となり、秋初戦の神戸新聞杯は輸送で馬体を減らした影響もあって⑬着と大敗チャレンジCは先行馬に厳しい流れではあったものの⑧着と崩れ、最近、重賞では良いところがなかったが、得意の形(逃げた時は①①③①①着)、舞台(平坦コースは①②①①着)、距離(芝1600mは①③②①着)で、見事に重賞初制覇を果たした。約1年前。同じ舞台のシンザン記念では逃げたミッキーアイルに半馬身差届かず②着だったが、今回は立場逆転である。

②着エキストラエンドはクビ差で惜しくも連覇を逃す結果となったが、内枠を活かして内、内でロスなく立ち回り、改めて京都巧者であることを証明してみせた。ディープインパクト産駒の京都芝外1600m重賞の出走機会6連勝もストップとなったが、1頭のみの出走で連対を確保したのだから悲観することもないはず。

グランデッツァは1番人気で⑤着に敗れたが、レース上がりは都大路Sが34秒4、マイルCSが34秒8に対し、京都金杯は34秒0だった。トップハンデが影響した面もあるとは思うが、もっと厳しいペースで、もう少し上がりのかかる展開が望ましかったのではないだろうか。