猛暑実績も必要なのかもしれない
マイル戦となってからの中京記念は、まったくもって予想家泣かせの重賞だ……。信頼できる過去傾向は、「とにかくよく荒れます」ということだけかもしれない。
中京芝1600mで行われた過去3年は8枠の馬が必ず連対していて、芝2000mの重賞で連対実績があるような馬が馬券に絡んでいた。ところが、今年は①着3枠6番(スマートオリオン)→②着1枠1番(アルマディヴァン)→③着5枠10番(ダローネガ)という決着で、7～8枠の馬は掲示板に載れず、⑤着以内に入った5頭中4頭が前走で芝1400mを走っていた。
これまでは、芝1600mよりも長い距離で実績があるようなタイプが好走していたレースなのに、今年は一転して1400m向きの馬たちが上位争いをすることになった。過去3年に比べてペースが速くなったことも影響したのかもしれないが、それにしても、ここまで変化するとは思いもよらなかった。
過去傾向をアテにする者にとっては、「みんなが“ふた桁馬番の馬が良い”と言い出したから、逆に今回はひと桁馬番の馬を狙う」といったような『天の邪鬼作戦』が有効だったか。開催最終週であっても、例年よりも馬場が回復した(真ん中から内側の馬場も酷くならなかった)ことも影響したのかもしれない。
それにしても、優勝したのがスマートオリオンということには、少なからず驚いた。芝1600mは初めてで、言ってみれば今回背負ったハンデ57kgは芝1400m以下で稼いだ実績の表れだった。他馬と比べても決して楽ではなさそうで、前走の東京よりも坂が急な中京に替わり、さらに距離が延びることはプラスには思えなかった。
レースの展開としても、決して楽ではなかったと思う。好スタートを決めて先行したが、途中からメイケイペガスターが外をマクるにように上がって行き(引っ掛かった?)、スマートオリオンは連られて行きたがっても不思議ない場面があった。
ところがそこでも、スマートオリオンは我慢が利き、落ち着いて走っていた。歳を重ねてズブい面が見られるようになってきたとは聞いていたが、ここまで見事なレースをするとは思っていなかった。文字通り、ここにきて一皮むけたと言えるのだろう。
スマートオリオンは前走のパラダイスSを11番人気で勝っていたが、実はこの時、穴ぐさ💨に挙げようか迷い、結局、挙げずに失敗した馬だった。父グラスワンダー×母父ウイニングチケットだから、血統の字面では距離が延びても問題ないように映ったが、他に魅力的に感じた馬がいて挙げなかったのだった。
パラダイスSで穴ぐさ💨に指名していれば、今回の中京記念でも前向きな評価をできたのだろう。ところが、指名せずに失敗したばかりに、「前走の1400mでも高い評価をしていなかったのに、どうしてさらに距離が延びるここで評価を上げなきゃならんのだ」と思ってしまった。
逃した魚は大きいと言うが、逃がした魚が大きかったばかりか、翌月に釣りに行ったら、同じ魚に水面下から手を振られたような心境です(苦笑)。こうして、一度関係がこじれた馬とは、仲を修復するのが困難なんですよね……。
パラダイスSでは、スマートオリオンよりも魅力的に感じた馬がいたと前述したが、実はそのうちの1頭が今回②着に激走したアルマディヴァンだった。アルマディヴァンはOPや重賞でも好走できる力がありそうに感じていたが、まさか最内枠の今回とは……。これまた関係がこじれてしまいそうで怖い。
スマートオリオンにしてもアルマディヴァンにしても、次走ではどのように接すればいいのだろう。もちろん条件にもよるが、今回の結果を「やられた」とは思わず、温かい心で賞賛するところから始めてみます。力があることは分かっているし、今回、それを証明する走りを見せたわけですからね。
1番人気で⑦着に敗れたカレンブラックヒルは、トップハンデ(58.5kg)がこたえたのだろうか。一方、2番人気で⑧着に敗れたレッドアリオンはゲートのタイミングが合わず、中団からになってこの馬本来の形ではなかった。
レッドアリオンはこれまでふた桁馬番では[4.0.1.2]と好成績を残していて、ふた桁の奇数馬番でも勝ち鞍を挙げていたが、実は連外の3戦はすべて馬番11番だった。馬番11番でも勝ったことはあるので、ダメではないのだろうが、実は鬼門だったのか!?
また、レッドアリオンは7～8月の出走が初めてで、5～6月では馬券圏内に入ったことがなかった。カレンブラックヒルも7～8月の出走が初めてで、6～9月は4戦して掲示板内がなかったから、猛暑が影響した可能性も否定できないのかも。
今回、③着以内に入ったスマートオリオン、アルマディヴァン、ダローネガの3頭は、いずれも8月に勝ち鞍を挙げたことがあった。これだけ暑いと、猛暑実績というのも予想ファクターに入れた方がいいのかも?と思ったのですが、どうでしょう?
