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ディープインパクト似が有力候補の一角としてダービーへ!
文/浅田知広、写真/森鷹史


スマートオーディン毎日杯を制した直後には、かなり高い確率でNHKマイルCへ向かい、父ダノンシャンティとの父子制覇を狙うものだとばかり思っていた。しかしほどなく、京都新聞杯から日本ダービーを目指すとの発表があり、その通りにまずはここへと駒を進めてきた。

NHKマイルCに出走しても上位人気必至、G2のここなら1番人気……というのは当然として。過去5戦はすべて1800m戦、それも京都・阪神の外回りか東京コースで走っており、今回、コーナー4つの2200mをどうこなすのか、そしてファンにどの程度不安視されるのか。

フタを開けてみるまでわからなかったが、前走の単勝1.7倍から少し上がって2.0倍。毎日杯に比べれば相手が強化された感もあり、オッズは上がっても別に評価が下がったわけではない……というくらいだろうか。

その「強化された」相手の筆頭(2番人気)に支持されたブラックスピネルは、デビュー以来[2.2.1.1]と安定しており、前走で距離も経験している。そして3番人気エルプシャフトは1戦1勝ながら、ブエナビスタの半弟という良血馬である。

逆にちょっと評価を下げたかな、と思えたのはきさらぎ賞2番人気③着のロイカバードで、これが4番人気。まあ、このあたりはなにが勝っても別に驚きはしないという面々であり、このメンバーで勝ち切ればダービーでも有力候補に、という争いだ。

迎えたレースは、そんな人気の一角を占めていたエルプシャフトがぽこんと出遅れ、さらに無理に前を追うこともなかったため、離れたシンガリからの競馬になった。そして、そちらに目を奪われていた隙に(?)スマートオーディンもぐぐっと控え、1、3番人気が後方から1~2番手という、なんとも波乱含みの幕開けである。

一方、前では人気薄のカルムパシオンアグネスフォルテが先行し、人気どころではこれを見る形で好位の一角にブラックスピネルロイカバードもその直後につけ、前半の1000m通過は60秒8。このところ60秒を切る年ばかりだったが、今年はまずまず落ち着いた流れで、最後方のエルプシャフト以外はさほど差のない展開となった。

こうなると、気になるのは後方2番手のスマートオーディンだ。まず展開的に差し馬は苦しくなりかねない上、ペースが遅ければ折り合いをつけるのにも苦労しそうなタイプ。実際、戸崎騎手も腰がやや上がり気味になりつつ、なんとかなだめている、といった追走だったが、掛かったと言うには至らないくらいで踏みとどまっていた。

そして、坂の下りからペースが少し上がったくらいでは追い上げにも苦労せず、逆にスムーズに前へと進出。直線入口でやや内に切れ込む場面はあったものの、もう差し切り濃厚という態勢だ。

もっとも、今回はなにせ初距離。ましてや完全に折り合った追走でもなかっただけに、直線で手応えほど伸びずに終わる可能性もあったのだが、今回に関してはまったく問題なし。ロイカバードブラックスピネルを外からあっさり捕らえると、前々で粘るアグネスフォルテも残り200mで交わし去って、見事に重賞連覇を飾ったのだった。

これで文句なしにダービーでは有力候補の一角として数えられるスマートオーディン。東京では先行した共同通信杯で⑥着敗退を喫しているが、東京スポーツ杯2歳S優勝の実績もあり、掛からず脚を溜めていければ共同通信杯のようなことはないはずだ。

血統的には、どうも「父ダノンシャンティ」に目が行ってしまうが、母レディアップステージPetitionBustedAlzaoの系統が順に配合されており、これはウインドインハーヘア(ディープインパクトの母)とまったく同じ。また、ダノンシャンティサンデーサイレンスの孫でもあり、スマートオーディン自身がディープインパクトと似た配合と言ってもいいだろう。

ちょうど、先日の天皇賞(春)では、ディープインパクト全兄ブラックタイドを父に持つキタサンブラックが優勝したところ。ディープインパクト産駒ではなく、しかしディープインパクトっぽいなにかが勝つ流れ……なんてものが果たしてあるのか。いずれにしても、皐月賞で上位を占めたディープインパクト産駒相手にどんな競馬を見せてくれるのか、本番が楽しみになってきた。