流れも馬場も読み切ったクロスクリーガーの岩田騎手が騎乗機会重賞4連勝!
文/編集部(M)
レース後、
クロスクリーガーの
岩田騎手は、
「今日は行く(逃げる)気はなかった」とコメントした。
兵庫チャンピオンシップを逃げて圧勝(9馬身差)した馬で、
ジャパンダートダービーも②着に敗れたとはいえ逃げて好走していたのだから、その戦法を捨てて臨むには、
それなりの理由があったのだろう。
好メンバーが集う重賞になると、逃げて目標にされながら押し切るには
厳しいと感じたのか。それとも、逃げてばかりでは
先々に影響が出ると考えたのか。それらに加えて、今夏の
新潟ダートが
逃げ馬につらい馬場になっていることも関係しているのではないかと思う。
今夏の
新潟ダートは8月9日の開催4日目までずっと
良馬場で施行されていて、
逃げ馬が次のような成績となっている。
【今夏の新潟ダートで逃げた馬】
| 日 |
レース |
距離 |
逃げ馬 |
着順 |
| 1日 |
1R未勝利 |
1200m |
シゲルサケガシラ |
① |
| 1日 |
3R未勝利 |
1800m |
レッツゴースター |
① |
| 1日 |
6R未勝利 |
1800m |
ヌーナ |
① |
| 1日 |
8R500万 |
1200m |
ベストリーダー |
① |
| 1日 |
12R500万 |
1200m |
ウインオーラム |
② |
| 2日 |
3R未勝利 |
1800m |
ウエスタンビアンコ |
13 |
| 2日 |
7R未勝利 |
1200m |
カラッカゼ |
15 |
| 2日 |
10R岩室温泉特別(1000万) |
1200m |
ドラゴンゲート |
11 |
| 2日 |
12R500万 |
1800m |
モルダバイト |
6 |
| 8日 |
3R未勝利 |
1800m |
ミスタービン |
8 |
| 8日 |
6R未勝利 |
1200m |
ヒカリピオニー |
① |
| 8日 |
8R500万 |
1800m |
ヴィスビー |
4 |
| 8日 |
11R越後S(1600万) |
1200m |
アースゼウス |
② |
| 9日 |
2R未勝利 |
1200m |
ヒルプリンセス |
14 |
| 9日 |
3R未勝利 |
1800m |
スターウインド |
11 |
| 9日 |
7R500万 |
1800m |
スズカリバー |
③ |
| 9日 |
11RレパードS(G3) |
1800m |
ゴールデンバローズ |
4 |
| 9日 |
12R500万 |
1200m |
マサノグリンベレー |
① |
開催初日の1日こそ
逃げ馬天国だったのだが、2日目以降はさっぱり粘れなくなり、特に
1800mコースが厳しく、逃げて馬券圏内に入ったのは開催4日目(9日)7R(500万)での
スズカリバー(③着)だけだ。その
スズカリバーも連対馬からは
5馬身差を付けられた。
昨夏の
新潟ダートは前が止まらず、先行馬有利のレースが多かったのだが、今年は
雨が降らず、猛暑の影響もあるのか、
砂の舞う乾いたダートで
差しがよく決まっている。
岩田騎手はこのような状況も見て、今回は最初から
ハナには立たない乗り方を選択したのではないだろうか。
岩田騎手はこれでJRAの重賞が
騎乗機会4連勝となった。
CBC賞・
ウリウリ→
函館記念・
ダービーフィズ→
函館2歳S・
ブランボヌール→
レパードS・
クロスクリーガーで、いずれも3番人気以内だが人気に応えている。来週以降も頼りになりそうだ。
それにしても、それまで逃げたり先行していた馬を控えさせるのは
勇気のいることだろうし、実際にそれができるのだから、
クロスクリーガーは
完成度が高く、ここでは
一枚上の実力があったということなのだろう。向こう正面で前に取り付く際、砂を被りづらい外を回っていたとはいえ、
鞍上の意のままに素直に動き、きっちり快勝するのだから立派だ。
勝ち時計の
1分51秒9は、昨年(1分50秒4・
アジアエクスプレス)や一昨年(1分50秒3・
インカンテーション)に比べると1秒以上遅いが、これは近2年が
道悪馬場(稍重)だったため。
レパードSが
良馬場で行われたのは今回が4度目で、過去3度の勝ち時計は
1分49秒5~1分51秒8だから、今年が特別遅いわけではない。
1分49秒5(良)というのは09年の
トランセンドで、これは驚異的なタイムだが、3年前に
ホッコータルマエが制した時が
1分51秒8(良)で、これと比較しても、今年の
クロスクリーガーが過去の
レパードS勝ち馬と遜色ない力を秘めていそうなことは分かるだろう。
むしろ、今年のような
乾き切った馬場で過去の勝ち馬と同じようなタイムで優勝したことは、
誇れることなんじゃないか。
クロスクリーガーは地方競馬を含めてダートでは[4.1.1.0]と底を見せておらず、
ジャパンダートダービーで先着を許した
ノンコノユメとの
再戦が今から楽しみだ。
②着となった
ダノンリバティも、初ダート&休み明けで勝ち馬に追いすがったのだから立派だった。
スカーレットインクの一族で、さすがにダート適性が高い。
ダノンリバティは
音無厩舎で、同厩舎の同世代では
ラジオNIKKEI賞を制した
アンビシャスがいる。
アンビシャスは距離適性を考慮して
ダービーに向かわず、
ラジオNIKKEI賞を圧勝したが、今度は
芝から
ダートに路線を変更して重賞で好走する馬が現れたわけで、
音無厩舎は
変幻自在ですね。
ドバイ遠征から戻ってきてからマル外の
ゴールデンバローズが振るわない中、
ノンコノユメ(父
トワイニング×母父
アグネスタキオン)、
クロスクリーガー(父
アドマイヤオーラ×母父
ブライアンズタイム)、
ダノンリバティ(父
キングカメハメハ×母父
エリシオ)といった
サンデー系や
ミスプロ系を持つ馬が台頭してきた。
ダート路線も芝路線同様、
サンデー系や
ミスプロ系を持つ馬が牛耳っていくのか、それとも、父も母父も
ボールドルーラー系という
ゴールデンバローズが巻き返してくるのか。
ゴールデンバローズのような
アメリカンな馬がいてこそ、ダート路線は面白そうに思うのだが……。
ゴールデンバローズは気持ちが切れないように復活を願いたい。