キャンディバローズは“プチ女王”に輝けるのか!?
文/編集部(W)、写真/稲葉訓也
りんどう賞と
ファンタジーSの「前半4F-後半3F」は、
りんどう賞が47秒9-34秒2(=1分22秒1)、
ファンタジーSが47秒7-34秒2(=1分21秒9)。このペースを作ったのは、2戦とも逃げて勝ち馬と同タイムの②着に粘った
メジェルダ&
四位騎手で、なんとも正確なラップである。
だが、
りんどう賞は
ウインミレーユにハナ差、
ファンタジーSは
キャンディバローズにアタマ差及ばず。いずれも好位から33秒台の上がりを繰り出した2頭の後塵を拝することに。
1000m通過は59秒2で、これは今年で20回目となる歴史の中、08年(61秒1)に次いで
2番目に遅いもの。出走馬12頭中7頭が33秒台の上がりを計時したのも無理はなく、そんな京都芝外回りの“瞬発力勝負”に強いと言えば
ディープインパクト産駒だが、4頭出走で①~④着独占(
キャンディバローズ、
メジェルダ、
ブランボヌール、
ワントゥワン)、①~④着まで同タイム(1分21秒9)で駆け抜けたのはちょっと驚いた。
ただ、
キャンディバローズは
ファインチョイス(
函館2歳S①着、
ファンタジーS③着)の妹、
ブランボヌールは
ルシュクル(
すずらん賞①着、
ファンタジーS⑤着)の娘、
ワントゥワンは
ワンカラット(
ファンタジーS②着)の娘で、2歳OPで好走した兄姉や母を持つから、血統背景を考えると順当な結果ではあるが。
勝った
キャンディバローズは、初戦こそ減量特典騎手で自身より3kg軽かった(斤量51kgの)
ジープルメリアの強襲に屈してクビ差②着だったが、次走の未勝利戦で同日の
クローバー賞より0秒4速い1分29秒1の
レコードで制し、
素質の片鱗は見せていた。
その前走は最内枠を利してロスなく立ち回っていたので、今回は外枠(8枠11番)がポイントになりそうだと思ったが、
ルメール騎手がレース後のインタビューで
「外枠だったので難しかったけど、良いスタートを切って、3番手の良いポジションに付けられました」との言葉通り、ロケットスタートを決め、行きたい馬を行かせてスッと好位外に付けた。
その目の前の内には1番人気の
ブランボヌールがいて、
キャンディバローズ&
ルメール騎手は
ブランボヌールをマークするように進めたが、直線は1、2番手の
メジェルダ、
タガノヴィアーレを間に挟み、内、外に分かれて追撃を開始。残り1Fを切り、その前4頭が抜け出して競り合い、最後は後続集団からただ1頭、
ワントゥワンが猛追してきたが、
キャンディバローズの頭がグイッと出たところがゴールだった。
初戦は取りこぼしながらもその後に連勝して重賞初制覇を飾り、順風満帆な
キャンディバローズだが、レース前にいろいろなデータを調べていたところ、気になるものもあった。それは、過去19年の
ファンタジーSでは、馬体重が426kg以下だった馬は
[0.0.0.37]だったこと。
出走馬の前走馬体重を見ると、
アドマイヤリード(398kg)、
タイセイマライカ(402kg)、
ワントゥワン(416kg)、
キャンディバローズ(406kg)、
コパノディール(420kg)と、前走時点ですでに426kg以下の馬も少なくなく。
「アドマイヤリードやキャンディバローズはどんなに頑張っても426kg以上にはならないよなぁ…」とか、
「ワントゥワンは頑張ればなんとか」とか(実際、14kg増で430kg)。考えたところで
アドマイヤリード、
キャンディバローズ、
ワントゥワンのカイバ消費量が増えるわけでもないのに、あれやこれやと考えたり。
37頭が走って好走馬ゼロという事実があまりに衝撃的で、戸惑いを隠せず。正直、見てはいけないものを見てしまった気分になった(笑)。
ただ、小柄だからダメな理由が思い浮かばなかったので、公にはせず、参考データとして取っておいたが、これが正解(?)で、あっさりと覆したのが
キャンディバローズ(412kg)だった。
イナズマアマリリス(08年)、
クールホタルビ(14年)の434kgを大幅に更新する
史上最軽量の優勝馬誕生となった。
阪神JFは418kgの
ジョワドヴィーヴル(11年)、
レッドリヴェール(13年)、
阪神3歳牝馬S時代には390kgの
スエヒロジョウオー(92年)が勝っていて、軽量牝馬の世界でも上には上がいるもの。
ファンタジーS→
阪神JFと連勝した馬はこれまで
ピースオブワールド(02年)しかいない
狭き門だが、
キャンディバローズは諸先輩に続き、
“プチ女王”に輝けるのか。
若い女の子には失礼な話だが、体重に注目しながら見守っていきたい。