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今回の勝利は春の大一番に向けて大きな意味を持つ!?
文/編集部(W)、写真/稲葉訓也


1番人気(単勝3.0倍)はダッシングブレイズ、2番人気(単勝3.9倍)はダノンプラチナ、3番人気(8.3倍)はグランシルク。4歳馬が3番人気までを占める形となったが、オッズで見れば上位の2頭が抜け出していた形。割れ気味のオッズの中でも「どちらかが勝つ可能性が高いのでは!?」という雰囲気だった。

確かに。ダッシングブレイズは芝1600mで[5.2.0.1](唯一連外のシンザン記念もタイム差なしの④着)と安定感抜群で、東京芝1600mは2戦2勝ダノンプラチナは芝1600mで[4.0.0.1]で、敗れたのは前走の香港マイル(⑦着)だけ。それも出遅れたり、道中でゴチャつく場面もありながらの0秒4差。東京芝1600mに限れば3戦3勝と負けなしで、マイルG1勝ちの実績もある。

ただ、ダノンプラチナは香港帰りに加え、太目残りが囁かれるなど(実際に11kg増で過去最多体重の488kg)したせいだろう、実績的には最上位ながらダッシングブレイズに1番人気を譲る形となった。

レースはトーセンスターダムが大きく出遅れ、ダノンプラチナも出遅れたが富士S(①着)と同じレベル。「富士Sの脚が使えれば差し届くだろう」などと考えていると、押してハナを取りに行くのがダノンプラチナと同じ芦毛のディープインパクト産駒だから度肝を抜かれた。

過去にも何度か先行策を採ったことのあるスマートレイアーだが、エリザベス女王杯で後方一気の競馬をした直後。吉田隼騎手には出して行く心構えがあったようだが、それにしてもハナに立つとは。

好位グループで競りかけていく馬もおらず、画面に表示された600m参考タイムは36秒0。気持ち良さそうに先頭を走りながら4コーナーを通過するスマートレイアーを見て、ダノンプラチナが差し届くのかどうか、ちょっと雲行きが怪しくなって直線での攻防へ。

後続がスマートレイアーに迫るが、残り400m付近で吉田隼騎手のムチが入ると加速してリードを広げにかかる。余力のある後続も脚を使って伸びるが、よ~いドンがお得意のスマートレイアーとの差は簡単には縮まらず。上がりを33秒5でまとめて2馬身差の快勝だった。

過去2年のヴィクトリアマイルは差し届かず⑧⑩着と敗れているだけに、今回のように前で競馬ができたことは大きな収穫となったのではないだろうか。

また、東京新聞杯を制した牝馬と言えばホエールキャプチャ(14年)がいて、同馬はヴィクトリアマイルで①②④着。昨年の勝ち馬ヴァンセンヌ、3年前の勝ち馬クラレントは昨年の安田記念で②③着。今回の勝利はヴィクトリアマイルに向けて大きな意味を持っていそうだ。

一方、1000m通過は3歳限定で9頭立てのきさらぎ賞より0秒8遅い60秒6で、3番手のエキストラエンドが②着、2番手のマイネルアウラートが③着。典型的な前残りとなり、ダノンプラチナ富士S(32秒8)に匹敵する脚(33秒0)を使ったものの、マイネルアウラートからアタマ差の④着まで追い上げるのが精一杯だった。

とはいえ、展開不向き、内有利な馬場で大外を回り、香港帰りで良化途上だったとすれば負けて強し地力の高さは示した格好だろう。

ダッシングブレイズは直線半ばで内ラチに接触して浜中騎手が落馬するアクシデントがあって競走中止。馬は異状なしだったのは何より。浜中騎手は府中市内の病院に搬送されたようで、大ケガでないことを祈るばかりだ。