鳴尾記念⑬着でも無視してはいけない存在だった
文/浅田知広、写真/森鷹史
リオオリンピックが開幕、ということで、なにか関係ある馬はいないかと
小倉記念のメンバーを見てみれば。いるじゃありませんか、
エキストラエンド(カーリング)。
「そりゃ冬季五輪だろっ!」という突っ込みが入りそうだが、一応、南半球の
リオは冬ではある。時差を考えていたとき、今はサマータイムではないことに気づくのに数分かかった。
ちなみに、昨晩行われた自転車ロード男子のネット中継では、
ガベア競馬場(おそらく)も空撮でとらえられていた。日曜晩の女子でも映るかもしれないので、気になる方はぜひチェックしていただきたい。
さて、
小倉記念である。
函館記念のときにも少し触れたが、このレースの1番人気は過去10年で
[0.3.2.5]。さらにハンデ57.5キロ以上も
[0.1.3.8]なので、レース当日の午後2時ころの段階で4.7倍の1番人気だった
ダコール(58キロ)はちょっと①着候補には据えたくないところ。そして2番人気も
[1.1.1.7]。僅差4.8倍、
サトノラーゼンが入れ替わる可能性があるにしても、2頭まとめて相手候補までにして良さそうな傾向だ。
すると、やっぱり勝つのは
エキストラエンドなのか。それとも
萩野公介選手の
金メダル絡みで、
ステイゴールド産駒アングライフェン、
リヤンドファミユ。もうひと押し、祖母
ゴールデンサッシュ、母
レクレドール(
金の鍵)の
ベルーフか。いや、暑くて予想ファクターの選定がおかしくなっている。しかし、せっかくのハンデ戦。過去2回の
小倉記念④⑦着の
ダコールや、ここ2戦
ふた桁着順の
サトノラーゼンが人気になるなら、このあたりから買ってもおもしろそうなレースなのは確かだ。
先手を奪ったのは大方の予想通り
メイショウナルト。13年にここで重賞初制覇を飾ったときは好位からのロングスパート、ともかく前から渋太さを活かしたいタイプだ。実はレース前、
五輪に関係ある馬を探したときに、クビからメダルのかわりに「なると」をかけられているシーンを想像したのだが、さすがにそりゃないわ、と。いや、逃げ馬はなんでも気になることがあれば買っておけ、という話ではあるのだが。
2番手には
クランモンタナが付け、有力どころは好位以降。最終的にそのまま2番人気だった
サトノラーゼンは枠なりに内、これを見るように1番人気の
ダコールと続いた。
前半48秒7-60秒5とややゆったりした流れで、向正面半ばでは後方から早々に3番人気の
アングライフェンがスパート。3番手の外まで進出すると、まず2番手の
クランモンタナに激しくムチが入り、先頭の
メイショウナルトも手が動き出す。これは人気2頭も含めて、
アングライフェンの後から動く馬の競馬になるかと思われた。
ところが、直線に向くと後続各馬の伸びはいずれもひと息。逆に、真っ先に沈没しそうな手応えに見えた
クランモンタナが、1馬身、1馬身半と抜け出していくではないか。人気どころがもたつく間に、追い上げてきたのは、さらに後ろにいた
エキストラエンド(!)と
ベルーフ。内外から両馬がくると、ようやく
ダコールも伸び始めたものの、ほぼ手遅れという態勢だ。結局、先に抜けた
クランモンタナが
ベルーフや
エキストラエンドの追い上げを退け、
7歳にして重賞初制覇を遂げたのだった。
ここ2年ほど連対もなかった
クランモンタナだが、一昨年は1600万勝ち直後の
新潟記念でクビ差の②着。そして昨年の
小倉記念では、大外からメンバー中最速の上がりを記録して、②着
ベルーフとは同タイムの④着まで追い上げていた。昨年も
七夕賞⑭着からの参戦だっだたけに、
鳴尾記念⑬着でも無視してはいけない存在だったと言えそうだ。
ついでに言えば。
クランモンタナの馬名の由来は「スキーリゾート地」だそうで、仮にそれを知らなくても祖母
スキーパラダイス。②着は先にも触れた
「金」系の
ベルーフ、そして③着にはカーリングの
エキストラエンド。
「夏季五輪なのに開催地は冬」なのが、結構カギを握っていたかもしれない、今年の
小倉記念だった。いやいや、ばからしいだろ、と考えるのが普通だと思うので、馬券が
ハズレたのも仕方ないことにしよう。