芝並みの切れ味で「成長力」を見せつけた
文/編集部(M)、写真/川井博
金曜日(1月30日)の
降雪の影響で、日曜日(2月1日)の東京競馬は
芝もダートも上がりタイムがほとんど変わらないという現象が起こった。5R以降の馬場状態と上がりタイムは次の通り。
【2月1日の東京競馬】
| レース |
条件 |
馬場 |
レース上がり3F |
| 東京5R |
未勝利 |
芝1800m・良 |
35秒4 |
| 東京6R |
未勝利 |
芝2400m・良 |
36秒1 |
| 東京7R |
500万 |
ダ1600m・重 |
36秒8 |
| 東京8R |
500万 |
芝1600m・良 |
35秒2 |
| 東京9R |
500万 |
芝1800m・良 |
35秒5 |
| 東京10R |
1600万 |
芝1600m・良 |
35秒0 |
| 東京11R |
G3 |
ダ1400m・重 |
35秒8 |
| 東京12R |
1000万 |
ダ2100m・重 |
35秒8 |
いろいろな距離や条件があったにも関わらず、レースの上がり3Fタイムはすべて
35~36秒台。8レースのうち6レースは
35秒台だった。
芝は土曜日が
稍重で日曜日が
良馬場に回復したが、2日間の中でレースの上がり3Fがもっとも速かったのは
35秒0。
34秒台のレースはなかった。良馬場発表でも明らかに
降雪の影響を受けたもので、それが差し馬台頭のレースが多くなった要因だろう。
ダートも脚抜き良い馬場となれば
決め手のある馬が台頭しやすくなるのが東京コースの特徴だが、今年の
根岸Sについては決め手のある馬重視で良いのか、確証が持てなかった。というのも、
先行勢があまりいなかったため、ペースが緩む可能性が高かったからだ。
先行しそうだったのは
ポアゾンブラック、
サトノプリンシパル、そして
グレープブランデーぐらい。その中の1頭だった
ポアゾンブラックがスタート直後に躓いて逃げられず、ペースはまったく上がらなかった。
通過ラップは35秒3-47秒6-59秒5で、これは
良馬場だった昨年とほとんど同じ。00年以降、
道悪馬場で行われたダート1400m重賞(JRA)を調べたら、該当レースが7レースあり、前半3Fが35秒台というレースは
皆無、1000m通過は56秒9~58秒5だった。これらと比較すると、今回の
根岸Sがいかに
スローだったかが分かる。
このような状況の中で、
エアハリファは好スタートを決めた後、道中で位置取りを下げ、
中団後方寄りに位置したので、レースを見ていた時は
「なんてもったいない!」と感じていた。人気を分けた
ワイドバッハと比べれば、
末脚の鋭さでは譲るものの
位置取りや
器用さでは優るのだから、負けたとはいえ、
武蔵野Sの時と同じレースをすればいいのに……と思っていた。
ところが、4角10番手で向かえた直線で、
エアハリファは他馬を次々に交わしていく。最後に大外から
ワイドバッハが差し込んできたが、今回は同馬に1馬身の差を付けて快勝した。
エアハリファの上がり3Fタイムは
34秒9で、
ワイドバッハの
34秒7には及ばなかったもののメンバー中2位の速さで、これは
自己ベスト。切れ味でも上位であることを証明してみせた。
レース後、鞍上の
三浦騎手は、
「レース前はいろいろと考えていましたが、騎乗して状態の良さを感じたので馬を信じて乗りました」とコメントした。外からは
「好スタートをした後に後方まで下げた」ように見えたが、これらはすべて
エアハリファの
リズムに合わせて騎乗した結果なのだろう。
芝並みの上がり3Fタイムを計時して、
三浦騎手が話した通り、
「成長している」姿を披露した。
エアハリファは、昨年12月の
チャンピオンズCは賞金の関係で出走が叶わず、
武蔵野Sから今回の
根岸Sまで間隔が空くことになったが、今回の優勝で次走は
3週間後の
フェブラリーS(2月22日)となりそうだ。
三浦騎手が
「東京のマイルがいちばん合うと思う」と話していたように、
エアハリファはこれまでに東京ダート1600mで4戦して
[2.2.0.0]と連対圏を外していない。200mの距離延長もまったく問題ではないだろう。
エアハリファはこれまでにOPで4勝を挙げていて、いずれも
中6~11週の時だった。
フェブラリーSは3週間後、つまりは
中2週での臨戦となるので、次走はこの出走間隔がポイントになりそうだ。
今回は
「跨った時に状態の良さを感じた」と話した
三浦騎手。果たして、
G1の舞台ではどのような感触を得ることになるのだろうか。ここから3週間、
“世界の角居厩舎”の腕の見せ所になってきそうだ。