今度は「G1の裏」ではなく、再び表舞台へ
文/浅田知広、写真/森鷹史
東京では今年最初の
G1・フェブラリーSが行われるこの日。どうしてもそちらに注目してしまいがちだが、それで検討を疎かにするとヒドい目に遭いそう、というレースが
小倉大賞典だ。
しかし、
「G1デーの他場の重賞って、そんなレースが多くないか?」と思って調べると、今年はほかに平地重賞に限ると
マーチS、
新潟大賞典、
目黒記念、
福島記念、
京阪杯、
カペラS、
ホープフルS。
福島記念まではすべてハンデ戦で、
京阪杯は3年連続で3連単46万馬券以上、そして
カペラSは創設以来1番人気の優勝がないレースである。
将来G1昇格の構想がある
ホープフルSは別にして、その他は狙ってやってるんじゃないか、というようなこの配置。馬券がおもしろそうならレースの格は気にしない方は、どうぞこちらへ。そう言われればつい食いついてしまう、なんとも有り難い
(と思って買うと、これがまた当たらない)G1の裏重賞群である。
この
小倉大賞典は過去10年だと、1~5番人気が
[3.7.8.32]で複勝率こそ
36.0%と高いものの、勝ち馬は3頭だけ。6~7番人気が5勝に加え、ふた桁人気も2勝を挙げている。上位人気が馬券圏内には来ているため、
極端な大波乱には至らなくても、
そう簡単には取れませんよ、といった傾向のレースだ。
今年の出走馬も、パッと見ではどの馬が中心とも言えないようなメンバー構成になった。フタを開けてみれば1番人気の
ラングレーが単勝4.0倍、そして11番人気の
ダコール(19.0倍)までが20倍未満。ハンデ戦らしいと言ってしまえばそれまでだが、ほぼ
「なんでもあり」と言えそうな大混戦になった。
そんなメンバーの一戦で先手を奪ったのは、一昨年に同じ小倉の
小倉記念で
レコード勝ちを収めている
メイショウナルト。そして2番手には12年の
NHKマイルC優勝馬・
カレンブラックヒルがつけ、57.5キロと58キロという重ハンデの実績馬が先導する展開。「どの馬が中心とも言えない」メンバーの中、まずは2番手につけた3番人気・
カレンブラックヒルが展開上のカギを握る存在となった。
前半の800m通過は48秒0で、重発表の馬場状態を考えれば遅くはない流れ。しかし、小回りコースで、楽に行かせてはまずい実力馬が前にいる展開、加えてみんながみんな
「チャンスあり」と思っているメンバーとなれば、後続ものんびりとは構えていない。
向正面で中団の外から
マイネルミラノが2番手まで上がると、馬群の中を突いては
コスモソーンパークがスルスルと中団まで進出。そして3角過ぎには、その
コスモソーンパークの外から
レッドレイヴンがまくって出るなど、かなり動きの激しい道中となった。
そんな
マクリ合いの展開となれば、さすがに先行勢は苦しいか……、と思って前に目を移せば、いつの間にやら
メイショウナルトは馬群に飲まれ、まったく楽な手応えで
カレンブラックヒルが単独先頭。むしろ追撃グループの手応えが怪しくなって4コーナーを通過した。
もちろん
カレンブラックヒルも脚を使ってこのリードを保っていたため、さすがに最後はいっぱいになったが、後続もほとんど脚が残っていないような
消耗戦。4角手前でいったんは失速しかけた
コスモソーンパークと、後方からほぼ「最後に動いた」と言える
ダコールが伸びたものの差し切るには至らず、
カレンブラックヒルが2頭を抑えて押し切ったのだった。
ラップタイムを見ると、残り1000mから
11秒台2連続のあとは、
12秒0-
12秒2-
12秒7。思い返せば昨年の
ダービー卿CT(稍重)も、ラスト1ハロン
12秒5で各馬とも伸びそうで伸び切れない中で、
カレンブラックヒルは内から抜け出して勝利を飾っていた。現状は落ち着いたペースで先行するよりは、今回のように
厳しい展開を自ら作った方が結果に繋がるようだ。
……と思いつつ前走・
金鯱賞(⑤着)時の
秋山騎手のコメントを見れば
「飛ばす方が合っている」とのこと。ここで得た手応えを、しっかり勝利に繋げた今回の騎乗だったということだろう。
前々走、
秋の天皇賞ではスローペースから見せ場十分の0秒3差(⑨着)だったが、これとは違う自分の形を見つけた
カレンブラックヒルと
秋山騎手。
今度は「G1の裏」ではなく、再び表舞台で輝きを放つ瞬間が訪れる可能性も大いにありそうだ。