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内枠を味方につけた好騎乗が、初重賞制覇に導いた
文/編集部(T)、写真/川井博


マイラーズCが京都開催となって今年で5年目。過去4年の年齢別成績を見ると5歳馬が[3.1.3.14](33.3%)と好成績で、4年すべてで馬券圏内に入り、昨年までで3連勝中だった

ところが、データ派にとっては残念ながら?今年は5歳馬の出走がゼロ。となると、年齢を重視した予想はしづらい。「5歳より若い馬を重視するか、より年長の馬をとるか」という選択をする手もあったのかもしれないが、なぜかそれをしたくない気分になったのは、自分が年をとったからでは、という気もします(笑)。ともかくこの5歳馬のデータはまだ健在なので、来年は注意しましょう。

そんな中年男の無駄な抵抗は置いておいて、このマイラーズCが開催されるのは京都芝外1600m。このコースの重賞といえば、かつてはディープインパクト産駒の独壇場というイメージがあり、実際に14年は出走馬がいた5レースすべてで勝利していた。

ところが、昨年以降は様相が一変。今回のマイラーズCを含めて、出走馬がいた8戦連続で勝てていない。このコースで重賞勝ちを収めたディープインパクト産駒は、14年マイルCSダノンシャークが最後となる。

そして、今年1番人気に推されたのがそのディープインパクト産駒で、馬番7番に入ったフィエロ。これで一昨年、昨年に続いて3年連続での1番人気となった。

一方、前述のダノンシャークが馬番1番、3番人気に推されたクルーガーが馬番2番と、有力視される2頭が内枠に入っていた。

このレースは開幕週での開催。土曜は週中に降った雨の影響もあってか、外枠の馬の好走も多かったが、日曜の芝はこのレースまですべて馬番4番以内の馬が連対しており、枠の恩恵を受けそうなのがこの2頭だった。

果たして、レースを制したのはクルーガー。出負け気味のスタートを切ったが、枠なりに最内を通って距離ロスなく進め、直線でもポッカリと空いた最内から馬番4番のクラレント(③着)を交わし、②着に入ったダノンシャークとの接戦を制した。

スタートで後手を踏みながら、慌てずに内で我慢した松山騎手の好騎乗が光った形。ミッキーアイルで久々の逃げを打って勝利に導いた今年の阪急杯でも感じたが、待望のG1(Jpn1)制覇を飾った昨年のJBCスプリント以降、思い切りの良い騎乗ぶりが目立つ印象を受ける。今後はますますG1で活躍する姿を見られそうだ。

そして、結果的には内枠の4頭のうち、3頭が馬券圏内を占めた。終始外目を回り、直線でも外を通って伸び切れず④着に敗れたフィエロ(馬番7番)とは対照的だった。

勝ったクルーガーは確かに枠順の恩恵も受けたかもしれないが、初のマイル戦で上々の末脚をみせた。これで芝1600~1800mで3戦してすべて勝利。昨年は芝2600mでも走っていたように、スタミナの裏付けが必要になる府中のマイルも苦にはしなさそう。安田記念に行ったとしても要注目だろう。

一方のフィエロは、これで過去3年のマイラーズCで人気を集めながら②着→③着→④着と、年を経るごとにひとつずつ着順を下げることになった。

このコースで開催されたマイラーズCを振り返ると、ディープインパクト産駒が馬券圏内を独占した14年は1分31秒4のレコード決着。それに対し、今年も含めてそれ以外の4回は1分32秒6以上での決着となっている。

これを見る限り、そこそこ時計がかかる馬場となっていることが、ディープインパクト産駒にとってマイナスに働いている可能性もありそう。これから1ヵ月半開催される京都開催では、馬場状態の変化には特に注意を払った方が良さそうだ。

とはいえ、今回フィエロが記録した走破時計1分33秒0は昨年のマイルCS(②着)と同じ。力の衰えはまだなさそうなので、今後も展開や馬場次第でチャンスはあるはずだ。