今年の上位馬2頭は、成長力も見せてくれそう!?
文/編集部(T)、写真/川井博
自分に子どもが生まれる前から、
“子どもの成長は早い”という話をよく聞いてきた。そして自分が実際に親になってみると、
子どもの成長に驚かされることは本当に多い。
その反面、やっぱり
親にとっての子どもはいつまでも子どもなんだろうな、と実感することもある。久々に会った母親が、もういい年の息子に
「歯を磨いたか」、
「顔を洗ったか」などと言うのを聞くと、
微妙な気分になるものです(笑)。
最初から脱線したが、
競走馬もレースを使われて成長する面が大きいと聞く。特に世代最初のJRA重賞となる
函館2歳Sは特にレース経験が少ない馬が集まるわけで、めざましい成長力を見せる子どもが走るようなもの。それだけに、出走各馬の
“完成度”と、一度レースを使われたことでの
“成長力”のバランスが問われる(と、思っている)。
そして、こちらとしても予想する材料が少ない分、
持ち時計はかなり重要な要素とせざるを得ない。開幕週のデビュー戦でレコードタイムに0秒1差まで迫る
1分9秒4のタイムを叩き出した
モンドキャンノが単勝1.8倍の人気を集めたのは、ある意味必然だっただろう。
ところが、
今年の函館は2~3週目が道悪での開催。そんな中で勝ち上がってきた馬たちは当然時計面で
モンドキャンノには劣るわけで、
“良馬場でどの馬が時計を詰めるのか?”がテーマに加わってきた。
「例年以上に難しいなあ……」というのがレース前の印象だった。
果たして、今年の函館2歳チャンピオンとなったのは小雨が降る函館2週目の芝1200mで、
1分10秒9(稍重)というタイムで差し切り勝ちを収めてきた
レヴァンテライオンだった。
レースの
前半600m通過は33秒5で、これは90年以降に函館で施行された
函館2歳Sで最速のペースとなった。それでいてレース上がりは2番目に速い
35秒7でまとめ、
1分9秒2というタイムでレコード勝ち。キャリア2戦目で時計を大幅に詰め、追って味がある面を存分に発揮しての勝利となった。
90年以降、函館芝1200mで施行された
函館2歳Sで、勝ち時計が1分9秒台となったのは今年を除くとわずか2回。その勝ち馬は13年の
クリスマスと、97年の
アグネスワールドだ。
レヴァンテライオンは外国産馬ということで、
アグネスワールドと共通点がある。
レヴァンテライオンの
父パイオニアザナイルの産駒といえば、なんと言っても昨年の米三冠馬に輝いた
アメリカンファラオ。同馬はデビュー戦で⑤着に敗れたが、その次戦で未勝利の身でG1を制していて、仕上がりの早さと成長力を兼ね備えている。
母父ゴーストザッパーも
BCクラシック勝ち馬ということを考えると、距離が延びても面白そう。前述の
アグネスワールドはダートのマイルG1(
全日本2歳優駿)から海外スプリントG1(
アベイユドロンシャン賞、
ジュライC)まで制していて、本馬もそこまでの活躍を期待したくなる血統背景を持っている。
一方、②着に敗れた
モンドキャンノも道中で掛かるような素振りを見せていたが、持ち時計を0秒1詰めてそれまでのレコードタイムと同じ1分9秒3で走破し、負けて強しという内容だった。
母
レイズアンドコールは2歳時の
フェアリーSで3位入線(失格)した実績がある一方で、5歳夏の
アイビスSDで初めて重賞で馬券圏内に入っている。
キンシャサノキセキ産駒ということを考えても、成長力を兼ね備えていて不思議はないはず。
今回上位を占めた2頭は今後の路線で違いが出てくるかもしれないが、いずれもしても十分に期待できそう。
さらなる成長に期待したい。
ところで、今年も
1番人気の牡馬が勝てなかった。今回
モンドキャンノが②着に敗れたことで、90年以降の
函館2歳S(前身の
函館3歳Sを含む)で、
1番人気に推された牡馬は[0.5.2.9]となった。
1番人気の牝馬が[4.4.1.2]ということを考えると、その差は大きい。過去27回で開催時期も変わり、ダートで開催された年(94年)さえあったレースだが、この流れは一貫して不変。いつまで続くでしょうか?