ハートレーもロードクエストも、来春のクラシックは母系の影響が重要!?
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也
2戦2勝の
ロードクエストと
バティスティーニが人気を二分する中、3番人気の
ハートレーの単勝オッズは
7.4倍だった。この数字を見て、正直なところ、
「意外につかないな」と感じていた。しかし、結果としてそれは
大間違いだった。2戦2勝の2頭を寄せ付けず、自身が
2戦2勝となって
重賞初制覇を果たした。
レース後、勝利に導いた
ボウマン騎手は
「フライングホース!」と賞賛したそうだ。
ハートレーの父が
ディープインパクトで、何度も「飛ぶような」レースを見せた馬であったことを知っていたのかどうか。
ハートレーは
ディープインパクトの現役時よりも一回り大きいけれど、どうやら
軽やかな飛ぶような走りが遺伝されているようだ。
レース前、断然人気だった
ロードクエストについては、今回が休み明け(約4ヶ月ぶり)に加えて初の右回り&初の芝2000mで、
不安を感じていた。しかし、それ以上に
ハートレーに関しては、
血統がどうなのだろう?と思っていた。
ハートレーは
ディープインパクト産駒だが、母父は
Congratsで、
ボールドルーラー系になる。母父
ボールドルーラー系の
ディープインパクト産駒は、これまでの芝の特別競走で[1.5.0.33]という成績で、大きな成果が残されていなかった。
ディープインパクト産駒は、黄金配合と言われる母父
ストームキャット(
キズナ、
エイシンヒカリ、
ラキシス、
リアルスティール)を筆頭に、母父が
ノーザンダンサー系の活躍馬が多く、これまでのJRAの芝G1の27勝のうち18勝が母父
ノーザンダンサー系の馬によるものだ。次いで多いのが母父
ミスプロ系で、
スピルバーグや
ヴィルシーナ、
トーセンラー、
ダノンプラチナ、
ショウナンアデラ、
マリアライトがG1制覇を果たしている。
ミスプロ系と
ボールドルーラー系は
アメリカのダート色が強いという点で共通しているが、
ミスプロ系は日本の
芝にも適性の高い系統が出ていて、ご存知の通り、
キングマンボ-
キングカメハメハのラインなどはむしろ
芝の方が良い印象がある。
それに対して
ボールドルーラー系は、そこまで日本の
芝にフィットしている感じはない。事実、父
ボールドルーラー系の馬は2000年以降の
JRAの芝G1で勝った馬は出ておらず、②着も
01年朝日杯FSの
ヤマノブリザードだけ。
ボールドルーラー系の濃いタイプは日本の芝重賞では
不安の方を先に覚え、今回の
ハートレーについても、その面(母父)がどうしても気になってしまったのだ。
今回の
ロードクエストは休み明けに加えて外を回ったので、
ハートレーとの差(1馬身1/4差)は決定的ではないと思うが、
バティスティーニは
ハートレーと同じ中5週の臨戦で、2頭の間に
0秒5差も付いたのは私の中では衝撃だった。
ハートレーは母父
ボールドルーラー系の
ディープインパクト産駒としては間違いなくこれまでの
最高傑作だろう。このタイプの育成方法について、何かコツのようなものが見出された可能性もありそうだ。
ハートレーの母
ウィキッドリーパーフェクトは
アメリカのG1馬だが、マイル以下の距離が主戦場だった。
ハートレーは
芝2000mで2戦2勝だから、距離適性の面ですでに
母のイメージを上回っている。レースぶりを見る限り、2000mより距離が延びても対応してきそうで、2016年は
ダービーを最大目標に調整されていくのだろう。
母父がダート色の強い系統だと、
中山や
阪神など直線に急坂のあるコースに適性が高く、その意味で
ハートレーは今回の
中山芝2000mがフィットしたとも思うので、来春は
中山競馬場よりも
東京競馬場で走る時に
クリアすべき課題が出てくるのではないか。
都合の良い解釈をするなら、
ハートレーは母父が
ボールドルーラー系だが、祖母の父が
ストームキャット直仔(Tactical Cat)で、
黄金に近い配合が施されてるとも言える。今後、色濃く出るのが
母父(Congrats・ボールドルーラー系)なのか、
母母父(Tactical Cat・ストームキャット直仔)なのか。それによって、
ハートレーの
活躍場所は違ってくるのではないだろうか。
ロードクエストは、再三記した通り、今回は悲観する内容ではなかったが、過去3戦はいずれも
後方から進めているので、今後も他馬や展開の影響を受けやすくなるかもしれない。
ちなみに、
ロードクエストの父
マツリダゴッホは、父
サンデーサイレンス×母父
ボールドルーラー系という配合。
ボールドルーラー系が濃いと
東京よりも
中山が得意になりやすいという典型だが、
ロードクエストはそうとは言い切れない辺り、
母系の色が強いのかも。
マツリダゴッホ産駒は芝2000m以上で2勝しか挙げられていないので([2.4.3.80])、
ロードクエストも来春のクラシックは
母系の影響がどれくらい強く出るかにかかっているように感じられる。