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固定観念にとらわれ過ぎないことも大事
文/編集部(W)、写真/森鷹史


ホエールキャプチャが好位から押し切った13年は1000m通過が63秒8ムードインディゴが追い込みを決めた09年は1000m通過58秒1。スローペースもあればハイペースもある。さて今年はどんなペースで流れるのか。レース前にシミュレーションしたが、まず、どの馬が逃げるかも判断が難しく。

ヴィクトリアマイルで逃げたミナレットがハナに行くかと思っていたが、いざ蓋を開けてみると、なんとミナレットは出遅れ。フレイムコードが出して行ってハナに立つかと思いきや、最内枠のケイアイエレガントが主張してハナを取り切った。

ケイアイエレガントと言えば、逃げた時は3戦3勝ヴィクトリアマイル②着、安田記念⑤着の実力馬で、斤量54kgならそう簡単には止まらないはず。府中牝馬Sが芝1800mに替わったのは96年からで、逃げ切りを決めたのはトゥザヴィクトリー(00年)、テイエムオーロラ(10年)の2頭と少ないが、直線半ばまでは3頭目になるかという情勢だった。

後続を振り切りにかかるケイアイエレガント。残り1F付近までは先頭をキープしていたが、そこから脚色が鈍って後続に捕まってしまい、⑨着に敗れた。とはいえ、マイルなら逃げ切っていたレースぶりで、2F目以降は11秒4~12秒0のラップが並ぶ平均ペースで引っ張り(1000m通過は59秒2)、レースを引き締めてくれた功労者だ。

そんな展開を“まさか”の追い込みで差し切ったのが11番人気のノボリディアーナルメール騎手が重賞でふた桁人気の馬に騎乗するなんて珍しいと思って調べたら、先週の毎日王王冠(12番人気リアルインパクト)で乗っているという(笑)。

ただ、これまでの最低人気の勝利は7番人気(13年ラジオNIKKEI杯2歳Sワンアンドオンリー15年ローズSタッチングスピーチ)だったので、これは大幅に記録を更新したことになる。また、重賞で単勝オッズが20倍以上の馬に騎乗した時は[0.4.3.51]だったので、32.0倍というのも異例だった。

ノボリディアーナはこれまで重賞で⑧⑭⑧⑬⑪着。この戦績では人気がないのも致し方ないところだが、500万以上の6連対は4角3番手以内だった馬を、4角9番手からの差し切りに導いたルメール騎手はどんなマジックを使ったのか。

ルメール騎手はレース後のインタビューで「(直線での)反応が良くて、長くいい脚が使えました。ちょっとビックリしました(笑)」と話していたが、今回、ノボリディアーナが記録した上がりは自己ベストの33秒9。おそらく、自身が使える脚はこのくらいが限界なのかもしれない。

位置取りについては出たなりでマイペースで運んだ結果、という印象だったので、ルメール騎手の凄さは先行馬で差し切ったことではなく、平均ペースのレースの流れにしっかりと乗せ、その馬のベストと言える脚を引き出し、活かし切ったことだろう。ノボリディアーナ出遅れ癖もあり、ゲートをしっかりと出したことや、それらすべてをテン乗りで遂行し、簡単にやって見せていることも凄いのだが。

芝1800mはこれで4勝目ルメール騎手もインタビューで「1800mはちょうど良いです」と話していた通り、現状はこの距離がベストなのかもしれない。ただ、固定観念にとらわれ過ぎないことも大事、ということは今回のノボリディアーナルメール騎手が証明したばかり。

「(エリザベス女王杯に向けて)2200mはたぶん大丈夫です」ルメール騎手が言うのであれば、ノボリディアーナの距離適性についても柔軟に考えたほうがいいのかもしれない。

1番人気スマートレイアー(②着)は直線で捌くのに苦労し、2番人気レッドリヴェール(⑮着)は直線で接触する不利を受け、5番人気カフェブリリアント(③着)は大外枠に入るなど、上位人気馬がスムーズさを欠いたり、枠順に泣かされた部分もあったが、重賞勝ち馬7頭、重賞③着以内馬12頭の好メンバーを負かしたノボリディアーナの快走はフロックとは思えない。成績は安定感に欠けるものの、またどこかであっと言わせる走りを見せてくれそうな気がする。