グレンツェントはこのあと大きく羽ばたく!?
文/出川塁、写真/稲葉訓也
今年で8回目と歴史の浅い
レパードSだが、過去の勝ち馬には錚々たる名前が並ぶ。なんといってもトランセンド(09年)、ホッコータルマエ(12年)というダート王者が2頭。
JBCレディスクラシックを連覇するミラクルレジェンド(10年)がいて、
フェブラリーS②着のインカンテーション(13年)もいる。
1年近く実戦から遠ざかっているものの、アジアエクスプレス(14年)のポテンシャルはダートでも相当だし、クロスクリーガー(15年)だって不幸さえなければ間違いなく上を目指せる器だった。
そんな
出世レースとして知られる
レパードSだが、今年はこれまでに比べると若干メンバー構成が
小粒に映った。過去7回は必ず出走があり、
計7頭が③着以内に入っている
ジャパンダートダービー組は、今年は
ケイティブレイブのみ。また、同じく毎年該当馬が存在し、
計7頭が③着以内に入っている前走1000万下①着馬も見当たらない。
つまり、過去の
レパードSで主力となってきた馬が、今年はほとんどいなかったのだ。出走馬のレベルは、レースレベルに直結する。そして、レースレベルが物足りなければ、そこで上位に入ったとしても今後の活躍はあまり期待できない。春のクラシックの時期に散々言われたように今年の3歳牡馬は芝路線の選手層が分厚く、その反動でダート路線が割を食ったとしても仕方ない部分はあるのだろう。
しかし、
私の予想はいい意味で裏切られたようだ。今年の①着馬
グレンツェントの勝ち時計は1分50秒6。これまでに「1分51秒を切る時計で
レパードS①~③着」だった馬は、09年のトランセンド、スーニ、スタッドジェルラン、13年のインカンテーション、サトノプリンシパル、ケイアイレオーネ、14年のアジアエクスプレスと7頭おり、その後もオープンクラスで活躍した馬ばかり。
「良馬場で①着」に限れば、トランセンドに続く史上2頭目ということになる。
ちなみに、そのトランセンドの勝ち時計は1分49秒5。これは自身が前走の
麒麟山特別で記録し、現在も更新されていない
コースレコードと同タイム。しかも、
麒麟山特別が稍重だったのに対して
レパードSは良馬場だったのだから、いかに
驚異的なタイムだったかがわかる。
この
09年レパードSからはトランセンド以外にも、スーニ(②着)、ワンダーアキュート(⑥着)、グロリアスノア(⑨着)、シルクメビウス(5位入線⑩着降着)と計5頭もの馬が、のちにG1で連対を果たしている。この09年にはさすがに及ばないかもしれないが、今年の新潟ダートは特段に速い時計が出る状態というわけでもない。
グレンツェントの1分50秒6も信憑性のあるタイムと考えていいはずで、
このあと大きく羽ばたいたとしてもまったく不思議はない。
そして、今年の
レパードSを充実したレースに仕立てあげたのは
ケイティブレイブと
武豊騎手のコンビだ。それにしても、4F目から7F目に計時された
「12.6-12.5-12.6-12.5」というラップはどうだ。使い古された表現ではあるが、まさに精密機械。この
武豊騎手に導かれた
ケイティブレイブが
ケレン味のない逃げを打ち、1番人気馬の能力を十全に発揮して馬群を牽引したことで、レースレベルもグッと引き上げられた。
もちろん、4コーナーを回って一旦はセーフティリードを築いたかに思えた
ケイティブレイブを、クビ差しっかりと捉えた
グレンツェントをまずは讃えるべきだが、タイム差なしの②着に入った
グレンツェントにも同じぐらいの拍手を送りたい。
さらに2馬身離れた③着に
レガーロ。1枠1番からのスタートだったが、実は
レパードSの1枠は
[0.0.0.7]だった。そんなデータを知っていたのかどうかはさておき、
田辺裕信騎手は最後方まで下げてから向こう正面で大外に持ち出している。一見、距離ロスのない最内枠の利をみすみす失うようなレースにも見えるところだが、
レパードSに限ってはこれが正解。好騎乗の③着だった。
一方、苦しい展開になったのが④着の
ピットボスだ。逃げる
ケイティブレイブを果敢に負かしにいったものの、マイペースの相手を長いこと追走するのはどんな馬でも苦労するもので、結局は先に脚を失ってしまった。それでも大バテしたわけではなく、次走で巻き返してくる確率が十分にあるだろう。