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サマーマイルシリーズ王者にふさわしい馬が大きく前進!
文/浅田知広、写真/稲葉訓也


中京記念がマイル戦となり、この時期に移動してきて今年で5回目になる。過去4回を振り返ると、上位人気の成績はヒドいもので、1~4番人気は[0.0.2.14]と連対なし。先週の函館記念では、サマー2000シリーズの1番人気は信用できないなどと書いたが、中京記念は今のところ、その上をいっている。

そんな中京記念で今年、上位人気に推されてしまったのは、ダッシングブレイズ(1番人気)にトウショウドラフタ(2番人気)、そしてタガノエスプレッソ(3番人気)という面々。そして競っていた4番人気には、ケントオーが入ってしまった。

このうち、トウショウドラフタは全出走馬中唯一の3歳馬で、残る3頭は4歳である。そこでやはり過去4回の年齢別成績を見ると、3~4歳は合計[0.0.1.4]。このデータだけなら「5頭しか出てないし」で済ますが、先の「4番人気以内連対なし」も併せると、せっかくなら穴っぽい5歳以上を買っておこうぜ、という話になる。6番人気ピークトラムや、7番人気ガリバルディ以下の各馬がその候補だ。

レースはもっと人気薄の6歳馬、昨年⑤着のカオスモス(13番人気)が少し離した逃げを打ち、2番手には昨年の覇者で9番人気のスマートオリオン。その後ろにピークトラムがつけ、主だった人気どころはその後ろ。3番人気のタガノエスプレッソがちょうど中団あたりで、その他の上位人気はすべて3コーナー10番手以下となった。

前半の600m通過タイムは35秒5でゆったりした流れ。馬場が荒れた最終週ということもあり、各馬は内ラチ沿いを開けて4コーナーを通過。直線に向いてもしばらくカオスモスが逃げ粘っており、一瞬、これは大波乱か、という考えも頭をよぎった。

しかし、残り200mを切ると、横に広がった2番手以下から各馬が殺到。中でも、道中3番手を追走していたピークトラムの脚が良く、残り100mで1馬身ほど抜け出した。これで決まりか、と思ったところに、大外から一気に突っ込んできたのがガリバルディ。内の馬群を一瞬のうちに交わし去ると、最後は4分の3馬身抜け出して重賞初制覇を飾ったのだった。

昨年末にオープン入りし、今年の3戦はすべてオープン特別1~2番人気で⑤着に敗退したガリバルディ。それまで馬券圏外は1回のみと安定していただけに、大崩れこそなくても壁に当たった印象は否めなかった。しかし今回は、近走の好位追走とは一転して後方待機策。14年の京都新聞杯では、追い込んで②着とはハナ差の③着に好走した実績もあったが、古馬になってからは初めての追い込みで見事に結果を出した。

思い返せば、半兄のマルカシェンク(父サンデーサイレンス)は追い込み型で、08年の関屋記念を12頭立て9番手から、上がり32秒3の爆発的な脚を繰り出して優勝。父はディープインパクトに替わったものの、ガリバルディがこういう形でマイル重賞を制するのも納得できる話だ。

また、半姉のザレマ(父ダンスインザダーク)は先行型だったが、こちらは09年の京成杯AH優勝馬。今回のガリバルディで、3きょうだいによる、現サマーマイルシリーズ対象レース完全制覇という偉業(?)を達成したことになる。

今度は自身1頭によるサマーマイルシリーズ完全制覇へ……、となる前に、関屋記念も勝てばハンデ戦の京成杯AHは出走しないだろう。ただ、血統的にはシリーズチャンピオンにふさわしい馬が、その座を大きく前進したのは間違いない。

ちなみに、第2戦・関屋記念は、中京記念とは一転、過去10年の連対馬20頭中10頭が1~2番人気。この勝利で人気を集めるなら、それはそれで好材料だ。

そして、見せ場十分の②着だったピークトラムは、13年の新潟2歳Sではハープスター、イスラボニータに続く③着で、イスラボニータとはハナ差。勝ち馬同様に足踏みもあったものの、もともと力を見せていた馬が重賞の舞台に戻ってきた。もちろん、その新潟コースの関屋記念で逆転の余地もあるだろう。

と、5歳馬の2頭、7番人気のガリバルディ、6番人気のピークトラムで決着した今年の中京記念。このインプレの最初のほうで名前を書いた2頭だが、「5歳以上の穴馬」はほかにもいるわけで。シンガリ人気のダンスアミーガを買ったら4着だった、というのは先週の函館記念(16番人気マデイラ④着)再び、である。2週連続でこの結果、ネタにはなるがカネにはならん、さて来週はどうしたものか。