「つまらない逃げ切り勝ち」ではなく、「面白い存在の出現」
文/編集部(M)、写真/川井博
日曜日(14日)の東京競馬は、11R
エプソムCも12Rの
最終レースも
穴ぐさ💨が不在だったので、穴ぐさ💨を楽しみにされている方は
つまらなかったことと想像します。
選んでいるこちらとしても
穴ぐさ💨不在のレースは見ていて
つまらないわけですが、上位人気馬と下位人気馬の力差が大きいと感じ、断腸の思いで(特に最終レースは)穴ぐさ💨を挙げませんでした。
今年の
東京競馬と
中山競馬は、特に
波乱の度合いが減った印象があって、この日曜日(14日)も1R~8Rでは7番人気以下で③着以内に入った馬が
1頭だけ(6R新馬戦②着
ジュアンマリエ・7番人気)でした。
関東馬の中でレベル差が生まれている気がしているのですが……それはさておき、
穴ぐさ💨不在でもレースを楽しめるようなコンテンツがあった方が良いなと実感しています。その点は少々お待ちください。
つまらないという意味では、
エイシンヒカリに
何かを期待した人にとっても、平穏なレースぶりで
拍子抜けした部分があったかもしれない。レース後、
武豊騎手が
「優等生なレースをしてしまいました(笑)」とコメントしていたが、確かに
エイシンヒカリは
普通に強い逃げ馬のレースをした。
1分45秒4という勝ち時計は、01年に
アドマイヤカイザーが記録した1分45秒1には及ばなかったものの、近10年の
エプソムCでは
最速。自らレースを引っ張ってこのタイムを出したのだから、確かに強かった。何より、
エプソムCではずっと逃げ切り勝ちがなく、ハンデ戦だった88年の
ソウシンホウジュ以来の
逃走Vなので、その価値の高さが分かるだろう。
正直なところ、今回の
エイシンヒカリについては、直線で斜行せず、
まっすぐ走りそうだけど、
捕まってしまうのではないか?と見ていた。
スピード豊かなのは誰もが認めるところだが、テンションが上がりやすいタイプで、今回は
関東遠征に加えて前回時に大きく外に斜行した
東京競馬場だったから、様々な面で
お行儀良く躾けられてくると思っていたのだ。
最近の競馬では、高い競走能力がありながら気性も荒いタイプが、
その荒さを矯正されて全体のパフォーマンスが落ちてしまうケースをよく目にする。
エイシンヒカリにもその危険性を感じていたわけだが……
高い次元で両立させてきたことに驚いた。
エイシンヒカリ自身の成長もあるのかもしれないが、
スピードをなくさずに
優等生に一歩前進させたことに厩舎スタッフの腕を感じた。
1分45秒4というタイムは
芝1800mでの自己ベストだが、
武豊騎手は
「まだまだ強くなりそう」とコメントしていた。このような逃げて強い馬がいるとレースが締まるし、予想にも
面白味が増す。一見すると
「つまらない逃げ切り勝ち」だったかもしれないが、今後の
重賞戦線、
G1戦線においては
「面白い存在の出現」となるに違いない。
サトノアラジンは今回が6度目の重賞挑戦だったが、またも
タイトルを獲得することは叶わなかった。前走の
モンゴル大統領賞(東京芝1800m)を
1分44秒7というタイムで制していたが、今回は
1分45秒4で②着。序盤に多少行きたがる面を見せていたので、1000m通過が
前走時よりも1秒ほど遅いペースが影響したのかもしれない。こればかりはどうすることもできず、少しだけ
歯車が噛み合わなかった。
サトノアラジンが
重賞級であることは誰もが認めるところで、昨夏は7~8月に中京芝2000mと小倉芝2000mで
連勝しているから、
今夏に
飛躍のチャンスをつかむ可能性もあるだろう。
同じ父
ディープインパクト×母父
ストームキャットという配合の
エイシンヒカリと
サトノアラジンは、今後もどこかで激突するのではないか。それは今秋の
G1の前哨戦か、それとも
G1の大舞台か。
G1血統の馬たちだけに、今後の成長が非常に楽しみだ。