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スローペースと血の成せる業だったか
文/編集部(M)

日曜日(27日)の中山競馬では、ダート1200m戦が2R(未勝利)、8R(500万)、12R(1000万)と3レース組まれていた。

2Rと8Rには新人の藤田菜騎手が先行タイプの馬に騎乗していて、それぞれスタートを決めて1~2番手に付けたものの、他馬にも絡まれてハイペースとなり、失速してしまった(2Rのミディは⑦着、8Rのヴェアリアスサマーは⑩着)。

藤田菜騎手JRAでの初勝利を見たかった人にとっては恨めしい展開だっただろうが、2Rも8Rも12Rも前半3Fが33秒台の流れとなり、スリリングなゴール前となった。

そのような条件戦が見ごたえのあるレースになったからといって、さらに上級のレースでもっと激しくなるかと言えば、そうとは限らないのが競馬の面白いところ。というか、哀しいところ?

今年のマーチSショウナンアポロンがすんなり逃げてスローに落とし、1000m通過が63秒3だった。前日(26日)の1000万特別(9R鹿島特別)が62秒7だったばかりか、同日の古馬500万(7R)が62秒5で、同じく同日の3歳500万(5R)が62秒7という通過タイムだったから、いかに遅かったかが分かる。

1000m通過63秒3というのは、重賞となってからのマーチSにおいて、もっとも遅いタイム。これまでのベストスロー(?)は96年の63秒2で、63秒台だったことはその一度しかない。62秒台だったことも2度しかなく、今年は歴史的スローだった。なにせ1Rの3歳未勝利戦も63秒3でしたからね。。。

マーチSは、かつては良馬場なら1分50~51秒台の決着が多かったのだが、3年前(13年)が1分52秒6で、昨年(15年)と今年が1分52秒7。以前よりも勝ち時計が遅くなっているのは、哀しくなる話だ。来年には好時計の決着になってほしいなと思いますね。

今回、初挑戦で重賞制覇を飾ったショウナンアポロンは、スローペースに加えてハンデ54kgも効いた印象をもたれるかもしれないが、軽量よりも血の成せる業かなあという気がする。

ショウナンアポロンは500万以上での4勝を前走⑤着以下で挙げていて、この変わり身の鮮やかさは母父アフリートの影響だろう。ただ、それだけではなく、5代母がアサマユリで、メジロマックイーン(3代母がアサマユリ)と同牝系になる。シャトーゲイモガミといった種牡馬を掛け合わされていて、スタミナ底力がしっかりしているのだろう。

ダートでこれだけ走っているのはアフリートの影響と考えたくなるところだが、父アドマイヤマックスの影響も無視できないと思う。

アドマイヤマックスは、福島記念を制したアドマイヤコスモス新潟2歳Sを勝利したモンストールなどの芝馬を輩出している一方、根岸Sで優勝したメイショウマシュウやダートOPで活躍しているナガラオリオンも出している。自身はで走ったが、ダートもいけるタイプだ。

で活躍したアドマイヤコスモスモンストールは母父がノーザンダンサー系だが、メイショウマシュウは母父がスキャンで、ナガラオリオンは母父がトワイニング。そして、今回のショウナンアポロンは母父がアフリートで、母父がミスプロ系だとダートの良さを引き出す面があるのだろう。芝でもダートでも複数の重賞ウイナーを出しているのだから、素晴らしい。

ショウナンアポロンは、前述した通り、メジロマックイーンと同じ牝系で、東京ダート2100mでも2勝を挙げている。長距離や厳しいペースでスタミナを問われても対応できる力はあるはずで、決してスローペースが巧者なだけではないことは忘れないようにしたい。馬格のあるタイプで、今後、重斤量でも侮れない局面が出てきそうだ。