最上位のパワーと持続力の持ち主がディーマジェスティだったのだろう
文/編集部(M)、写真/川井博
ハートレーが
ホープフルSを制した時のこのコーナーでは、次のようなことを記した。
「母父がダート色の強い系統だと、
中山や
阪神など直線に急坂のあるコースに適性が高く、その意味で
ハートレーは今回の
中山芝2000mがフィットしたとも思うので、来春は
中山競馬場よりも
東京競馬場で走る時に
クリアすべき課題が出てくるのではないか。」
このことが、図らずも、
ホープフルSから2ヶ月も経たないうちに
現実となるとは……。
ハートレーは
東京よりも
中山の方が向きそうとは思っていたが、それでも今回の「メインレースの考え方」で「◎」を
ハートレーとしたのは、
順調度が他馬よりも上位と思ったからだ。
スマートオーディンや
リスペクトアースは休み明けだったし、
ディーマジェスティもフレグモーネで
ホープフルSを取消して2ヶ月半ぶりの実戦だった。
安全策を採ったつもりで
中6週の
ハートレーを本命にしたのだが……。直線ではまったく伸びる気配がなく、馬群に沈んでしまった。
スマートオーディンは2ヶ月半ぶりで12kg増(494kg)だったし、道中は行きたがる感じだったから、まだ
敗因は想像しやすいが(道悪馬場も初めてだった)、
ハートレーは東京でも道悪馬場でも勝ち鞍があった。
ふた桁馬番は初めてではあったが、それだけであんなに負けるものだろうか。アメリカンな母系の馬で、
気まぐれな面があったりしたのだろうか?
今はまだ解せない気持ちだが、いずれにしても、3歳以下の
ディープインパクト産駒は
芝G1で
前走⑤着以下から巻き返して優勝した馬はいないので([0.3.4.30])、
痛い黒星であることに変わりはないだろう。次走はどこを予定されるのか。
ハートレーにとってはたった一度の敗戦だが、大きな敗戦になってしまった。
断然人気の
ディープインパクト産駒が敗れるレースで、優勝したのが
ディープインパクト産駒(
ディーマジェスティ)というのが
ディープインパクトの凄いところだが、今回の勝利は
道悪馬場(稍重)の巧拙の差も出たのではないかと思う。
鞍上の
蛯名騎手曰く、
ディーマジェスティは
「悪い馬場に戸惑っていた」とのことだが、母が父
ブライアンズタイム×母父
サドラーズウェルズという配合の
ディープインパクト産駒で、最後は
馬力に優る面が出たように感じた。
4コーナーを回って直線に向いた10頭の中で、いちばん最初に
ムチを入れられていたのが
ディーマジェスティだった。それでいて先頭でゴールしたのだから、ズブい面があるのか、根性があるのか、良化途上だったのか。とにかく
パワーと
持続力が今回のメンバーの中では最上位だったのだろう。
ディーマジェスティが東京芝2000mで初勝利を挙げた時は、良馬場でレースの上がり3Fが
34秒3となる中、
33秒5の上がりで突き抜けたが、血統的に見れば、本質は
今回のようなレースであると思う。
今回は稍重馬場ながら前半1000mが60秒0で流れ、上がりが
35秒6とかかった。母父
ロベルト系の
ディープインパクト産駒では、
サトノラーゼン、
ニューダイナスティ、
マイネルストラーノの3頭が過去に芝OPで連対したことがあったが、
サトノラーゼンが昨年の
京都新聞杯を制した時のレースの上がり3Fは
34秒9で、
ニューダイナスティの
14年七夕賞②着は
36秒0、
マイネルストラーノの
12年ホープフルS②着は
35秒9だ。
サトノラーゼンが②着となった昨年の
ダービーは、1000m通過が58秒8で、レース上がりが
34秒6だった。
ディーマジェスティも今後は
上がりがある程度かかるレースの方が向くのではないかと思う。
現3歳の
牡馬路線はハイレベルで群雄割拠の様相を呈していたが、ここにきて少しずつ霧が晴れて、
本当に大きな山が何か、見えてきた感がある。トライアルが本格化するのは来月からだが、今後も
一戦必勝の闘いが続いていきそうだ。