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一変劇の伏線は08年にあった
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也


かつて大相撲の力士たちは、「一年を二十日で暮らす良い男」と言われていたそうだ。江戸時代の大相撲は年二場所で、一場所10日間だったことからこう詠われたそうだが、これに倣えば、パッションダンス「一年を新潟で暮らす良い男」といったところか。

いや、栗東・友道厩舎所属なので、暮らしてるのは滋賀県栗東市、もしくは牧場なんでしょうけれど(笑)、“賞金を稼ぐ”という意味では、新潟あってのパッションダンス新潟芝外回りコースあってのパッションダンスであることに間違いないだろう。パッションダンスは5歳以降が[3.0.0.12]で、3勝すべてを新潟芝外回り2000mでの重賞(新潟大賞典新潟記念)で挙げている。

「メインレースの考え方」にも記されていた通り、新潟大賞典前走④着以内の馬が勝利するケースが多く、外回りの2000mコースで施行されるようになった02年以降では、勝ち馬の14頭中12頭が前走④着以内だった。前走が掲示板外で勝利したのは1頭だけで、前走掲示板内の馬から軸を選び出すことは、来年以降も有効な作戦であるだろう(今年も②着は前走④着のフルーキーだった)。

しかし、パッションダンスは、前走が好走実績のないダートだったとはいえ最下位(⑯着)に敗れていて、今回は文字通りの一変だった。前走で勝ち馬から6秒9も離されて負けた馬が次走で重賞を勝ったのだから、これは快挙だろう。

調べてみたら、90年以降のJRA平地重賞の勝ち馬で、前走で4秒以上離されて敗れていた馬は11頭いて(今回のパッションダンスが12頭目)、最大着差は98年日経賞テンジンショウグン(前走が10秒2差の⑨着)だった。ただ、テンジンショウグンの前走は障害戦で、前走が平地戦だった馬に限ると、94年目黒記念ナリタタイシン(前走が9秒4差の⑰着)が1位。今回のパッションダンスはそれに次ぐ記録だ。

この一変劇は得意コースだったからに他ならないだろうが、調べてみたら、その伏線が08年にあった。前走が掲示板外で新潟大賞典を制した馬が1頭だけいると前述したが、それが08年のオースミグラスワン(前走がマイラーズC⑨着)だった。

オースミグラスワン新潟芝外回りの2000mを得意にした馬で、4歳時(06年)に新潟大賞典を制し、その翌々年(08年)に6歳でも同レースを勝利した。オースミグラスワンは後方から追い込む馬で、先行して押し切るパッションダンスとは脚質が異なるものの、どちらも大型で、長い直線をズンズンと伸びる末脚は共通している。

今回のパッションダンスは、「メインレースの考え方」で記された3つの好走ポイントのいずれにも該当せず、さらには、過去10年で穴を開けた馬に共通していた条件もクリアしていなかったが、それでも勝利してみせた。オースミグラスワン同様に、無類のコース巧者だけは過去データを度外視して評価すべきだったのだろう。これは来年以降も参考にしたいですね。

ちなみに、オースミグラスワン新潟大賞典を2勝しているが、夏の新潟記念は4歳時に一度挑戦して⑥着に敗れている(休み明けだった)。パッションダンス新潟大賞典を2度勝ち、新潟記念も昨年に優勝しているのだから立派だ。

新潟大賞典新潟記念もハンデ重賞なので、勝利を重ねるほどに斤量が増加していくのだろうが、新潟記念連覇、そして新潟芝外回り2000m重賞での4勝目という金字塔を目指して今夏も頑張ってほしいものだ。