“日経賞・穴馬の系譜”を継承する馬が今年も見つかった!?
文/編集部(T)
昨年の勝ち馬
ウインバリアシオン、②着馬
ホッコーブレーヴ、一昨年の勝ち馬
フェノーメノが揃って出走。この3頭が昨年の
天皇賞・春でワンツースリーを決めており、次の
天皇賞・春を占う上でも
注目の一戦となった。
自分で書いておいて恐縮だが、
“注目の一戦”というのは改めて出走馬を見直して気づいたこと。
天皇賞・春の前哨戦というと、どうしても
阪神大賞典を優位に見てしまい、
日経賞というと、なかなか
天皇賞・春には繋がりづらいレースというイメージが拭えない。これは
メジロマックイーンあたりからの固定観念で、変わっていく
時代に取り残されている自覚はあります(笑)。
そして、時代が変わったことはデータを見ても分かる。過去10年の
天皇賞・春出走馬の多くが
阪神大賞典、
大阪杯、
日経賞のいずれかをステップに出走しているが、その前走別成績を見ると以下のようになる(カッコ内は複勝率、複勝回収率の順)。
阪神大賞典[3.0.3.45](11.8%、98円)
大阪杯[2.3.2.15](31.8%、99円)日経賞[3.5.3.37](22.9%、128円)勝ち馬の頭数こそほぼ互角だが、好走率の点では
大阪杯、日経賞組の高さが目立つ。特に
日経賞組の複勝をすべて買っていると、それだけで儲かった計算だ。
その
日経賞組の複勝回収率は昨年の
ホッコーブレーヴ(12番人気③着)、09年
マイネルキッツ(12番人気①着)、07年
エリモエクスパイア(11番人気②着)、06年
ストラタジェム(8番人気③着)が押し上げている。逆に言うと、それだけ
日経賞出走組が人気しづらいということなのかもしれない。
これを踏まえると、
「天皇賞・春の“穴馬”を占う上で、注目の一戦となった」と、冒頭の文を言い直すことができるだろう。
1番人気に推されたのは昨年の
菊花賞②着馬
サウンズオブアースで、ここが明け4歳初戦。2番人気が
フェノーメノ。前走で
日経新春杯を制した
アドマイヤデウスは、4番人気に甘んじた。
まず驚いたのは
フラガラッハの逃げ。これまでは追い込み脚質だった馬が、
横山典騎手に乗り替わって2戦目で驚きの戦法をとった。とはいえ、ペースがそこまで速かったわけではなく、テレビ中継の参考ラップタイムは
1000m通過が1分フラット。絶妙のペースで逃げる形になった。
そんな中、中団に控えていた
アドマイヤデウスは、勝負所で外を通って一気に進出。前走の
日経新春杯は最内からスルスルと抜け出したが、今回は馬場の真ん中から正攻法で突き抜け、力の違いを見せつけた。
アドマイヤデウスの父はアドマイヤドンということもあってか、芝の重賞では特に人気しづらい面があるのかもしれない。だからこそ前述した
“日経賞組・穴馬の系譜”に通じるものがある。母系はスタミナ豊富な系統で、距離延長も克服できそうだ。
また、②着は
ウインバリアシオンで、③着は
ホッコーブレーヴ。いずれも以前
日経賞で好走実績のある馬で、このあたりは
現状の力を出し切っての結果と考えたい。そして、
アドマイヤデウスはこれらに完勝したわけで、その点でも評価に値しそうだ。
前述したように
日経賞出走馬は本番でも人気しづらく、前述した中では昨年の
ホッコーブレーヴは前走で②着、09年
マイネルキッツは②着、06年
ストラタジェムの②着と、
いずれも日経賞で好走しながら本番では人気薄だった。今回の上位馬が
天皇賞・春に出走したら、人気にかかわらず注意が必要だろう。
一方、人気の2頭は道中でシンガリと最後方待機だから、さすがに位置取りが後ろ過ぎたのかもしれない。
サウンズオブアースは直線で猛然と追い込むも④着、
フェノーメノは⑧着に敗れた。
とはいえ、この2頭は
休み明け。特に
フェノーメノは昨年も休み明けで
日経賞⑤着から
天皇賞・春で巻き返したわけで、まだ見限るわけにはいかないだろう。
天皇賞・春は
阪神大賞典を制した
ゴールドシップこそ出否未定だが、次週の
大阪杯に出走予定の
キズナ、昨年の
菊花賞馬
トーホウジャッカルが出走予定とのこと。相手は強そうだが、
日経賞組が昨年に続けて春の淀を席巻しても不思議はないだろう。今年はクラシック戦線も混戦だが、古馬戦線も混戦模様で、面白いレースが見られそうだ。