京都2歳Sは今年も少頭数のわりに難しいレースに
文/浅田知広、写真/森鷹史
重賞としては今年が「第2回」になる
京都2歳Sだが、一昨年以前もオープン特別としてこの時期に行われており、
ファンにはもうお馴染みの一戦。だいたいどんなイメージがあるかと言えば、
「少頭数(近10年は6~11頭)」、
「そのわりに荒れる」といったところだろうか。
いや、荒れるといっても1番人気は10年で
[5.2.2.1]と、むしろ安定した成績。しかし、昨年の6番人気
ベルラップの①着や、
エピファネイアが勝った12年の1→8→7番人気など、どうにも
「この頭数だと買いづらかった」という組み合わせが多い印象だ。
そんなレースに、今年は過去10年で最多……でも決して多くはない12頭が参戦した。1番人気に推されたのは、北海道で
新馬、
札幌2歳Sを連勝した
アドマイヤエイカン。他馬をねじ伏せる底力はあっても、この
「京都2歳S」に向いているかといえば怪しい、そんなタイプである。さらに、他の人気馬もほぼ1戦1勝馬。この中に強い馬がいても不思議はないが、現時点で
「これ」という決め手には欠く、やっぱり
今年も少頭数のわりに難しいメンバーになった。
そんな中、スタートで2番人気の
ロライマが出遅れ。そして
ヴィクトワールピサ(09年)との
父子制覇を狙う
ジョルジュサンクがここ2戦とは違って行く気を見せず、ハナを切ったのは最内枠から548キロの巨漢馬
リスペクトアース(5番人気)。3番人気の
ドレッドノータスは掛かり気味の2番手追走となり、前は7頭ほどが一団。1番人気の
アドマイヤエイカンはその馬群から5馬身ほど離れた後方を追走した。
序盤の見た目はまずまずの流れで、実際に600m通過は35秒6。しかし2歳戦でこのペースのまま最後まで、というのはまずあり得ず、やはりと言うべきか、向正面に入れば
ハロン13秒台の3連発。1000m通過は61秒7に落ち着いた。
ちなみに、
札幌2歳Sの1000m通過は61秒9で、ここだけを切り取ればほぼ同じ。しかし、当時の馬場は稍重、そして200m×9回すべて
12秒台という展開だった。今回も、当時と同じように
アドマイヤエイカンは3コーナーで発進し、4角では先頭付近まで追い上げたのだが。ラスト600mが
11秒7-11秒2-11秒3では、よほど力の差がないかぎり「ねじ伏せる」競馬はできないもの。いったんは前に並びかけたものの、切れ味比べでは苦しく③着に敗退した。
そして、そんな瞬発力勝負へ向けて脚を溜められていたのは、最初から前にいた1戦1勝馬2頭、
リスペクトアースと
ドレッドノータス。ゴール前は2頭の一騎打ちとなり、最後は外の
ドレッドノータスがわずかに競り勝った。
これで
武豊騎手は、先々週の
デイリー杯2歳S・
エアスピネル、先週の
東京スポーツ杯2歳S・
スマートオーディン、そしてこの
ドレッドノータスと、2歳重賞なんと3週連続の制覇。唯一勝利を挙げていない
G1・朝日杯FSでは、
エアスピネルの手綱を取る予定だが、
この勢いならいよいよか、という雰囲気も漂ってきた。
一方、今回勝利を手にした
ドレッドノータス。同様に「勝てていない」という意味では、母
ディアデラノビアがG1で③着3回、そして半姉
ディアデラマドレも昨年の
エリザベス女王杯で③着と、G1をあと一歩のところで逃している。さらに、昨年爆発しかけた
父ハービンジャーの産駒も、
ロカが
阪神JFで1番人気⑧着敗退を喫すると、今年のクラシック出走は3頭で4回だけ。こちらもひとつ壁を打ち破れるか、という戦いになる。
どうやら次走は、
有馬記念当日の
ホープフルSで、
アドマイヤエイカンとの再対決になるようだ。同じ小回り2000mでも、今度は直線に急坂の待つ中山になる。また今回とは違った展開になりそうだが、
皐月賞と同じコースでどんな戦いが見られるのか、
有馬記念前のひと勝負も楽しみだ。
しかし、また今年も
「12頭立てだから」と、絞ってしまうと当てづらい3→5→1番人気で、3連単1万4300円。
京王杯2歳Sや
ファンタジーSのように、
とにかく荒れるなら腹をくくって挑むのみだが……、やはり、どうにも微妙なところで決着する
京都2歳Sである。