今年は“短距離で強い馬がマイルを勝ち切る”パターンとなる!?
文/編集部(T)、写真/川井博
この時期は雪の影響を受けることが多く、近年では08年の
根岸Sが順延で月曜開催となっている。今年も寒波の影響で
金曜の東京分の夜間発売が中止されるなど、開催が危ぶまれる週末となった。
幸い雪は回避され、日曜の東京は晴れた中での開催。それでも、
根岸Sは土曜までに降った雨の影響で、
稍重馬場でのレースとなった。
ホッコータルマエ、コパノリッキー、ノンコノユメといった確固たる軸がいるダートの中距離戦線に比べ、
近年のダート短距離路線は良く言えば多士済々、悪く言えばどんぐりの背比べ。
フェブラリーSも近年の勝ち馬を見ると、
“中距離で強い馬がマイルで勝ち切った”というパターンが多い印象が強い。
そこで迎えたダート1400m重賞・
根岸S。1番人気に推されたのが
モーニン、2番人気が
タガノトネール。いずれもJRA重賞は未勝利で、前走の
武蔵野Sで先行するも、
直線一気を決めたノンコノユメに交わされた2頭だった。
そして、近年の
根岸Sといえば、快調に先行していた馬が直線で捕まり、中団~後方に控えていた馬が差し切る……という光景を何度となく見てきている。
それだけに、
前に行くと思われる人気馬2頭がここでどんなレースをするのか。過去の傾向的に苦しいと思われる条件で勝ち切れるか、という点が、このレースだけでなく、今後を占う上でも重要なポイントだったように思う。
ここまで言うと、自分の知り合いにはバレてしまうと思うのだが、そうです。この2頭を個人的な馬券では疑ってかかってしまいました(笑)。
そして、実際のレースではそんな疑念もどこへやら。
タガノトネールこそ④着に惜敗したが、
モーニンは少しゲートで後手を踏みながら、二の脚を利かせて
先行策から堂々と押し切り、1番人気に応える横綱相撲を披露してくれた。
ペースが遅かったかというとそんなことはなく、
稍重馬場ではあるが
前半600m通過が34秒6で、これは2010年以降の
根岸Sではもっとも速いペース。
重馬場で差し馬が台頭した昨年より0秒7速かった。
それでいて、
レース上がりが35秒6で、これまた2010年以降でもっとも速い。
勝ち時計の1分22秒0はレコードタイムとわずか0秒1差の好タイムで、テン良し、中良し、終い良しの、
見た目以上に内容の濃いレースだったのではないか。
これで
モーニンはダート1400mで3戦3勝。短距離戦での強さは十分に証明したといえるだろう。また、前走の
武蔵野Sで賞金を加算できなかっただけに、
フェブラリーSやその後に向けて、この勝利が持つ意味は大きいはず。
では、次に向かうと思われる
フェブラリーSはマイル戦となるが、そこで待ち受ける
ノンコノユメへのリベンジはなるだろうか。
血統を見ると、日本における
ヘニーヒューズ産駒は
モーニンと同じ
馬場幸夫氏が所有する
アジアエクスプレスが
朝日杯FS、レパードSを勝っており、
距離の融通性はありそう。
ノンコノユメは脚質的に展開次第の面があるだけに、前に行けることは馬場や展開次第では強みにもなるはず。
モーニン自身はまだダート1600mまでの出走しかなく、距離適性を決めつけるには早すぎるだろう。それでも今回の内容は、
“短距離で強い馬がマイルで勝ち切った”というパターンを久々に見られるかも?と感じさせるに十分なレースぶりだったのは間違いないだろう。