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上位馬はひとまず桜花賞、オークスへ向けて注目
文/浅田知広、写真/森鷹史


牡馬クラシック路線の弥生賞やらスプリングSのメンバーを見ていると、やたらと実績馬が多いように思えるが、これは昨年から2歳重賞が増えた影響だろうか。一方、こちら牝馬路線は2歳女王ショウナンアデラ戦線離脱で、どうやらルージュバック(3戦3勝、きさらぎ賞)の1強ムードが強まってきた。

しかし、戦績としては同じく無傷の3連勝で重賞制覇を果たした馬がほかにも2頭。クイーンCを制したキャットコイン、先週のフィリーズレビューを差し切ったクイーンズリング。そして例年なら「最有力前哨戦」となるチューリップ賞の覇者ココロノアイは、2度の敗戦こそ喫しているものの、この世代唯一の重賞2勝牝馬だ。

確かにルージュバックは強烈だが、「いかにも強そうだから」1強ムードなだけで、別に「ほかが弱そうだから」1強ムードになっているわけではない。そんなレベルの高い争いに加わっていくのはどの馬か。桜花賞へ向けた最後のステップレースがフラワーCである。

このレースが創設された87年以降、ここをステップに桜花賞で③着以内に好走した馬は計7頭。このうち、97年にフラワーC⑤着から桜花賞③着に巻き返したホーネットピアス以外の6頭は、すべてこのレースの優勝馬だった。ここを勝ち切らなければ、たとえ賞金なり抽選をクリアして桜花賞に駒を進めても勝負には絡めないのだ。

桜花賞のトライアル競走でこそないものの、そんなひとつの座を目指す今年の出走馬は16頭。昨年は上位3頭(②着同着)揃って桜花賞回避したように、例年なら先のオークスを目指す馬も見られるが、今年はマイルでも問題ない、あるいは出られるものなら出たい馬が揃った印象だ。

ハナを切ったのは、そんなタイプの筆頭格とも言える1番人気のアルビアーノだった。新馬勝ちは中山芝1600mだったが、スピードに富んだ馬で、前走は東京芝1400m戦を逃げ切り勝ち。1600mのアネモネSではなく、わざわざここを選んだ理由がなにか気になるが、最内枠を引いたこともあってすんなり先手を奪っていった。

対して、他の人気どころは中団から後方待機策。いや、もともと「策」の馬もいれば、そうなってしまった馬もあり、というみなさん揃いも揃っての出遅れで、3番人気のローデッドが大きく遅れたほか、2番人気のディアマイダーリン、4番人気のロッカフラベイビーも後方から。フェアリーSを逃げ切ったノットフォーマル(5番人気)も出足ひと息で好位に落ち着き、アルビアーノが展開面でも主導権を握る形となった。

もっともアルビアーノはスピードタイプだけに、自らその主導権を早めに手放してしまう形も考えられた。しかし、序盤に行きたがりながらもその後は落ち着き、800m通過49秒4、1000m61秒7とスローペースに落とすことに成功した。

この展開で小回り中山芝1800mなら、もちろん前にいるほうが圧倒的に有利になる。他の人気馬もディアマイダーリンを筆頭にまくってきたが、アルビアーノは持ったままの抜群の手応えで4コーナーを通過。直線入口でスパッと3~4馬身のリードを取り、この時点で勝負がついた。と、思ったら内ラチに接触して失速したアーリントンCネオスターダム(⑤着)の例もあったので気にはなったが、アルビアーノは左ムチが入っても大きくよれることなく駆け抜けて勝負を決めた。

これでルージュバックキャットコインクイーンズリングに続く3戦3勝の重賞勝ち馬となったアルビアーノルージュバックの前で運びそうな実力馬が加わったことにより、展開予想の幅も広がってくるだろう。もちろん、他馬を気にせず自分の形に徹した走りが、功を奏する結果も考えられる。ライバルに比べ間隔が詰まる分、今後の状態がカギにはなるが、問題なく桜花賞に進んでくれれば無敗馬対決で大いに盛り上がりそうだ。

そして先に触れたように、桜花賞で好走するならここは勝ち切る必要があったが、オークス好走なら③着以内、そして秋華賞なら⑤着以内で問題なし。まだ先の秋華賞はさておくとして、オークスへ向けては②着のアースライズ、③着のディアマイダーリンともども距離をこなせそうなだけに、今後のオークストライアルでの走りに注目したい。