ノーザンテーストを持つ馬はダイヤモンドSと何かがある!?
文/編集部(M)、写真/川井博
最後の直線で先頭に立った
トゥインクルは後続との差を拡げ、馬群の中から
ダイヤモンドS連覇中の
フェイムゲームが追い込んできた。
稍重とは思えない悪馬場で各馬の差が開き、最後は①着と②着の差が
4馬身、②着と③着の差が
5馬身となった。
雨中での
東京芝重賞で上位がこれだけバラバラで入線したのを見て、思い出したレースがある。
オルフェーヴルが勝利した
2011年ダービーだ。あの時は
不良馬場で、②着
ウインバリアシオンと③着
ベルシャザールが
7馬身差、
オルフェーヴルと
ウインバリアシオンが
1馬身3/4差だった。
2011年ダービーと今回の
ダイヤモンドSは、①着から③着までの差は似ているけれど、②着馬の位置が違いましたね。
ウインバリアシオンは記憶以上に
オルフェーヴルに迫っていたんだなあ。
しかし、調べてから気づいたことだが、
2011年ダービーと今回の
ダイヤモンドSには
共通点がある。すでに見抜いている人もいると思うが、どちらも①着が
ステイゴールド産駒で、②着が
ハーツクライ産駒なのだ。
さらに言うなら、
オルフェーヴルは祖母
エレクトロアートの父が
ノーザンテーストで、
ノーザンテーストの4×3というクロスを持っていて、今回の
ダイヤモンドSを制した
トゥインクルは母父が
ノーザンテーストなので、
ノーザンテーストの4×2というクロスがある。
ステイゴールド産駒が
道悪馬場を得意にしているのは、
ノーザンテーストを内包していることが少なからず影響していると思っているが、そのクロスを持つ馬は
道悪適性の部分が強調されるのかもしれない。ちなみに、
フェイムゲームは
ハーツクライ産駒だが、3代母
ダイナサッシュの父が
ノーザンテーストになる。
今回は
3400mという距離に加えて、
道悪馬場の巧拙が勝敗を分けたのだろう。
フェイムゲームはオーストラリアからの帰国初戦でトップハンデ(58.5kg)を背負い、②着まで追い込んで強さを見せたが、それ以上に
トゥインクルに追い風が吹く結果だった。
過去の
ダイヤモンドSの結果を調べていて、
「意外にノーザンテーストを持つ馬がよく好走しているなあ」と感じていた。
フェイムゲームばかりでなく、母系に
ノーザンテーストを持つ馬では
フォゲッタブル(2010年)や
マッキーマックス(2006年)、
イングランディーレ(2003年)などが優勝していて、過去には直仔の
スルーオダイナが連覇(89年、90年)したこともある。
ただ、予想を記述する際、
スルーオダイナの頃の話を持ち出すのはさすがに気が引けたし、
フォゲッタブルや
マッキーマックスは
ダンスインザダーク産駒で、
イングランディーレは母父が
リアルシャダイだから、
スタミナの源泉は
ノーザンテーストとは別のところにあるものだと思っていた。
しかし、近年でも
ノーザンテースト内包馬は
ダイヤモンドSでよく馬券に絡むので、
「何かの適性がある」と考えを改めるべきなのかもしれませんね。
ダイヤモンドSは冬場に行われる長距離戦で、ボコボコになりやすい今の時期の馬場とマッチする部分があるのだろうか。
今回、
ディープインパクト産駒の
ファタモルガーナが③着に入ったが、同産駒は
芝3000m以上でまたも勝ち切るまでは至らず、その戦績は[0.8.5.31]となった。
思えば
2011年ダービーでも、
ディープインパクト産駒は4頭が出走したものの掲示板外に敗れている。
ディープインパクト産駒にとって今回の
ダイヤモンドSは、距離に加えて馬場も合わず、アンラッキーな面があっただろう。
今年はレースの上がり3Fが
37秒1とかかり、
特殊な条件だったと言えるから、
天皇賞・春が
良馬場で行われるようなら、直結はしづらいだろうと想像する。
もちろん、
天皇賞・春が
道悪馬場になればクローズアップされるのだろうし、
天皇賞・春に限らず、長距離戦が
道悪馬場で行われることは今後にあるはずだから、そのような時の予想の指針にしたいものだ。