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佐賀記念で見せた勝負根性は本物だった
文/編集部(M)

ハンデ戦では、どうして●●●が★kgで、▲▲▲が■kgなんだ!?という話がよく出るが、今回のマーチSも実に不可解なハンデが付けられていた。

1番人気に推されたマスクトヒーローは前走で師走S(OP特別)を勝利していて、今回はその時より1kg増の57kgだった。しかし、マイネルクロップは前走で交流重賞の佐賀記念(G3)を制していたが、今回は斤量据え置きの56kg。どうしてOP特別を勝った馬が1kgも増えて、重賞を勝利した馬がそのままなのだろうか?

佐賀記念のレベルが低いと見られたのかもしれないが、それであれば、同レースで3馬身差を付けられて③着に敗れたダノンカモンがどうして斤量増(57kg→57.5kg)となるのだろうか。訳が分からない。

今回は1ヶ月前に行われた総武S(OP特別)で掲示板に載った3頭(キクノソルベルゲンクライイッシンドウタイ)も上位人気に推されていたが、この3頭のハンデもよく分からなかった。

総武Sは、キクノソルが56kgで③着、ベルゲンクライが56kgで④着、イッシンドウタイが57kgで⑤着だったが、今回はキクノソルが2kg減(54kg)、ベルゲンクライが1kg減(55kg)、イッシンドウタイも1kg減(56kg)だった。どうして最先着をした馬がいちばん減らされているのだろうか?

ハンデは、前走の着順(成績)だけで決められているわけではないし、過去の走破時計なども参考にして設定されているのだろうが、そのロジックは、関係者、あるいは馬券購入者であるファンに対して、どこまで浸透し、納得を得られているのだろうか。

走破時計は道中のペースが上がれば速くなるものだし、逆に緩めばタイムは上がらない。それは競走馬の能力を測るひとつの指針ではあるけれど、そのクラスでの着順もまたひとつの重要な指針で、重視すべきものだろう。なにより、関係者もファンも、時計を競ったり推理しているわけではなく、着順を競ったり予想しているのだから。

今年のマーチSサトノプリンシパルが逃げたもののペースが上がらず、過去10年ではいちばん遅い勝ち時計(1分52秒7)となった。マーチSが重賞となった94年以降で見ても、今年より遅い決着時計となったのは2回だけしかない(96年・1分53秒3、04年1分53秒0)。

時計が平凡だったということで、マイネルクロップなど上位入線した馬たちの斤量は、次走以降もまた増えないのだろうか? 今回のレースがどのように評価されるのか、非常に見ものだ。ハンデキャッパーのみなさんには、ぜひ、机上に並ぶ数字だけでなく、実際のレースでの強さも含めたハンデ付けをお願いしたい。

近年のマーチSは、重賞好走歴のない上がり馬が上位人気に推されて敗れるケースが多く、過去10年で1番人気に応えて優勝したのは、2走前の平安Sでクビ差の②着になっていたエスポワールシチー(09年・ハンデ57.5kg)だけだった。

重賞となってからの過去21回で1番人気馬は[4.1.1.15]という成績で、ハンデが57kg以下だった馬に限ると[1.0.0.14]。ハンデ57kg以下で1番人気に推されて優勝したのは、第1回のバンブーゲネシス(56kg)だけで、それを考えれば今年のマスクトヒーロー(57kgで③着)は、今後に期待を抱かせる内容だったと言えそうだ。

一方、マイネルクロップは大外枠に加えて急坂のある中山コースで真価が問われたが、前走の佐賀記念で見せた勝負根性は本物だったということなのだろう。

レースを見た人は分かると思うが、佐賀記念は3~4コーナーからマイネルクロップソリタリーキングが馬体を併せて激しく競り合い、その叩き合いはゴールまで続いた。その様は、プチ・89年プリークネスS(サンデーサイレンスvsイージーゴア)といった感じで、火の出るような叩き合いだった。マイネルクロップも、鞍上の丹内騎手も、あのレースから一段上のステージに上がっていたのかもしれない。

マイネルクロップは前走と同じ斤量だったから、ハンデにも恵まれた勝利という言われ方をされるかもしれない。ただ、近走でダート重賞での好走歴がある馬が少ない組み合わせだった今回においては、マイネルクロップ格が一枚上だったのだろう。最後の直線では、「佐賀記念優勝」という通行証を持っているかのようだった。あの通行証を手に入れていれば、タラレバを言っても仕方ないけど、ハンデ57kgでも突き抜けていたんじゃなかろうか。

マーチSの勝ち馬は、その後に勝ち鞍を挙げられないケースも多く、12~14年の勝ち馬(サイレントメロディグランドシチーソロル)はその後が重賞未勝利だったりする(グランドシチーソロルは重賞以外でも未勝利)。その一方、11年の勝ち馬テスタマッタは12年にフェブラリーを制し、前述したエスポワールシチーは長い間ダートのG1戦線で上位に君臨した。

今後、マイネルクロップはどんな道を歩むだろうか。走るたびに、揉まれるたびに強くなっていってる気がするので、ここから充実した一年を過ごしていくのではないだろうか。