ゼーヴィントはアンビシャスとは異なる場所で活躍する可能性も?
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也
前日売り時点では
ブラックスピネルが
1番人気だったので、
ハンデも
枠(大外枠)も気にしない人がずいぶんいるんだなあと思っていた。
ハンデ戦となってからの
ラジオNIKKEI賞では、ハンデ57kgの馬が未勝利([0.1.0.5])で、
8枠の馬は09年に
ストロングガルーダ(8枠16番)が勝利していたとはいえ、当時は
開催6日目での施行だった。
開幕週での開催となってからは内を回る馬ばかりが優勝していて、土曜日(2日)のレースを見ても、その傾向は変わらなそうだった。
最終的には、
ブラックスピネルは
2番人気となり、
1番人気には最内枠の
ゼーヴィントが推された。
ブラックスピネルが単勝4.1倍、
ゼーヴィントが単勝4.0倍という僅差ではあったが、結局、最内枠を活かして
ゼーヴィントが差し切り、快勝した。
この勝利で、
ラジオNIKKEI賞は
ディープインパクト産駒の連覇(15年
アンビシャス、16年
ゼーヴィント)となった。
福島で行われた同レースでの
ディープインパクト産駒は、
ふた桁馬番だと
⑫⑧⑨着で、
ひと桁馬番だと
3戦3勝だから、来年以降も
ディープインパクト産駒が
内目の枠に入っていたら注目だろう。
レースの1000m通過は
59秒6で、これは昨年と比べて0秒1遅いだけだった(昨年は59秒5)。それでいて勝ち時計は
1分47秒0で、これは昨年の
②着(ミュゼゴースト)相当。単純比較なら、今回の
ゼーヴィントの3馬身ほど前に
アンビシャスがいたことになる。
昨年の
アンビシャスはハンデ56.5kgで、今回の
ゼーヴィントは54kgだったから、2頭にはまだ力差があるのだろうが、今後、
ゼーヴィントは
アンビシャスとは
活躍する場所がズレるんじゃないかとも思っている。
ゼーヴィントと
アンビシャスは同じ
ディープインパクト産駒だが、
母系が異なる。
アンビシャスは母父が
エルコンドルパサー、母母父が
レインボウクエストで、
凱旋門賞で②着以内に入った馬が重ねられている。
一方、
ゼーヴィントは母父が
ブライアンズタイムで、牝系をたどると
ナリタブライアンや
キズナと同じだが、母母父が
デイジュールだ。同馬は
ダンチヒ直仔の
典型的なスプリンターで、その影響が強く出ているのだろう、この牝系の馬は
短距離型が多い。母の
シルキーラグーンも全7勝が1200m以下だった。
アンビシャスの母(
カーニバルソング)も短距離で走った馬で、その面が
アンビシャスの距離適性に出ているんじゃないかと思うが、
ゼーヴィントの方はもっと
短距離に寄った配合と言えそうで、さらに
短い距離で輝きを放つのではないかと推測する。現在は1800~2000mで活躍しているが、将来的には
マイル以下で物凄い切れ味を発揮する、という可能性もあるように思うのだが、どうだろう?
ゼーヴィントは
シルク・ホースクラブの馬で、馬名を見れば分かる通り、母(
シルキーラグーン)も同クラブの馬だった。
ゼーヴィントはノーザンファームの生産で、
シルキーラグーンは現在は白老ファームに繋養されているようだが、クラブ馴染みの牝系から
重賞ウイナーが誕生したわけで、
シルク・ホースクラブの方々も感慨ひとしおでしょう。おめでとうございます。
ゼーヴィントに敗れていちばん悔しい思いをしているのは、
ダイワドレッサーの鞍上・
石川騎手だろうか。同騎手は
ゼーヴィントの前走時の鞍上で、初勝利を挙げた時は
石川騎手だった。
ただ、
ダイワドレッサーは9番人気という低評価だったが、
石川騎手がソツのない騎乗を見せて、②着に入って力のあるところを証明した。
石川騎手はJRA重賞ではこれが初めての連対で、
初タイトル獲得も近づいてきているのではないだろうか。
②着
ダイワドレッサーと③着
アーバンキッドはどちらも前走が
G1で、
前走G1組がこのレースで勝てないジンクスが継続されてしまったが(ハンデ戦となってからは前走G1組が[0.2.4.23])、比較的重いハンデを背負いながら好走する馬が増えてきていて、
傾向が変わりつつあるように感じられる。
G1を走った後だと
ダメージが心配されるものだが、今回の
ダイワドレッサーのように、前走の
G1が休み明けだったりすると、
ダメージよりも
上積みを期待した方が良いのだろう。その辺りは臨機応変に判断すべきと思われる。
③着
アーバンキッド、④着
アップクォーク、⑤着
ブラックスピネルは、いずれも直線で外から追い込んで②着争いに加わり、
コースや枠順が合わない中でも力を見せた。
ダイワドレッサーの前走(
オークス)が同じようなレースぶりだったから(大外枠で外を回りながら差を詰めて0秒4差だった)、評価を下げる必要はなく、むしろ次走以降に
条件が揃ったら積極的に狙っていくといいだろう。