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堀厩舎からまた「どこまで強いのか?」と思わせられる馬が現れた
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也


昨年の阪神牝馬Sは、13頭立てながら追い込み決着スマートレイアーが差し切ったが、今年は17頭立てでも先行決着となった。レースの上がり3Fは、昨年も今年も同じ34秒8。当然、今年の方が道中のペースが緩かった。

多頭数でも先行馬が少なければスローになって先行馬に有利に働くもので、それは歴史的なスローとなった今年の桜花賞も同じ。レッツゴードンキの鞍上・岩田騎手はレース後のインタビューで「馬場も良いので……」と話していたが、そのような馬場状態が阪神牝馬S先行決着にも影響を与えたのだろう。

余談になるが、似たような馬場状態でも、中山ではこうはいかなかったと思う。中山芝では逃げ粘りがほとんど見られていないので、阪神競馬場ならではのことではないか。桜花賞では内目の枠の馬の成績が良くなかったが、その傾向もそろそろ変わりそうだ。馬場の内側は荒れていたのかもしれないが、止まるような馬場状態ではなかった

そのような馬場にプラスして阪神牝馬Sは先行馬が少なかったので、芝1400m巧者のスピード型であるベルルミエールにはおあつらえ向きのレースになることが想像されたが、その相手は実によく分からなかった。

実績馬たちは、当然、ヴィクトリアマイルを考えての騎乗になるだろうし、前走で準OPを勝ち上がった馬たちは、力がどこまで通用するか分からない。脚質的にはコナブリュワーズの先行力が魅力的に映ったが外枠だったし、カフェブリリアントはマイル戦で後方から差す競馬をしていて、内枠に不安を感じた。

ところが、どうだ。カフェブリリアントは好スタートを決めて、難なく先行馬を見る位置に付けた。カフェブリリアントはここで賞金を加算しなければヴィクトリアマイルへの出走は難しかったのだろうから、勝負にいくことは考えられたが………クラスが上がったこの舞台で先行策を決めてくるとは恐れ入った。先行して流れに乗った時点で、勝負ありだった。

カフェブリリアント松山康久厩舎にいた頃から左回りのコースに出走することが多く、8戦中5戦が左回りだった。堀厩舎に移ってからはずっと左回りを使われていて、今回、右回りのコースは8戦ぶりだった。それでも何事もなかったかのように余裕をもって差し切ったのだから、強いの一言に尽きる

堀厩舎には、3歳牡馬クラシック路線にサトノクラウン、マイル路線にモーリス、海外担当(?)としてリアルインパクトがいて、またG1戦線を沸かせる馬の登場となった。サトノクラウンにしても、モーリスにしても、カフェブリリアントにしても、どこまで強いのか?と思わせられることが多く、堀厩舎の手腕には本当に驚かされる。

カフェブリリアントの鞍上・福永騎手は、ヴィクトリアマイルも視野に入れた乗り方をしていて、遮二無二勝ちにいった感じではなかったから、次走が東京芝1600mになっても対応は十分可能だろう。ただ、ヴィクトリアマイルとなれば実績馬たちも本気モード(?)だろうし、斤量差もなく闘うことになる。今度は本当の意味でも底力を問われることだろう。

昨年の連対馬、スマートレイアーウリウリは④着(スマートレイアー)と③着(ウリウリ)に敗れたが、ヴィクトリアマイルへ向けては良いレースができたのではないか。

スマートレイアーは昨年の上がり3Fが33秒3で、それに比べれば今年は切れなかったと言われそうだが(今年の上がり3Fは34秒5だった)、昨年が叩き2戦目(中4週)で斤量54kgだったのに対して、今年は約4ヶ月の休み明け55kgを背負っていた。次走に状態が上がりそうなことは容易に想像できる。

昨年のヴィクトリアマイルは逃げたヴィルシーナが押し切り、スマートレイアーは中団に付けたもののスムーズに捌けず、上がり33秒7を計時したものの⑧着だった。ウリウリは18頭立ての大外枠という不利な状況で、33秒4の上がりを使うも⑯着だった。

今年も枠順流れが重要になってくるのだろうが、それぞれ臨戦過程や今回のレース内容は悪くなかったと思う。出走が叶えば、スマートレイアーウリウリは、当然、有力な存在となってくるだろう。

気がかりなのは、昨年のヴィクトリアマイルで②着となって以来、5戦連続でふた桁着順に敗れてしまっているメイショウマンボだろう。今回は3ヶ月半の休み明けで20kg増(506kg)だった影響もあったのかもしれないが、初ブリンカー装着も⑬着に敗れてしまった。

メイショウマンボは休み明けで凡走しても、叩き2戦目で一変してきた馬だが、ここまで大敗が続くとさすがに気になる。気持ちが再び走る方に向いてほしいと願うが……。