サトノクラウンの前走は“ノーカウント”で正解だったのかもしれない
文/編集部(T)、写真/森鷹史
G1馬の出走こそ
ワンアンドオンリー1頭のみとなったが、重賞連勝を狙う
レーヴミストラル&
ヤマカツエース、さらに前走の
エリザベス女王杯で③着に好走した
タッチングスピーチが参戦し、締まったメンバー構成となった今年の
京都記念。重賞勝ち馬は出走15頭中8頭を数えた。
そんな中、6番人気に甘んじたのが
サトノクラウン。2~3歳にかけて
東京スポーツ杯2歳S、弥生賞を連勝し、
皐月賞で1番人気に推されたほど。その
皐月賞では不利もあって⑥着に敗れたが、
ダービーでは③着に巻き返している。
そこまでは差す競馬で結果を残してきた
サトノクラウンだったが、古馬に初挑戦となった前走の
天皇賞・秋で先行するも、⑰着に大敗した。
結果的にこの
天皇賞・秋が、今回の伏線のひとつになったような気がする。
というのも、
サトノクラウンの出馬表に
「天皇賞・秋⑰着」がなければ、ここはもっと人気を上げてもいい馬。6番人気まで落としたのは、
前走の大敗が影を落とした面もあっただろう。
前走の鞍上を務めた
ルメール騎手は
「よく分からない」という趣旨のコメントを残しているが、敗因が先行したこと、あるいは体調が良くなかった、そもそも古馬相手では荷が重かった、いろいろな可能性が否定できない。
ここで思い出したのが、
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という、プロ野球のヤクルト、阪神などで監督を務めた
野村克也氏が使ったことで有名になった言葉(出典は江戸時代の剣術家・松浦静山の書だそうですね)だ。
確かに競馬を予想する上でも、
敗因分析は欠かせない。ところが同時に、以前ある騎手の方と話をしていて、その言葉にはっと気づかされたことを思い出した。
それは、
「敗因は確かにどこかにあるのかもしれないけど、競馬は相手があるものだし、動物がやることだから、人間には敗因がまったく分からないことも多い。だから、考えすぎても良くない」というもの。
その方は
「面倒だから」と続けたが、これは恐らく謙遜だろう(笑)。
また、
「馬迷男の挑戦」(来週再開予定です。お楽しみに!)で、馬迷男・八木氏が前走で大敗した馬に言及する際、
「負けすぎで、実力を発揮したと思えないからノーカウント」としたことがあるが、これも
「そういう考え方もあるんだなあ」と感心したことも思い出す。
それはともかく、テン乗りとなった
M.デムーロ騎手が前走の内容をどう見ていたかは分からないが、
サトノクラウンは同様に先行策を採った。
一方、前走の
日経新春杯でスローペースの中、33秒1の上がりで差し切った
レーヴミストラルも、前走同様に最後方からの競馬を選択した。
どちらも前走と同じような競馬をした2頭だが、
結果は前走と真逆で明暗が分かれる。
サトノクラウンは4角で先頭に立ち、そのまま後続を寄せ付けず3馬身差快勝。
レーヴミストラルは後方からまったく伸びず⑫着に敗れた。
結果的には、
サトノクラウンの
天皇賞・秋の敗因を分析し、
“大丈夫”と見ても良かったし、
“ノーカウント”と見ても正解だったのだろう。また、昨年の
ダービーで
サトノクラウンは③着、
レーヴミストラルは⑨着だったわけで、
“格”の違いを見出した方もいるかもしれない。
どのようなアプローチであっても、
馬券を的中させれば勝ち。その意味では、自分は負けたわけですが(笑)。
では、今回の
レーヴミストラルの敗因をどう見るか。前走は乱ペースとなる中、自分の競馬に徹しての差し切り勝ちだったが、今回はまったく伸びなかった。敗因を
道悪(今回は重馬場)に見る手もありそうだし、
“ノーカウント”というのも良いだろう。
どのようなアプローチであっても、自分にとっての至上命題は
次の馬券を的中させること。野村監督の域に達するには、まだまだ遠そうですね(笑)。