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也
マイル戦となってからの中京記念は、まったくもって予想家泣かせの重賞だ……。信頼できる過去傾向は、「とにかくよく荒れます」ということだけかもしれない。
中京芝1600mで行われた過去3年は8枠の馬が必ず連対していて、芝2000mの重賞で連対実績があるような馬が馬券に絡んでいた。ところが、今年は①着3枠6番(スマートオリオン)→②着1枠1番(アルマディヴァン)→③着5枠10番(ダローネガ)という決着で、7～8枠の馬は掲示板に載れず、⑤着以内に入った5頭中4頭が前走で芝1400mを走っていた。
これまでは、芝1600mよりも長い距離で実績があるようなタイプが好走していたレースなのに、今年は一転して1400m向きの馬たちが上位争いをすることになった。過去3年に比べてペースが速くなったことも影響したのかもしれないが、それにしても、ここまで変化するとは思いもよらなかった。
過去傾向をアテにする者にとっては、「みんなが“ふた桁馬番の馬が良い”と言い出したから、逆に今回はひと桁馬番の馬を狙う」といったような『天の邪鬼作戦』が有効だったか。開催最終週であっても、例年よりも馬場が回復した(真ん中から内側の馬場も酷くならなかった)ことも影響したのかもしれない。
それにしても、優勝したのがスマートオリオンということには、少なからず驚いた。芝1600mは初めてで、言ってみれば今回背負ったハンデ57kgは芝1400m以下で稼いだ実績の表れだった。他馬と比べても決して楽ではなさそうで、前走の東京よりも坂が急な中京に替わり、さらに距離が延びることはプラスには思えなかった。
レースの展開としても、決して楽ではなかったと思う。好スタートを決めて先行したが、途中からメイケイペガスターが外をマクるにように上がって行き(引っ掛かった?)、スマートオリオンは連られて行きたがっても不思議ない場面があった。
ところがそこでも、スマートオリオンは我慢が利き、落ち着いて走っていた。歳を重ねてズブい面が見られるようになってきたとは聞いていたが、ここまで見事なレースをするとは思っていなかった。文字通り、ここにきて一皮むけたと言えるのだろう。
スマートオリオンは前走のパラダイスSを11番人気で勝っていたが、実はこの時、穴ぐさ💨に挙げようか迷い、結局、挙げずに失敗した馬だった。父グラスワンダー×母父ウイニングチケットだから、血統の字面では距離が延びても問題ないように映ったが、他に魅力的に感じた馬がいて挙げなかったのだった。
パラダイスSで穴ぐさ💨に指名していれば、今回の中京記念でも前向きな評価をできたのだろう。ところが、指名せずに失敗したばかりに、「前走の1400mでも高い評価をしていなかったのに、どうしてさらに距離が延びるここで評価を上げなきゃならんのだ」と思ってしまった。
逃した魚は大きいと言うが、逃がした魚が大きかったばかりか、翌月に釣りに行ったら、同じ魚に水面下から手を振られたような心境です(苦笑)。こうして、一度関係がこじれた馬とは、仲を修復するのが困難なんですよね……。
パラダイスSでは、スマートオリオンよりも魅力的に感じた馬がいたと前述したが、実はそのうちの1頭が今回②着に激走したアルマディヴァンだった。アルマディヴァンはOPや重賞でも好走できる力がありそうに感じていたが、まさか最内枠の今回とは……。これまた関係がこじれてしまいそうで怖い。
スマートオリオンにしてもアルマディヴァンにしても、次走ではどのように接すればいいのだろう。もちろん条件にもよるが、今回の結果を「やられた」とは思わず、温かい心で賞賛するところから始めてみます。力があることは分かっているし、今回、それを証明する走りを見せたわけですからね。
1番人気で⑦着に敗れたカレンブラックヒルは、トップハンデ(58.5kg)がこたえたのだろうか。一方、2番人気で⑧着に敗れたレッドアリオンはゲートのタイミングが合わず、中団からになってこの馬本来の形ではなかった。
レッドアリオンはこれまでふた桁馬番では[4.0.1.2]と好成績を残していて、ふた桁の奇数馬番でも勝ち鞍を挙げていたが、実は連外の3戦はすべて馬番11番だった。馬番11番でも勝ったことはあるので、ダメではないのだろうが、実は鬼門だったのか!?
また、レッドアリオンは7～8月の出走が初めてで、5～6月では馬券圏内に入ったことがなかった。カレンブラックヒルも7～8月の出走が初めてで、6～9月は4戦して掲示板内がなかったから、猛暑が影響した可能性も否定できないのかも。
今回、③着以内に入ったスマートオリオン、アルマディヴァン、ダローネガの3頭は、いずれも8月に勝ち鞍を挙げたことがあった。これだけ暑いと、猛暑実績というのも予想ファクターに入れた方がいいのかも?と思ったのですが、どうでしょう?