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マイネルミラノ&丹内騎手が人気薄を従えてお見事の逃げ切り!
文/浅田知広、写真/川井博


サマー2000シリーズの第2戦となる函館記念。過去10年の1番人気は10年前のエリモハリアー1勝のみと荒れるレース……と書こうとしたが。考えればこのシリーズはひどいもので(褒め言葉)、札幌記念以外はすべてハンデ戦。過去10年の1番人気の勝利数を数えると、札幌記念が3、七夕賞が2、この函館記念新潟記念が1、そして小倉記念はゼロ。こんな結果にもかかわらず、シリーズ2勝馬が10年で3頭も出ているのだから、やっぱり夏は格より調子、ということだろうか。

もっとも今年の函館記念、1番人気が予想されたレッドレイヴンは前走巴賞の優勝馬だけに、調子が悪いこともないだろう。ただ、近年はその巴賞組がイマイチという面で、ちょっと買いたくはない存在だ。

ところが、そのレッドレイヴンが引き当てたのは10年(函館9回)で[4.3.2.7](連対率43.8%)2枠。さて、どうしようか、と思っていたら、フタを開けてみれば1番人気にならなかった……、そして実際の1番人気バイガエシも同じく好成績の2枠。事前に考えていたことといろいろ違い、大混乱を起こした結果、なにを思ったか16頭立てシンガリ人気・単勝118.3倍のマデイラから買ってしまったのだった(いや、去年の七夕賞③着だし)。

こんなことで良かったのか、などと後悔するまもなくレースはスタート。昨年もハナを切った3番人気のマイネルミラノが先手を奪い、これに続いたのが15番人気のオツウと16番人気マデイラ。以降もおおむね人気のない馬たちが好位~中団を占め、人気どころで前にいるのはマイネルミラノだけという、なにやら怪しげな展開だ。

その他の人気馬で一番前にいたのは4番人気のネオリアリズムで、それでも10番手。レッドレイヴンは後ろから4頭目、これを見る形でやや離れてバイガエシと続いていった。

前半の800m通過は47秒7、1000mは60秒0。小雨で稍重、そしてもともと重そうに見える函館の馬場。一見するとちょっと速いペースに思えるのだが、昼過ぎの3歳未勝利・芝2000mの勝ち時計は2分1秒1。大して重い馬場ではなさそうで、どうやらマイネルミラノのマイペースのようである。

3コーナーを通過すると、そんな展開の見た目通りにマイネルミラノがじわじわと引き離しにかかり、好位からこれについていったのはなんとマデイラ。いやちょっと待て、これホントに来ちゃうのか。そのつもりで買っていながら疑うとはおかしな話だが、ビリ人気を買ったときの心境なんてそんなものだ。

4コーナーにかかると、ようやく大外からレッドレイヴン、そしてバイガエシが追い上げてきたものの、なにせそこまで楽に逃げていたマイネルミラノ。直線に向いてもまったく逃げ脚は衰えず、後続をすいすいと突き放して楽勝態勢だ。

その後方では、マデイラの内に突っ込んだ13番人気ケイティープライドが②着を確保。そして、後方から唯一脚を伸ばした9番人気ツクバアズマオーが③着。いや、人気のバイガエシあたりに交わされるなら仕方ないが、買っていた穴馬が、別の穴馬に差されて馬券圏外というのは、なんとも悔しいものである(しかし大健闘だ)。

と、そんな13、9、16番人気馬を②③④着に従えて、お見事・逃げ切りは地元函館出身・丹内祐次騎手を背にしたマイネルミラノ。一昨年4勝で一気に条件クラスを脱出し、以降はこの路線の常連だった。それだけに、ここが重賞初制覇というのはピンと来ないところもあるが、ここ2戦、新潟大賞典⑤着、エプソムC③着と、調子を上げて挑んだ一戦できっちりとタイトルをものにした。

昨年の函館記念は⑧着だったが、続く新潟記念はパッションダンスと同タイムの②着と好走。今年はこのレースを制し、さて次は同じステップで新潟記念か、それともG2・札幌記念か。いずれにしても、サマー2000シリーズの王座へと大きく前進した。

一方、1番人気のバイガエシは⑤着敗退を喫したが、なにせ前走で1000万条件を勝ったばかりの4歳馬。不向きな展開の中でもメンバー中最速の上がりは記録して、力の一端は見せている。来年の夏には、実績も伴った人気馬として、再びこの舞台に登場してくれることを期待したい。