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大一番でついにこの馬本来の力を発揮、ということになれば!?
文/浅田知広、写真/稲葉訓也


1番人気に推されたレーヴァテインが単勝4.2倍。そしてプロディガルサンメートルダールを挟み、4番人気のヴァンキッシュランで5.1倍。重賞で1番人気と4番人気が1倍差以内というのも珍しいんじゃないか、と思って調べれてみれば、実はこれがそこそこの数があった。

直近では14年の朝日杯FS、1番人気ダノンプラチナ4.6倍(①着)、4番人気アッシュゴールド5.3倍(⑧着)。その前は11年のスプリングSで、1番人気オルフェーヴル4.7倍(①着)、4番人気ベルシャザール5.5倍(②着)で、意外にもどちらも1番人気が優勝という結果。そしてオルフェーヴル、アッシュゴールドの兄弟が絡んでいる……のは単なる偶然だろう。

今回は両馬の兄ドリームジャーニーの産駒アルカサルが出走していたが、残念ながら(?)ここには絡めず6番人気の10.0倍だった。

ともあれ、上位4頭は甲乙つけがたく、さらに言えばアルカサルの次位、7番人気のマイネルハニーでも10.6倍という大混戦になった今年の青葉賞。例年より少ない13頭立てにはなったものの、熱い闘いが期待できそうな雰囲気だった。

そんな中、ちょっとした因縁らしきものがあったのは、1番人気のレーヴァテインと4番人気のヴァンキッシュラン。2月6日に同じ東京芝2400mの500万戦で激突し、直線併せ馬の態勢からヴァンキッシュランが競り勝っていた。しかしヴァンキッシュランはゴール前で外によれ、レーヴァテインの進路を妨害したとして、②着に降着処分となってしまった。

つまり、ヴァンキッシュランがまっすぐ走っていれば、レーヴァテインが勝っていた、という裁定である。そんな裁定を素直に受け取った形と言うべきか、フタを開けてみればレーヴァテインが1番人気、先着したヴァンキッシュランは僅差とはいえ4番人気という評価になった。

レーヴァテインには、09年のアプレザンレーヴ、昨年のレーヴミストラルと兄2頭がこのレースを勝っている、という加点もあっただろうか。ちなみに、アプレザンレーヴで勝った内田博幸騎手は、今回ヴァンキッシュランの手綱をとっている。

その2頭、まずヴァンキッシュランは好スタートから4~5番手につけたものの、レーヴァテインは少々の出遅れ。そこから徐々に巻き返して後方集団の前にはつける形となった。

前半1000mを61秒3で通過すると、先頭のマイネルハニーはペースを上げ、前はバラバラの展開に。この前のグループに2番人気のプロディガルサンがいたためか、後続集団の先頭にいたヴァンキッシュランが早めに脚を使っての追い上げ。レーヴァテインはこれを2~3馬身差で追撃したが、今回は併せ馬になる前に、ヴァンキッシュランの末脚が爆発した。

前のプロディガルサンを捕らえに出たところで、右ムチに反応して内によれたときには「やってしまったか」と思ったが、今回はおとがめし。あっという間に先行勢を交わし去ると、最後は少々止まった感もあったとはいえ、②着レッドエルディストに1馬身4分の1差をつける完勝でダービーへの切符を手にした。

これで芝2400mは3戦連続1位入線。走り慣れた距離で、いよいよ次は日本ダービーである。決してお行儀の良い勝ち方ではなかったが、降着になった前々走は外によれ、阪神の前走は内、そして今回も内。どうやら右回り左回りという問題ではなく、単にムチを入れられた側と反対方向によれやすいように見受けられる。因果関係さえわかってしまえば、対策だって立てられるもの。大一番でついにこの馬本来の力を発揮、ということになれば、ビッグタイトル奪取も夢ではない。

一方レーヴァテインは、ちょっと動くタイミングが悪かったのか、それとも休み明けのせいなのか。後ろからきたレッドエルディストに交わされ、3馬身の差をつけられる③着敗退。このレースを制した兄2頭のほか、ナイアガラ、レーヴドリアンも加えた兄弟5頭目のダービー出走とはならなかった(と思われる)。もっとも、兄4頭はダービーで好結果を出せてはいないだけに、ここで権利を取り逃したことがかえって良かったと言えるような、さらなる成長を見せてほしいものだ。