古馬との対戦まで順調に進み、ダート戦線を盛り上げてほしい
文/浅田知広、写真/稲葉訓也
昨年1番人気④着のゴールデンバローズと、今年の1、2番人気、
ストロングバローズと
ゴールドドリームがややこしい。ついでにゴールデンバローズが直前の
東京10R青梅特別に出ていた(②着)ものだから、もっとややこしい。
という話はさておき。将来の
ダート王が数多く勝利を飾っている
ユニコーンS。いや、カネヒキリやウイングアローのような
ダート王のみならず、芝「でも」活躍したアグネスデジタル、そして芝「で」活躍したタイキシャトルなど、とにかく勝ち馬には
後のトップホースが数多く名を連ねていた。
05年のカネヒキリ以降は、以前に比べるとちょっと、というところもあったものの、13年のベストウォーリアは
南部杯連覇を達成。そして昨年のノンコノユメは、次走で
ジャパンダートダービーを制し、中央の
チャンピオンズC、
フェブラリーSで連続②着と、ここにきて盛り返してきた感もある。
そんな流れを受けての今年、将来の
ダート王候補に名乗りを上げるのはどの馬か。
伏竜Sを快勝した
ストロングバローズと、
兵庫チャンピオンシップ②着の
ゴールドドリームが単勝3倍前後で1番人気を競り合い、少し離れて
青竜Sの優勝馬
グレンツェントという
ファンの支持になった。
6月開催になってからの優勝馬(中央馬)は、14頭中11頭が前走でオープンや重賞を使ってきた馬。
今年の優勝候補はやはりこの3頭、という評価が妥当だろう。
芝コース上でゲートが開き、真っ先に飛び出していったのは1番人気の
ストロングバローズで、ダートコースに入って
マイネルバサラに先頭を譲って2番手。これを見る形で好位の一角に
ゴールドドリーム。そして
青竜Sで出遅れた
グレンツェントは、今回は互角に出たものの、控えて後方追走となった。
前半の800m通過は47秒3。ここ3年が稍重~不良だったので比較はしづらいが、後半48秒5なら、ダートのマイル戦としては速くも遅くもない程度。その程度の流れで、
強い(と思われる)馬が前にいるのだから、一発を狙う人気薄の各馬には辛い展開だ。
直線に向くと、まったく楽な手応えのまま
ストロングバローズが先頭に立ち、好位から軽く仕掛けられた
ゴールドドリームが、舌をベロベロと出しながら2番手へ。後続はみるみる離れていき、外から
グレンツェントも追い上げてはきたものの、③着争いまでが精一杯。残り300mを切ってからは、前2頭による一騎打ちとなった。
残り200m手前では、いったん2頭の差が詰まらなくなり、そのまま
ストロングバローズが押し切るかという態勢にも見えた。しかし、ラスト1ハロンにかかって
ストロングバローズの脚色がやや鈍ったのか、それとも
ゴールドドリームもひと踏ん張りが利いたのか。再びじわじわと差が縮まりはじめ、最後は
ゴールドドリームが差し切って優勝。①②着の順番は、同じ東京1600mで行われた
ヒヤシンスSの再現、しかし
当時の2馬身差がクビ差に詰まる熱戦として再現された。
前走の
兵庫チャンピオンシップでは、ケイティブレイブに7馬身差をつけられる完敗を喫した
ゴールドドリーム。ただ、そのケイティブレイブは
ヒヤシンスSが④着、そして
伏竜Sで
ストロングバローズに2馬身ほどの差をつけられる③着だったのだから、このあたりはコースや展開、状態次第でいくらでも順番が入れ替わる現状だ。
そして、この世代の
ダート王候補として忘れてならない……というか忘れるまでもなく
知名度ナンバーワンは、
ベルモントSで③着と大健闘を見せたラニ。秋は国内に専念して
チャンピオンズCを目標とするそうだが、そのラニとて、
ヒヤシンスSでは(派手な競馬をしすぎた面もあるとはいえ)
ゴールドドリームの⑤着に敗れている。
さて、これらの
ダート王候補がまとめてものすごく強いのか、それとも古馬勢が力を見せるのか。また、その前には、大井の
ジャパンダートダービーも待っている。コーナーのキツい大井・ナイターの適性となると難しいところもあるが、
ストロングバローズにも逆転の余地は大いにあるだろう。いずれにしても、
各馬順調に古馬との対戦まで進み、ハイレベルの戦いでダート戦線を盛り上げてほしいものだ。