鮮烈デビューのM.デムーロ騎手は、馬場が悪ければ悪いほど買い!?
文/編集部(T)、写真/森鷹史
今年の
阪急杯は雨が予想されていたこともあって、当初から昨年の覇者
コパノリチャードを有力視する声が多かった。さらに開催が進むにつれて雨が強まり、午前中は2倍台後半で推移していた
コパノリチャードの単勝オッズは、
最終的に1.9倍まで下がった。
それもそのはずで、このレースまで
コパノリチャードは
芝の道悪で2戦2勝。特に昨年の
高松宮記念は、不良馬場の中を好位追走から
スノードラゴンに3馬身差をつける強烈な勝ちっぷりを見せていた。
ところが、今回は
馬場以外のところに落とし穴が待っていた。押して行った
ニホンピロアンバーが飛ばし、
前半600m通過が34秒9。
ロードカナロアが制した13年のそれが良馬場で34秒4だから、
不良馬場にしては速いペースとなった。
結果的には、このペースが大きく影響したのだろう。前について行った
コパノリチャードは4角を回ったところで先頭に立ったが、最後に失速。
コパノリチャードをマークするように伸びた②着馬
ミッキーアイルを除くと、大外から鋭く差し切った
ダイワマッジョーレをはじめとして、
上位は4角で後方にいた組が占めた。
ダイワマッジョーレはここまで芝の道悪が[1.2.0.2]で、13年
京王杯スプリングCを制している。
連外に敗れた2戦は芝1600m以上だったことを考えれば、1400mのここなら
道悪を味方にできてもいいのでは……とは、
レースが終わった今だから言えることなのでしょう(苦笑)。
ダイワマッジョーレは
安田記念が大目標とのことだが、近2年の
阪急杯勝ち馬が
高松宮記念を制していることを考えても、芝1200mへの適応力を見てみたい気もする。13年
マイルCSで②着に好走している実力馬だけに、今回の勝利で大きく展望が開けてきたのは間違いないだろう。
先行して②着に粘った
ミッキーアイルも、ペースを考えれば大健闘だろう。控える競馬を試みると戦前に言われていたことで、
「大丈夫か?」と見る向きもあったが、見事に
脚質転換に成功。スピードは卓越したものがあるだけに、脚質に幅が出たことで、改めて今後に期待を持たせる結果となった。
ところで、
コパノリチャードが制した
高松宮記念で鞍上を務めたのは、今回
ダイワマッジョーレに騎乗していた
M.デムーロ騎手。この日からJRA所属の騎手として改めてデビューすることになったわけだが、いきなり鮮烈な印象を残した。
思い返してみると、
M.デムーロ騎手が印象に残る勝利を挙げた時は、なぜか
道悪や曇天の日が多い気がする。
ネオユニヴァースで制した
皐月賞は小雨(発表は良)、
ダービーは重馬場だったし、天皇皇后両陛下に最敬礼したことが話題になった12年
天皇賞・秋(
エイシンフラッシュ)も、発表は良馬場だったが、当日は昼過ぎまで小雨が降っていた。
今後も
M.デムーロ騎手とは長い付き合いになりそうなので(笑)調べてみると、
芝重賞における馬場別成績は以下のようになった。
| 馬場 |
着別度数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
| 良 |
25.9.11.108 |
16.3% |
22.2% |
29.4% |
| 稍 |
3.0.7.12 |
13.6% |
13.6% |
45.5% |
| 重 |
2.2.1.3 |
25.0% |
50.0% |
62.5% |
| 不 |
2.0.0.0 |
100.0% |
100.0% |
100.0% |
複勝率ベースで見ると、
馬場が悪ければ悪いほど好成績を残していた。欧州のジョッキーは不整地の馬場で競馬をすることが多いので、道悪が得意なのか……と思いきや、残念ながら騎乗停止になってしまったが、同時にJRA所属となった
ルメール騎手は以下のような成績だった。
| 馬場 |
着別度数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
| 良 |
13.15.12.80 |
10.8% |
23.3% |
33.3% |
| 稍 |
1.1.1.10 |
7.7% |
15.4% |
23.1% |
| 重 |
0.0.1.6 |
0.0% |
0.0% |
14.3% |
| 不 |
0.0.0.2 |
0.0% |
0.0% |
0.0% |
一目瞭然で、
M.デムーロ騎手とは真逆の傾向を示している。
自分がまだ読者だった時代に
「金満血統王国」で提唱されていた格言で、未だに忘れられないものに
『雨の日はキングマンボで』がある。それをもじって、今後は
『雨の日はM.デムーロ騎手で』を提唱したいと思うのだが、どうでしょう?