モノが違う勝ちっぷり、この内容ならG1でも!?
文/浅田知広、写真/森鷹史
その名の通り、日本における平地の最長距離競走となる
ステイヤーズS。中山の芝内回りコースをぐるっと2週。見方によっては、これ以上特徴のあるコースはない、とも言える中山芝3600mである。
そんなコースで行われるためか、長距離経験の少ない前走1600万条件組は、過去10年
[0.2.1.22]で勝ち馬ゼロ。にも関わらず、今年は1600万を勝ったばかりの
アルバートが1番人気、そして
アルバートに負けた
トゥインクルが4番人気と上位人気に推されていた。
ただ、だからといって
「リピーター」さんが強いわけでもなく、過去10年で2回以上出走した馬は26頭、そして2回以上馬券に絡んだ馬は
デスペラードなど4頭に過ぎない(好走1回だけなら11頭)。
有馬記念では、過去10年の複数回出走馬28頭中、8頭が2回以上好走しており、
それに比べると少ないなあ、という印象である。
今年は再挑戦馬が6頭おり、好走馬では12、14年と②着2回の
ファタモルガーナが3番人気。ほかに昨年④着の
スズカデヴィアスが5番人気、3度目の挑戦になる
ネオブラックダイヤが6番人気。さて、買ってはいけないのか、それとも「2回はなくても1回はある」と考えるべきなのか。「1600万組」でも、「複数回出走馬」でもなく、ほかに候補を探したい感もあった。
序盤、先行したのは
プランスペスカ、
ユキノサムライと人気薄の2頭。そして、ここまで名前が出ていない
メイショウカドマツ(2番人気)が3番手。過去10年で8勝の
アルゼンチン共和国杯組、特に1~2着馬は
[1.1.2.1]と安定しており、
もし上位人気を買うならこの馬か、とも思っていたのだが。1週目の2コーナーで挟まれ加減に折り合いを欠いて、
苦しい大勢である。
これに対し、3000m級未経験の前走1600万組、
アルバートと
トゥインクルは後方待機で落ち着いたもの。さらに、今年の
ダイヤモンドS③着があるとはいえ、やはり前走は1600万で③着だった
カムフィー(7番人気)もその前で、なんとか我慢が効いているようだった。
前の組がバタバタし、道中で
カノンが先頭に入れ替わったことなどもあって、1度は13秒台に落ちたラップは6ハロン目から12秒台の5連続。年によって13秒台が続いたり(09年など)、逆に12秒台以下ばかりだったり(06年)もするレースだが、今年は
ちょっときつめの展開だ。
なにせ3600m戦、そんな展開になれば止まる馬が出てくるのも早いし、切れのない馬ならそこが仕掛けどころ。2週目3コーナーで
メイショウカドマツが一気に動いていったが、さすがに
序盤のロスは大きく粘れたのは坂下までだった。
そして、これと入れ替わるように、馬群を割って一気に突き抜けてきたのが、じっくり脚を溜めていた
アルバートだ。前が止まったから勢い良く見えただけかと思いきや、レースのラスト1ハロンは11秒9、おそらく自身は11秒7~8くらい。超スローだった09年(①着
フォゲッタブル)が上がり34秒7、ラスト11秒8だったが、今年の展開でこんな脚を使われては、他馬は対抗のしようがない。後方からは
カムフィーと
トゥインクルが併せ馬の形で追い込んできたものの、終わってみれば
5馬身差の圧勝劇だ。
結果としては前走1600万組が①②③着を独占した今年の
ステイヤーズS。これがもう少し接戦なら
長距離路線の常連さんが力を出せなかったという話だが、この
アルバートの勝ちっぷりは
モノが違ったとしか言いようがない。これで札幌の500万条件から
破竹の4連勝、
この内容ならG1でも勝負になりそうだ。もちろん有力なのは
来春の天皇賞だが、勢いに乗ってるうちに一気に、とは誰もが期待するところだろう。
もともと
「有馬記念のステップレース」として、G3のハンデ戦からG2に昇格した
ステイヤーズSだが、出走馬はその
有馬記念では
[0.0.1.18](99年以降)で、
テイエムオペラオーの③着のみ。ついに
金鯱賞が同時期に移動してきて、ステップレースの立場を譲りかけているが、
アルバートで起死回生となるのかどうか。マラソンレースから中2週にはなるものの、ぜひ大一番で見たい1頭となった。