ミトラは「芝1600m以上で4角5番手以内」なら侮るなかれ
文/編集部(W)、写真/川井博
3歳(
ベルーフ、
レーヴミストラル)、4歳(
マイネルフロスト)、5歳(
サトノノブレス、
マジェスティハーツ、
メイショウマンボ)、6歳(
クラレント、
ディサイファ)、7歳(
オーシャンブルー、
パッションダンス、
ミトラ)、8歳(
アロマカフェ)と、今年は幅広い世代が集結した。12頭という少な目の頭数を考えると
「よくぞこれだけ」と思えるレベルだろう。
今年は
札幌記念と
中日新聞杯で重賞2勝、
毎日王冠では
イスラボニータに先着しての②着で、
天皇賞・秋(⑧着)でも3番人気に支持された実績を考慮すれば、
ディサイファの1番人気は納得。対して、2番人気
レーヴミストラル、3番人気
ベルーフと、3歳馬2頭がこれに続いたのは、若手の躍進を期待する
ファンも多かったということか。
結果はというと、
レーヴミストラル、
ベルーフは差し届かず⑧着、⑥着と掲示板外に敗れ、
ディサイファは好位差しで②着。その
ディサイファを退けたのが7歳のベテランで5番人気の
ミトラだった。
ミトラは重賞で5、5、9、7、6、7、3、7、1、5番人気で、前走の
福島記念が初の1番人気だった。直前の
オールカマーで
ショウナンパンドラ、
ヌーヴォレコルトに次ぐ③着で、昨年勝っていることが影響した感じか。
「何もトップハンデの時に…」と当事者から愚痴が聞こえてきそうだが(笑)、なぜか人気になりにくい。
「確たる逃げ馬不在で、天皇賞・秋と同じくクラレントが逃げると思わせておいて他馬がハナを切る。ただ、その他馬が何かはわからない」というのが、出走馬を見渡した時の直感で、先行脚質の
ミトラは“他馬”の候補の1頭だったが、レースを先導したのは
12年金鯱賞の
ダノンバラードと同じく、
“キャリア初の逃げ”の手に出た
メイショウマンボだった。
ペースは落ち着くかと思いきや、1000m通過は12年(61秒6)より2秒も速い59秒6。
クラレントは2番手に控え、その後は
ディサイファ、
パッションダンス、
ミトラ、
サトノノブレスという並び。
ベルーフは後方寄り、
レーヴミストラルは後方2番手に付ける。
ミトラは
ディープインパクト産駒の間に収まる形の5番手で追走していたが、ジワジワとポジションを上げて直線へ。
前を行く
パッションダンス、
クラレントに並びかけた
ミトラ。3頭横並びで残り1Fを通過するが、
ミトラが抜け出してジワジワとリードを広げる。最後は
ディープインパクト産駒の
ディサイファ、
サトノノブレスが競り合いながら追撃してきたが、時すでに遅し。
ミトラが②着
ディサイファに1馬身1/4差を付け、昨年の
ラストインパクトが樹立した1分58秒8の
コースレコードタイで駆け抜けた。完勝だろう。
ミトラは昨年11月以降、G2&G3で
①②⑤③②①着。「昨年11月以降」は「芝2000m以上に替わってから」と言い換えることもできるのだが、とにかく近走はほぼ崩れない。
近走に限らず、
「芝1600m以上で4角5番手以内」という条件でも
[4.2.2.1]で安定感抜群。そのうち、馬券圏外は唯一、牡馬として走った
新馬戦(⑫着)だけで、つまりはセン馬になってから
「芝1600m以上で4角5番手以内」だと
[4.2.2.0]と崩れていない。
過去3年の勝ち馬(12年
オーシャンブルー、13年
カレンミロティック、14年
ラストインパクト)は次走で
有馬記念に出走しているが(順に②着、⑥着、⑦着)、
ミトラもこの流れに乗り、昨年の
エピファネイア(2番人気⑤着)と同じく
父子制覇(父は
02&03年有馬記念で連覇を飾った
シンボリクリスエス)を狙っての参戦となるのかどうか。
G1も芝2500mも未体験という間もなく8歳となるベテランで、また人気にはならないのだろうが、
「芝1600m以上で4角5番手以内」という条件が満たされるなら侮らないほうがいいのかもしれない。過去3年の③着以内馬9頭中7頭はその後にG1で好走していて、パフォーマンス的にも昨年の
ラストインパクトと遜色ないのだから。
ちなみに、
池江厩舎の馬は
オーシャンブルー(12年①着)、
ラブリーデイ(13年②着)、
サトノノブレス(14年②着、15年③着)が好走していて、
4年連続で馬券圏内入りしている。4年すべてで2頭以上出走しているのもすごい話だが、来年も出走馬がいれば注目したい。