今年も“格”がモノをいう結果となった
文/編集部(T)、写真/森鷹史
スポーツの世界では
“格”がモノを言う場面がある。例えば現在開催中のテニスの全豪オープン。
錦織圭選手が26日に対戦予定の
フェレール選手は名の知れた強豪で、実際2年前の全豪では敗れているが、当時は
フェレール選手が世界5位、錦織選手は18位だった。
それが今年は
錦織選手が5位で第5シード、フェレール選手が10位で第9シードの対戦。昨年は4戦して
錦織選手の4勝だった。素人が見ると、
「今は格上だし、今回も勝てそう」となる(実際に対戦する選手はそう思ってないでしょうけれど……)。
サッカーなどもそうだが、ランキングという形で明確に順位付けすることの理由は、
“格”というものを分かりやすくするためなのかもしれない。
競馬の場合、
“格”は勝ったレースのグレードで測れる。
東海Sがこのコースで開催されるようになって今年で3年目となるが、過去2年の勝ち馬は13年が
グレープブランデー、昨年は
ニホンピロアワーズと、
すでにG1(Jpn1)を勝ったことがある馬が制している。
芝では
札幌記念が
“G1に近いG2”と言われることがあるが、
東海Sは中央のダートで唯一のG2ということもあって、勝ち馬にも
“格”が重視されることが窺い知れる。
そして、今年も
コパノリッキー、
ニホンピロアワーズという2頭のG1馬をはじめ、
ナムラビクター、
インカンテーションなどの重賞勝ち馬が多く出走してきた。
同時期にJpn1の
川崎記念が開催されるためにメンバーが分散しがちで、今年も実際に
ホッコータルマエは
川崎記念を選んでいる。それにもかかわらず、これだけのメンバーが揃うというのは、現在のダート路線の層の厚さを示しているのかもしれない。
そんな中、注目を集めたのは
コパノリッキー。昨年G1(Jpn1)を3勝したが、このコースで開催された
チャンピオンズCは出遅れて⑫着に大敗。それにここがテン乗りの
武豊騎手が騎乗し、
スタートをうまく切れるかどうかが最大の焦点となった。
そしてスタート。注目を集めた
コパノリッキーは少し躓くような場面もあったが、問題なく好位へ。実際、この時点で勝負あったのかもしれない。今回の
コパノリッキーの位置取りは[2][2][2][1]で、ハナは
ニホンピロアワーズに譲ったが、4角では持ったままで先頭に立ち、後続を問題にせず
4馬身差の圧勝を飾った。
今回②着の
グランドシチー、③着
インカンテーションも重賞勝ち馬。結果的に今年の
東海Sは“格”が大きくモノを言ったようだが、一方で②着
グランドシチーは昨年の②着馬、④着
マイネルバイカは昨年の③着馬で、
コース実績も無視はできない印象を受ける。ここは来年以降の動向も注視する必要があるだろう。
ところで、レース前の
武豊騎手は自ら手綱を取った
スマートファルコンとダブらせるようなコメントを残していた。今回のレースぶりを見て、自分などはむしろ、同じく
武豊騎手が騎乗した父の
ゴールドアリュールを思い出したが、皆さんはどうだっただろうか。
コパノリッキーのオーナーで、Dr.コパの愛称で知られる
小林祥晃氏のツイッター(@Drcopa58)によると、3歳時に骨折していた
コパノリッキーは、オーナーと
村山師との間で
「5歳になるまで体重を増やさない」と決めていたそうだ。
その言葉を裏付けるかのように、5歳緒戦となった今回の
コパノリッキーは11kg増で、
過去最多体重の538kg。小林氏によると、
ホッコータルマエに勝つために
「体重を30キロ増やします」「今年の暮れまでにリッキーを完成させます」とのことだった。
ゴールドアリュール自身は喉鳴りのために4歳で引退を強いられたが、7~8歳でG1(Jpn1)を勝った産駒の
スマートファルコン、
エスポワールシチーを見る限り、その言葉には説得力がある。完成された
コパノリッキーの姿を見るのを、今から楽しみにしたい。