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プロフェットは器用さも持ち合わせていた
文/編集部(M)、写真/川井博


京成杯2000mに替わったのは99年からで、すでにサンデーサイレンス産駒が走っていたわけだが、社台グループの生産馬はあまり勝てていなかった。99~09年の12年間で勝利したのは、ボーンキング(01年、ノーザンF生産)とフォーカルポイント(04年、白老F生産)の2頭だけ。

ところが、10~15年は6年中5年で勝ち馬が出て、今年もノーザンF生産のプロフェットが優勝した。優勝したどころか、②着ケルフロイデ、③着メートルダール、④着アドマイヤモラールもノーザンF生産で、⑤着ウムブルフは社台コーポレーション白老F生産だから、社台グループの生産馬が掲示板を独占したことになる。同グループの生産馬が掲示板を独占したのは昨年に続くことで、空いた口が塞がりません……。

99~09年では2勝だったと冒頭で記したが、実はその頃と10年以降を比較すると、③着以内に入った確率は大きくは変わっていない。99~09年の京成杯における社台グループの生産馬は[2.2.4.15](勝率8.7%、連対率17.4%、複勝率34.8%)で、10~16年は[6.5.5.29](勝率13.3%、連対率24.4%、複勝率35.6%)。勝ち切ることが多くなったこと、そして、何よりも出走頭数の増加が顕著だ。

以前とは2~3歳限定の重賞競走の数が異なるので、クラシック出走を確保するためにも早めに賞金を加算したい表れなのか、事情はよく分からないが、とにかく、近年の京成杯社台グループの生産馬を中心に考えないと馬券は当たらなくなっている。というか、逆に言えば、ここ2年は社台グループの生産馬だけ買っていれば当たってることになるが……。

優勝したプロフェットは「メインレースの考え方」や「おトクな出馬表」の分析コメントで「○」とした。前走の萩Sで⑤着に敗れたものの、初のU型コース(京都芝外1800m)で上がりが速かったため悲観するものではないと思っていたし、池江厩舎ハービンジャー産駒というのは昨年の優勝馬ベルーフとまったく同じで、京成杯と相性が良いとも感じていた。今回は2ヶ月半ぶりで、間隔が空いていた点だけが気になっていた。

前走の萩Sが12kg減(444kg)だったので、間隔が空いて体重が戻っていればプラスかもしれないとは思っていたが、フタを開けてみたら4kg増(448kg)。判断に迷うプラス幅だったが、結果的に1馬身1/4差で快勝したのだから、これくらいの体で良いのかもしれない。ハービンジャー産駒は、やはり馬場を1周して上がりのかかるコースが合うということでもあるのだろう。

昨年優勝のベルーフは、皐月賞が⑫着、菊花賞が⑥着で(ダービーは不出走)、重賞戦線で惜しい競馬が続いているものの京成杯以後は勝ち鞍を挙げられていない。プロフェットは同じ「京成杯勝ちハービンジャー産駒」として今後に語られそうだが、果たしてどのような成績を残していくか。

昨年のベルーフと今年のプロフェットを比較して異なるのは、そのレースぶりだろう。ベルーフは17頭立てでの大外枠で外を回って差し切ったが、プロフェットは3枠4番という内目の枠で、上手く内を立ち回って伸びてきた

ハービンジャー産駒に対しては、外角の球でも引っ張るぐらいの少し強引なレースをした方が良いという持論があるのだが、プロフェットはそれとは正反対のソツのない競馬だった。言ってみれば、腕をたたんで内角の球を弾き返したようなもので、器用さを持ち合わせている。今後もこの点は武器となるのだろう。

プロフェット札幌2歳Sでハナ差②着に屈したが、その時に大接戦を演じたアドマイヤエイカンはその後に京都2歳Sで③着、ホープフルSで⑤着に敗れている。その比較で考えれば、両レースで連対圏に入った馬たちとプロフェットが今後に対戦し、何が勝つかによって今年の3歳牡馬クラシックの勢力図が見えてくるのだろう。今年はレベルの高い争いとなっていくのではないか。

プロフェットを差し置いて「◎」を付けたマイネルラフレシアは⑩着に敗れた。過去3戦と同じように先行すると思っていたのだが、スタート直後に他馬にぶつけられて後方からの競馬を余儀なくされていた。ツキがなかったことは事実。ただ、右回り&O型コースが初めての馬を信用しすぎちゃいけないということでもあったかもしれない。……反省。

スローペースの先行決着となる中、唯一追い込んできたのが③着となったメートルダールで、同馬は敗れはしたものの強さを見せたと言える。

ただ、ゼンノロブロイ牡セン馬は中山芝のOPで連対圏に入った馬が0頭で、今回のメートルダールを含めて[0.0.2.34]という成績だけに、より真価を発揮するのは広い東京コースではないか。メートルダールの母イグジビットワンは父シルヴァーホーク×母父サドラーズウェルズという血統で、距離が延びて良さそうにも映るタイプだ。