期待と異なる流れだが、この後のストーリー展開が楽しみに
文/浅田知広、写真/森鷹史
牝馬は
ルージュバックの1強、牡馬は混戦模様、だったはずの今年の
クラシック戦線。いざ1冠目が終わってみれば、たった1戦で牝馬は一転して混戦になり、牡馬は
ドゥラメンテの1強ムードになっているのだから、わからないものである。
しかし
「ドゥラメンテ強い!」と言っているばかりでは
ダービーが盛り上がらない。いや、結果的には
ドゥラメンテが二冠を達成しても盛り上がるかもしれないが、そこに至る過程には、やっぱり強力なライバルがいてこそ、という面もある。また、ライバル不在で
ドゥラメンテばかりでは、新聞、雑誌の紙面(誌面)作りがたいへんそうだ。
というわけで、そんな
競馬マスコミ関係者の期待がかかる、対抗馬探しの
ダービートライアル・青葉賞である。
このレースが重賞に昇格した94年以降、
青葉賞組の
ダービーでの成績は
[0.6.4.51]なので、対抗馬というよりは相手候補探し……、という残念な数字は見なかったことにして。
シンボリクリスエス(02年)や
ゼンノロブロイ(03年)、
フェノーメノ(12年)といった後のG1馬が重賞初制覇を飾っているこの一戦。打倒
ドゥラメンテに名乗りを上げるのはどの馬か。
僅差で1番人気に推された
レーヴミストラルは、前走で同距離の500万を勝ち上がった馬。続く2番人気は
青葉賞好走馬も多い
山吹賞を勝ってきた
レッドライジェル。さらに4番人気
タンタアレグリア、5番人気
ヴェラヴァルスターも2000m超の500万勝ち馬で、重賞路線から上位人気に推されたのは
ブラックバゴ(3番人気)1頭だけ。「1強」の対抗馬としては、未対戦の新勢力が注目されがちなだけに、おおむねどの馬が勝ってもその位置に収まれそうな面々だ。
また、そんな新星に求められるのは勝ちっぷり。着差ばかりではないものの、2馬身は離して勝って欲しいところである。しかし、レースの流れは1000m61秒9、1200m75秒2と、着差が開きづらくなるスローペース。出ムチを入れて大外枠から逃げた
トーセンスパンキーが、2コーナーから12秒台後半、向正面では13秒台とペースを落としたため、前半の縦長から徐々に馬群は詰まっていったのだった。
そして、3コーナーから再び12秒台前半に突入したものの、もう勝負どころとなれば後続も前との差を詰めるのみ。4コーナーで馬群は凝縮され、直線は白熱した追い比べが期待できそうな態勢だ。当初の新星が圧勝するという期待とはほど遠いが、これはこれでレース単体としてはおもしろい。
直線に入り、内から
ミュゼダルタニアン(12番人気)が抜け出したのには驚かされたが、坂を上がると馬場の3分どころを通った上位人気馬の追い比べ。内の
タンタアレグリア、中の
ヴェラヴァルスター、外の
レーヴミストラルが並んで先頭に立ち、最後は外の
レーヴミストラルが半馬身抜け出して優勝。②着の
タンタアレグリアから③着
ヴェラヴァルスターも半馬身差だったが、
ダービーの優先出走権は②着まで。
レーヴミストラルと
タンタアレグリアが、大舞台へと駒を進めることになった。
優勝した
レーヴミストラルは、来年2月での定年・引退が決まっている
松田博資調教師の管理馬である。どんな名伯楽でも、引退間近になると有力馬が集まりづらくなることがあるものだが、
松田博資師は今年も先週まで11勝を挙げランキング14位。先日は
ハープスターの
戦線離脱という残念なニュースもあったが、これで最後の
ダービーに
レーヴミストラルを送り出せる。
青葉賞圧勝で
ドゥラメンテに強敵誕生、という流れにはならなかったものの、
ここからどんなストーリーが展開されるのか、違った楽しみが生まれたと言えるだろう。
また、上がり勝負だけに着差こそつかなかったが、後方から直線坂下で一気に前へと取りついた
レーヴミストラルの鋭い反応は見どころ十分。抜け出すと気を抜くところがあるとのことで、今回も内にもたれ気味になりつつの差し切り勝ち。これは
今後への課題であると同時に、
伸びしろと言える部分でもある。
そしてなにより、これで
未勝利、
500万、
青葉賞と3連勝での
ダービー参戦だ。1冠目は牡牝ともに3連勝馬が結果を出せなかったが、今年はいろいろとひっくり返った上で今に至るだけに、この
レーヴミストラルもその流れに乗って大逆転、4連勝でのG1奪取、
青葉賞組の
ダービー制覇という展開も見てみたいところだ。