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本番もハナ差の大接戦になるかも!?
文/浅田知広

今年の3歳マイル重賞、牡牝混合戦はシンザン記念の①~④着がクビ+クビ+ハナ。そしてアーリントンCハナ+ハナ+クビでした。では、ニュージーランドTはどうなるでしょう?

[1]ハナ+クビ+クビ
[2]クビ+ハナ+ハナ
[3]その他

「その他」になる確率が圧倒的に高いのは間違いないが、どうにも[1]か[2]を選びたくなる流れで迎えた一戦である。

そんな混戦を受けてのレースとなれば、人気は過去の着順通りとはならならいもので、アーリントンCを制したレインボーラインは4番人気止まり。ハナ差②着のダンツプリウスが、今回と同コースのジュニアCを制していることもあってか、2番人気に推されていた。

と、前走重賞連対馬が2頭いるにも関わらず、1番人気はほかの馬。アストラエンブレムシンザン記念④着で、レインボーライン(⑥着)に先着。1番人気が妥当かは別にして、こちらはレインボーラインより上、というのは順番通りだろうか。さらに、その間に重賞未経験の3番人気サーブルオールが挟まり、まあ誰がどの馬を本命にしようとも「その考えもありだよね」と言える面々だ。

そんな上位人気勢は、中団以降に待機して軒並み終い勝負。これでペースが遅ければ荒れそうだが、前半の600m通過は34秒9とまずまずの流れである。こうなると、先行勢が止まったところに差し馬が押し寄せる、しかし明らかな実力上位馬不在とくれば、またもゴール前は僅差の混戦、というシーンが見えてくる……、と思ったら、もう4コーナーで馬群は一団になっていた。

そんな馬群を引き連れ先頭で直線に向いたのは、先行したキャプテンペリー。そして外からは、早めに動いていったダンツプリウスがいつでも交わせる手応えでこれに迫っていった。その後ろには、後方から内をうまくすくったレインボーライン、外からはサーブルオールアストラエンブレム。これら人気どころに、内からエクラミレネール、外からストーミーシーとふた桁人気の2頭が加わるなどして、予想通りの大混戦だ。

しかし、ここで事件発生。大外から強襲したストーミーシーが内に切れ込み、アストラエンブレムレインボーライン、そしてハレルヤボーイの進路を妨害してしまったのだ(着順変更なし、江田照騎手騎乗停止)。

ただ、一歩前にいたダンツプリウスストーミーシーの追い込みをハナ差で封じ、結果的に進路が狭まることもなし。③着にはクビ差で、やはり内で影響を受けなかったエクラミレネールが入り、そこから4分の3馬身離れてアストラエンブレム、そしてハナ差でレインボーラインの順となった。

と、ゴール前でひと波乱はあったものの、この混戦を断ったのは、アーリントンCではハナ差負けを喫していたダンツプリウス。2走前のジュニアCでは、後に毎日杯で②着になるアーバンキッドをハナ差で下しており、これで3戦連続ハナ差ばかりで①②①着。アーリントンCのハナ差負けは、M.デムーロ・パワー(勝ったレインボーライン騎乗)に屈したということにしておこう。

ダンツプリウスはスパっと切れるタイプではないが、昨秋の初勝利後はこれで[2.2.1.1]。2000mの京都2歳Sこそ⑨着敗退を喫したものの、1800m以下では安定した成績だ。

東京のNHKマイルCになると、毎日杯を制したスマートオーディンのような切れる馬に……と思ったら、スマートオーディンはどうやら京都新聞杯からダービーとの話もちらほらと。桜花賞皐月賞組の動向もわからないが、なにせこの路線、冒頭で触れたように混戦続き。似たようなメンバーなら似たような走りで、やっぱりハナ差の大接戦になるかもしれない。

そして、斜行しつつも②着に入ったストーミーシー。脚色は明らかに上回っていただけに、現状のルールに照らせば「その影響がなければ11番、3番および2番が8番ストーミーシーより先に入線したとは認めなかったため」という裁決レポートの内容は妥当に思える。

ただ、仮に「まっすぐ走らせようと努力していたら」どうなっていたか。もたれるのを矯正したら差せなかったとか、逆に差されたとかいうシーンも多々見るもので、被害馬を買っていた側からすれば納得できない面もあるに違いない。①~④着の着差は「ハナ+クビ+3/4」。この斜行がなければ[1]の「ハナ+クビ+クビ」だったかもしれないのに、と違うところでガッカリしている人もいたりもする。

ともあれ、ストーミーシーは初のマイル戦ながら爆発的な脚を繰り出し、本番の優先出走権も獲得した。この馬自身、斜めに走って多少なりとも距離は損しているだけに、今度はきれいな競馬できっちり差し切り、という可能性も十分にあるだろう。