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良馬場で18頭が集うも、記録的なスローペースに…
文/編集部(M)、写真/川井博


まあ、しかし、遅いですね。何が遅いって、ペースが遅い

芝に戻ったレッドラウダがスッとハナに立ったものの、すぐにペースが落ちて大渋滞となり、前半3Fの通過は36秒5。その後の1000m通過までのラップは、49秒1-60秒5だった。

レッドラウダは前走のなでしこ賞(500万、京都ダート1400m)をハイペースで先行し、最後に差し込まれたので、今回はペースを落としたかったのだろう。なでしこ賞33秒8-45秒9-58秒7で、今回はそれに比べて優に1秒以上遅かった

京王杯2歳Sは一昨年(13年)もスローペースで前残り決着となったが、そのラップは36秒7-48秒8-60秒3で、この時より今年は遅かった。一昨年が14頭立てで、今年は18頭立てだったにも関わらずだ。

東京芝1400mでの京王杯2歳Sを振り返ったら、前半3Fが36秒台という年が86年以降で3回だけあった。一昨年以外の2回は87年01年で、87年は36秒3、01年は36秒1。しかし、87年は9頭立てで、01年は10頭立てでの不良馬場だった。

今年は出走馬が18頭も揃い、良馬場で行われたにも関わらずこのスローペースとなって、なんだかなあとしか言いようがない。レース上がりが33秒5なんて速くなれば、中団以降を追走していたら物理的に届かないわけで……東京競馬場の長い直線も考え物なんじゃないかと思わせられる。

もちろんすべてのレースが淀みなく流れて、底力を問われる流れになってほしいと願うのは無茶な話であることと理解しているが、それにしても最近の東京競馬場のレースはスローばかりで、見ごたえがない。競馬場によって、エアレーションが合うコースと合わないコースがあるように感じる。

ちなみに、優勝したボールライトニングに対して不吉なことを言うようで恐縮だが、前半3Fが36秒台で流れた京王杯2歳Sを勝った馬(86年以降の3頭)は、3歳以降が芝で未勝利だったりする。

その一方、13年の②着以下の馬の中にはモーリス(⑥着)がいて、01年の②着アグネスソニックNHKマイルCで②着、87年の④着ツジノショウグン朝日杯3歳Sで②着となっている。

京王杯2歳Sオルフェーヴルが惨敗(⑩着)したレースとして有名だが、ヒシアマゾンも②着(93年)、ラブリーデイも②着(12年)に敗れている。他にも、前述したモーリスリアルインパクト(10年②着)、ダッシャーゴーゴー(09年④着)、コイウタ(05年③着)、エイシンバーリン(94年②着)、ロサード(98年②着)、アルコセニョーラ(06年⑪着)などが敗北を喫していて、この結果が将来に直結するとは言えないレースであることは覚えておきたい。

優勝したボールライトニングは京都芝1400mでのデビュー戦が36秒3-49秒1-61秒1という流れで、前走とほとんど同じようなペースで流れたことは良かったのだろう。初の関東遠征に加えて初の左回り&直線に坂のあるコース、そして大外枠も克服して、素質の高さを証明した。

ボールライトニングの半姉デグラーティア(フジキセキ産駒)は3連勝で小倉2歳Sを制した馬で、姉が重賞制覇を果たしたのも大外枠(8枠16番)だったから、弟も大外枠で勝利したのは何かの因縁だったのかもしれない。姉は小倉2歳Sが唯一の重賞制覇となったので、弟ボールライトニングも次走以降が試金石となるのではないだろうか。