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これまでにない勝ち方で、一段強くなった姿を見せつけた
文/編集部(T)、写真/森鷹史


出走馬は10頭とやや寂しい頭数となったが、今年の宝塚記念を制したラブリーデイ、昨年のエリザベス女王杯勝ち馬ラキシス、昨年のダービーワンアンドオンリーと、G1馬が3頭集結。秋G1の前哨戦としてはなかなかの好メンバーが揃った。

今回のメンバーの中で、唯一斤量58kgを背負ったのがラブリーデイ。昨年までは重賞でなかなか勝ちきれなかった馬が、年明けの中山金杯で重賞初制覇を飾ると、距離が向かなかった阪神大賞典天皇賞・春を除くと芝2000~2200mの重賞で4戦4勝。5歳になって一気に本格化を告げてきた。

かたやそれ以外のG1馬は、ラキシス宝塚記念⑧着、前走の札幌記念で⑤着、ワンアンドオンリー宝塚記念で⑪着に敗れており、格だけでなく勢いでもラブリーデイが一歩リードと思われた。

ただ、ラブリーデイの前走・宝塚記念は、今のところ“ラブリーデイが勝った宝塚記念”ではなく、ゴールドシップが大出遅れした宝塚記念のイメージが強いのは否めない。ということは、ゴールドシップの出遅れがなければ……」という評価もついて回ることになってしまう。

一方で、関係者のラブリーデイに対する評価は高い。サラブレ本誌10月号で同馬を管理する池江師と手綱をとる川田騎手、さらに浜中騎手を加えての鼎談が行われているが、その席で池江師「秋の活躍次第では海外遠征も現実的になる」と発言している。

その期待に応えられるか。ラブリーデイにとって、名実ともにチャンピオンとして海外に出るために、ついでに宝塚記念の評価をラブリーデイが初G1制覇を達成した宝塚記念に変えるために(?)、この秋は正念場となった。

とはいえ、これまでのラブリーデイは23戦して、メンバー中最速の上がりを記録したのがわずか1回。重賞では一度もなかった。少頭数でスローペースが見え見えの今回は『上がりの競馬に対応できるのか?』という不安があった。

また、今回が宝塚記念以来3ヵ月半ぶり。過去の休み明けは⑤②②③⑤着と悪くはないが、『久々で突き抜けられるか?』というポイントもあった。さらに、芝2400m以上の重賞でも好走実績がなかった

だがしかし、終わってみればラブリーデイの強さは予想以上だった。前半1000m通過が60秒5のゆったりしたペースで、32秒台前半の上がりが要求される展開の中、中団から32秒3の上がりを繰り出しての差し切り勝ち。ちなみに、90年以降に行われた芝2400m以上の重賞でこれだけ速い上がりを記録したのは、今回が初めてとなる。

展開を考えれば、②着サウンズオブアースにつけた1馬身4分の1差は決定的と言ってもいいだろう。これまでにない展開で勝ち切ったことで、さらに一段強くなったラブリーデイを印象づけた

ちなみに、前述の鼎談の席で、池江師「ブリーダーズCターフ(芝12Fで開催)に出たら勝てる」とも発言している。芝2400mでこれだけ強い勝ち方を見せたことで、今後の選択肢も広がるだろう。

ラブリーデイの血統を改めて見ると、持ち込み馬の7代母グレートターフからガーサントノーザンテーストリアルシャダイトニービンダンスインザダーク、そしてキングカメハメハと、社台グループの誇るさまざまな系統の種牡馬たちが連綿と掛け合わされているのが分かる。血統好きでなくても、この血統表を見ると「おっ!?」という印象を受けるのはないだろうか?

日本で育ち、日本が誇る血統を持つラブリーデイが、海外で飛翔する姿を今後見ることができるか。まずはこれ以上ない形で第一関門を突破したのは間違いないだろう。