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この流れではまだまだどんでん返しもありそう!?
文/浅田知広、写真/森鷹史


昨年は2歳の重賞戦線に大きな変更が加えられたが、その陰でひっそり復活していたのが牝馬限定の500万・赤松賞だった。阪神JFへ向けたステップとしての役割はアルテミスSに譲り渡したが、その分、と言っていいのか、今年のフェアリーSには赤松賞出走馬11頭中7頭が駒を進めてきた。

今回のメンバーはほかにも対戦経験のある馬が多く、アルテミスS出走馬が4頭、そして阪神JF出走馬も3頭。G1ならまだしも、この時期の3歳G3でこれだけ多いのは珍しい。過去のこのレースを調べてもこれほどの年はなく、逆に10年は出走16頭全馬初対戦というメンバーで行われていた。

もっとも、対戦経験があれば力関係がはっきりしているとは言えないもの。加えて、これら3レースは東京や阪神外回りの1600m戦で、今回の中山芝1600m戦に直結するとは限らない。

さらに、中山芝1600mといえば外枠不利だが、今の外差しが決まりつつある馬場状態で、果たして内枠ばかり買って良いものかどうなのか。同じく内枠有利だったはずのシンザン記念で、7~8枠4頭が上位を独占した翌日でもあり、あれこれ考えればキリがない、単に「牝馬戦」という以上に難解な一戦だった。

ただ、いくら難解といってもこのコースで外枠に距離損があるという事実は変わらず、スタート直後に前のグループを占めたのは4枠以内から出た6頭ほど。2コーナーでこの中からノットフォーマルが先手を奪うと、他の各馬はがっちり抑え、ゆったりしたレース展開に落ち着いた。

画面に表示された前半600mの通過参考タイム35秒7は、12、13年とまったく同じ。ただ、12年はトーセンベニザクラが差し切り、13年はクラウンロゼの逃げ切りと、この2回はまったく違う結果に終わっている。

さて今年はどうなのかと思えば、向正面半ばで後方の外からローデッドが一気にスパート。1番人気のカービングパスや、2番人気のコートシャルマンは好位でうまくやり過ごしたが、この動きが徐々に波及して3番人気のテンダリーヴォイスは内で後方まで下がってしまった。もちろん、ペースアップを強いられる先行勢も楽はできない形になり、もし4角手前で馬券を買えるなら1、2番人気の2頭かという態勢に思われた。

しかし、直線に向くと態勢は一変。人気の好位勢が今ひとつ伸び悩む一方、望まない形でペースを上げざるを得なかったノットフォーマルが、後続を突き放してリードは2馬身。そして、向正面でマクったはいいが、4角大外のロスが大きかったローデッドが再び2番手へ進出。さらに、そのローデッドの動きで後方に下がったはずのテンダリーヴォイスが、いつの間にやら内から盛り返して3番手という残り100mである。

いったいなんなんだこの展開は、と思っている間に、そのままノットフォーマルが押し切って重賞初制覇。大挙出走した赤松賞組では下から3番目の⑧着馬。上がり33秒6は4頭横並びの1位で、振り返れば確かにそれなりの脚を繰り出していたとはいえ、それでも先着を許した馬が4頭もいる⑧着である。

夏には洋芝・小回り札幌のクローバー賞②着があったが、そこでもトーセンラーク(今回⑦着)に振り切られており、ヘンに赤松賞組やら対戦成績やらに注目してしまった時点で買いづらい馬だった。

では、適性は……という話で、あれこれほじくり返せば、本馬と同じくマンハッタンカフェキングマンボの血を持ついとこ・ダイワバーバリアンが、中山芝1600mの朝日杯FS③着に、ニュージーランドT②着と、なんとか正解にたどり着ける要素はあった。ただ、父ヴァーミリアンといえばやっぱりダート。ここで正解するより、ダート初挑戦のエーデルワイス賞(2番人気⑫着)でハズレを引いた方のほうが圧倒的に多いはず。実は当方もその一人である。

ともあれ、これで現3歳世代の牝馬重賞は9番人気ココロノアイ(アルテミスS)、14番人気クールホタルビ(ファンタジーS)、5番人気ショウナンアデラ(阪神JF)ときて、今回が11番人気ノットフォーマル荒れ放題阪神JFの上位3頭が馬券圏外なしと安定してはいるものの、この流れではまだまだどんでん返しもありそうな印象だ。

そんな視点でレース見れば、今回はロスのあった②&③着のディープインパクト産駒ローデッドテンダリーヴォイスあたりは、コース替わりで逆転も十分。もちろん勝ったノットフォーマルも……、いや、先に挙げたいとこのダイワバーバリアンNHKマイルC②着馬でもあり、こちらは桜花賞後に要注意か。中山向きだと思い込んでいたところで再び激走、ということもあるかもしれない。