長期休養から復活した5歳馬2頭の今後の走りに注目
文/浅田知広、写真/川井博
3連勝以上を記録した馬は、スプリンターならG1出走くらいまでそのまま突き進み、中距離路線ではG2~G3あたりで連勝が止まる。こんな印象はないだろうか。
特にデータを調べたわけでもなく、単にそんな気がしただけなのだが、
キーンランドCの結果を見れば一昨年、条件戦から4連勝で出走した
ストレイトガールが1番人気で②着に敗退。いきなり
「そんなことはない!」という結果にぶち当たってしまった。
ただ、このレースには
ストレイトガールのほか、11年優勝馬の
カレンチャン(当時3連勝中)や、08年②着の
ビービーガルダン(同じく当時3連勝中)、12年⑦着の
ドリームバレンチノ(同じく当時3連勝中)と、
後のG1好走馬が勢いづいて乗り込んできた例が多く見られるのは確かだ、さらに連勝を伸ばすかどうかは別にして。
そんな視点で今年のメンバーを見渡せば、もちろん注目すべきは1番人気に推された
ティーハーフ。3歳夏以降は休みがちで、5歳のここにきて1000万から
函館スプリントSまで3連勝。しかしもともとは、
函館2歳Sで僅差③着になるなど、
重賞で上位を争う力を持つ馬だった。
これに続くのは、やはり最近まで条件戦を走っていた
オメガヴェンデッタや
エポワス、そして昨年の②①着馬
レッドオーヴァルと
ローブティサージュあたり。いずれにしても、この夏か昨夏の北海道で結果を出している馬の激突という様相である。
そして、昨年③着の
マジンプロスパーのように、突然北の地にやってきたような馬は、昨年の
CBC賞優勝馬
トーホウアマポーラ(9番人気)など数少ない。レースの傾向(北海道組か
アイビスSD組が中心)はさておき、この手のタイプが穴になるものだよなあ、と見ていたのだが……。
レースは
エポワスが先手を取りかけたが、これを内から交わして
クールホタルビがハナに立ち、
オメガヴェンデッタも前につけるなど、なかなか激しく見える先行争い。昨年の覇者
ローブティサージュは中団あたりを追走し、注目の
ティーハーフと、昨年②着の
レッドオーヴァルがその後ろと、北海道実績のある人気とごろは、中団やや後ろあたりまでに収まる展開。別路線
トーホウアマポーラは後方を追走した。
前半の600m通過は34秒0で昨年(34秒1)並み。しかし、3コーナーで1ハロン11秒8とやや落ちたところで、最後方から大外をまくる馬が1頭。人気どころと同じ「北海道組」ながら、
人気の盲点になっていた
ウキヨノカゼだ。
先行~好位勢が相手の様子を見るかようにまったく動かない中、大外の
ウキヨノカゼは4角で一気に先頭へ。いや、JRA発表の4角通過順によれば、
ウキヨノカゼは4角7番手で3頭横並びの扱いになっているが、そんなものは一瞬の話。前の集団を一気にまくり、そのまま直線も堂々と押し切ってしまったのだから驚きだ。
3角では
ウキヨノカゼの前にいた、個人的な注目馬
トーホウアマポーラは、これを追って動いたときには、結果的にもう手遅れの②着。その内に併せて伸びた
ティーハーフも、横一線の③着争いを制するまでが精一杯だった。
勝った
ウキヨノカゼは、13年の
クイーンC優勝馬。その後
1年9ヵ月もの休養があり、前走の
TVh杯が
クイーンC以来の3勝目で、
エポワスを②着に下していた。その
エポワスは
前走・UHB賞の
レコード勝ちも効いての3番人気だったとはいえ、
ウキヨノカゼの8番人気・単勝29.1倍は
人気の盲点だったと言えるだろう。別路線組
トーホウアマポーラも波乱の片棒を担いだが、より注意すべきは北海道組の穴馬だった、という結果である(
なお、馬券はハズレた)。
一方、1番人気で③着の
ティーハーフは連勝こそ途絶えたものの、3~4コーナー中間で馬群に包まれ動けなかったことを考慮すれば、まずまずといったところか。
同じ5歳馬、そして休養を経て条件戦から復活を果たしたウキヨノカゼとティーハーフの、今後の走りにも注目していきたい。そして間の②着
トーホウアマポーラ。どこかでもう一度、高配当をプレゼントしてくれるチャンスはいただけませんでしょうか?