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今年は「勝てる馬」として頂点に立てるのか注目
文/浅田知広、写真/稲葉訓也


シルクロードSってシルクの馬は勝ってないんだよなあ、ロードの馬は勝ったけど(12年ロードカナロア)。……などとバカなことを考えていたちょうどそのとき、ひとつ前の京都10Rでシルクのモンドインテロが勝った、というのはさておき。高松宮記念のステップ、シルクロードSである。

肝心の本番では、そのロードカナロアが③着に敗退したのをはじめ、最近の勝ち馬ではドリームバレンチノやストレイトガールも1~2番人気で②③着と、繋がっているんだかいないんだか。しかしその3頭とも、同年、または翌年にG1馬になっているのだから、G3のハンデ戦とはいえ、注目の一戦であることに変わりない。

今年ここに駒を進めてきたのは16頭。ハンデ57キロ以上の馬は5頭おり、そのうちアースソニック(6番人気)以外の4頭が単勝1~4番人気と、実績馬が注目される一戦となった。

もっとも、その「実績」はなんとも微妙。重賞にかぎっていえば、1番人気のビッグアーサーは昨年夏から②②③着で、2番人気のダンスディレクターもこれまた②②着。オープンを連勝してきたネロは、一昨年のファルコンS⑧着以来の重賞出走だ。

そんな中、前走で京阪杯を勝っていたのが4番人気のサトノルパンだが、こちらはその分(?)「.5」が乗った57.5キロに加え、休養明けである。ついでに言えば、ビッグアーサーネロは、このレースでは00年のブロードアピール以来勝っていない8枠好走しそうな馬こそいれど、ズバリ勝ちそうな馬が見つからない、そんな印象もある今年の一戦だった。

その微妙な①着争いから、ゲートで大きく遅れてしまったのが、トップハンデのサトノルパンだった。一方、先手を奪ったのはローレルベローチェ。母のヘイローフジは09年に、4角15番手から大接戦の②着争いに加わった(④着)が、こちらは逃げ切りで3連勝中の快走馬だ。

昨秋のセントウルSを逃げ切ったアクティブミノルは2~3番手に控え、人気どころでは、その後ろにネロ。そして、いつも通り少し遅めのスタートだったダンスディレクターは、二の脚速く好位のインを確保。ビッグアーサーは中団の外で前を見る展開となった。

ハナを切ったローレルベローチェが後続を離し、前半の600m通過は33秒7で、稍重の馬場ながらも例年よりは速い流れ。これが中距離以上なら「誰が捕まえに行くんだ?」という展開だが、スプリント戦だけにあっという間に4コーナー。直線に向いてもローレルベローチェの逃げ脚は快調で、道中の貯金も考えると差し馬には苦しい展開だ。

しかし、もともと「差し馬」ながら、今回は前々につけたダンスディレクターにはおあつらえ向き。前走は8枠から道中外々でロスもあったが、今回は最内枠で距離損なしの競馬も味方につけられた。前へ行った分だけ末脚が鈍るようなこともなく、好位から他馬とは1頭違う末脚を繰り出し、鮮やかな差し切り勝ちとなった。

今回だけを見れば、なんでこの馬が前走まで[5.6.1.3]と②着が多いんだ、というレースぶり。折り合いの心配が少ない1200mに短縮し、それでもうまく好位を取れたことがこの快勝に繋がった面もありそうだ。

さて、次は阪急杯を挟む可能性もあるようだが、大目標は高松宮記念。昨年のCBC賞は直線で不利を受けながらも②着と好走しており、コース替わりにも不安はない。母のおじウイニングチケットやロイヤルタッチは古馬になってからひと息の結果に終わってしまったが、こちらはじっくりと力をつけ、いよいよG1初出走になる。この勝利をきっかけに、今年は「勝てる馬」として頂点に立てるのか注目だ。

対して、デビュー以来初めて馬券圏内を外してしまったのが1番人気のビッグアーサー北九州記念以降は5番枠以内を引いていた馬が、今回は大外16番がこたえただろうか。ただ、いったん勢いが止まってから、もうひと押しを見せるスプリンター(やサクラバクシンオー産駒)も多いもの。まだまだキャリアも浅いだけに、また巻き返してくれることを期待したい。