6歳にして重賞初制覇、またどこかで一発も!?
文/浅田知広、写真/森鷹史
福島牝馬Sは過去10年、4歳馬が
[4.4.3.66](連対率10.4%)、5歳馬が
[5.6.4.45](連対率18.3%)。連対馬20頭中19頭が4~5歳で、それ以外は07年の優勝馬スプリングドリュー(7歳)だけと、
圧倒的に4~5歳馬優勢のレースだ。
中でも今年、ちょっとおもしろいメンバーだと思ったのは4歳馬のほう。1番人気に推された
シャルールは、2歳夏の
新馬を6馬身差で圧勝し、続く
アルテミスSは2番人気。そのままクラシック路線へ、という期待も高まったが、そこで⑧着に敗れると結局、昨年11月まで
新馬の1勝のみにとどまっていた。しかし、そこから
条件戦3連勝。優に
アルテミスS①着を超える賞金を稼いでここに駒を進めてきたのだ。
対照的なのは、
デビュー3連勝、その後は⑤着以内もなしという
キャットコインや
ディープジュエリー。また、
フェアリーS後は馬券に絡めない
ノットフォーマル、
紫苑S後は苦労している
クインズミラーグロもこちらのグループだろうか。そしてその間が、じわじわと来た
アースライズになる。
牝馬限定G3、そして
ヴィクトリアマイルへ向けたステップレースでもあるが、4歳馬だけを見ても歩んできた道は多様。この手の流れでは、
勢いで優る馬が好結果を出すことも多いが、別の視点では
前走1600万組連対なし。
中山牝馬S組が
連対馬20頭中13頭というデータも見ると、すんなり
シャルールという話ではないようにも思える。
というわけで、最初は4歳馬に注目したものの、結局10年で1連対しかない7歳馬
メイショウスザンナを軸に据えるという、意味不明の流れでレースを迎えてしまった。いや、
中山牝馬Sの③着以内馬は
[5.3.2.4](複勝率71.4%)で、今年は
メイショウスザンナだけだったのだから、年齢なんて気にしないことにした。
レースは先行も考えられた
ミナレットが後方からになったが、同じ6歳馬の
オツウと
マコトブリジャールが先頭、2番手。人気の
シャルールは大外枠で少々の
ロスは喫したものの、好位の一角には取りついて向正面へと入っていった。
前半の800m通過は48秒2。ただ、向正面で少々ペースが落ちたため、2コーナーではやや縦長だった馬群が、3コーナーではぎゅっと凝縮。とくに中団以降はごった返すような形で4コーナーへと向かっていった。
ただ、前は特に馬順が変わるわけでもなく、すんなりと直線へ。一方、
シャルールはまくってくる馬も見つつ、ひと息入れてから外に出して追い出される形になり、1コーナーに続いて少し
ロスのある競馬になってしまった。
結果としては、その分が最後の最後に響いた形となった。ハナを切った
オツウの2番手で進めた
マコトブリジャールが残り200mで先頭に立ち、リードは半馬身、そして1馬身。大外から
シャルールも勢いよく迫ってきたものの、結局は馬体を並べるにも至らず1馬身と4分の1差。前々でさばいた15番人気
マコトブリジャールが見事、
6歳にして重賞初制覇を飾ったのだった。
そして1番人気の
シャルールを挟み、③着は同じく6歳・13番人気の
オツウの逃げ粘り。年齢を気にしないことにしたまでは良かったものの、ほとんどノーマークだった6歳勢の①③着とは参った。
ともあれ、大激走を見せた
マコトブリジャールは、昨夏の
福島テレビオープンで③着はあるものの、福島経験はこの1走のみ。そして近走は
チャレンジC52キロで⑫着、そして
愛知杯は53キロで⑧着。なかなか別定54キロで手を出そうとは考えられず、16頭立て15番人気も仕方なかろう。
ただ、以前は
秋華賞で②着からは0.2秒差の⑨着、そして昨年の
京都牝馬Sでは勝ち馬から0秒1差の④着といった成績もあり、むしろ前走あたりは走らなすぎたという結果。小回りに限らず好走できる馬でもあり、
またどこかで一発がある可能性は常に考えたいタイプだ。
一方、②着の
シャルール。最初は外枠が災いし、4コーナーでは馬群に入ってしまったのが災いし。これで連勝が止まってしまうのはちょっと惜しいという内容で、外に出してからはしっかりとした脚を見せていた。
ヴィクトリアマイルは、最初につまずいた
アルテミスSと同じ東京芝1600mになるが、
初音Sの走りを見れば東京コースは問題ないはず。出走すれば1年半がかりの雪辱戦、今度は好結果も期待できそうだ。