展開、コース適性など、すべてが勝ち馬に味方した
文/編集部(T)
現在開催中の
リオデジャネイロ・オリンピックは柔道や水泳競技が終わりを迎え、代わって陸上競技が始まっている。
そして、先日は
男子100mの予選が行われた。日本からは3選手が挑んだわけだが、その報道で
“日本勢初の9秒台へ”という煽り文句があった。それを見て、以前陸上をやっていたらしい我が妻が
「簡単に言ってくれるよねえ……」と呟いた。
調べてみると、日本から挑戦した
桐生祥秀選手は自己ベストが10秒01、
山県亮太選手は10秒06、
ケンブリッジ飛鳥選手は10秒10。それを見て、素人=自分が
「あと少しなのに」と言ったのが間違い。
「極限にタイムを詰めてきた選手にとって、さらに0秒01を詰めることの難しさ」、
「環境が違う中でいつも以上の力を発揮するのがいかに難しいか」という趣旨のことをまくし立てられた。
競馬もある意味タイムを競う競技。0秒01という極限のレベルかどうかは別にして、
0秒1を詰めるために関係者がどんな努力をしているか考えると、簡単に言ったことを謝らざるを得なくなってしまった(笑)。
そんな状況で迎えた
関屋記念。スタートでポンと出た
ピークトラムが先頭に躍り出たが、
ロサギガンティアを駆る
M.デムーロ騎手が出ムチを入れてハナを狙う。さらに、去年逃げ切った
レッドアリオンが外から一気に来て先頭へ立った。
この時点で、
前に行った馬には厳しいペースになった。
昨年は前半800m通過が47秒9だったのに対し、
今年は45秒7。いくら前が止まりづらいコースとはいえ、これではさすがに厳しい。果たして、好位にいた
ダノンリバティとその後ろに控えた
ヤングマンパワーとの一騎打ちとなり、
ヤングマンパワーがクビ差先着した。
ヤングマンパワーは昨年の
アーリントンC以来重賞2勝目。昨年の
関屋記念でも③着に入っていて、
このレースに対する適性も高かったのだろう。秋に向けては、未経験の京都の克服が課題になりそうだが、期待が高まったのは間違いないだろう。
ところで、
関屋記念は
サマーマイルシリーズ2戦目に位置づけられる。そのサマーマイルシリーズ、1戦目は
中京記念(中京)、2戦目は新潟外回り、3戦目は
京成杯オータムH(中山)で、
かなり違う性格を持ったコースを連戦しなければならない。
今年の
関屋記念でも、結果的に
中京記念で上位に入った
ピークトラム(②→⑪着)、
ケントオー(③→⑨着)は着順を落とし、
中京記念で⑤着だった
ダノンリバティがここで②着に。①着
ヤングマンパワー、③着
マジックタイム(③着)は
別路線組だった。
2012年から始まったシリーズの結果を振り返ると、
同年の中京記念で馬券圏内に入った馬は関屋記念で[0.0.0.8]。逆に12、14、15年、そして今年も
中京記念で馬券圏外に敗れた馬が
関屋記念で連対している。
今年の中京芝は時計が出るようになったが、それでも今年を含め、例年の
中京記念は1分33秒台以上での決着になっているのに対し、
関屋記念は1分31~32秒台での決着だった(今年は1分31秒8)。
オリンピックではないが、中京で上位を争える馬が新潟で上位に来るのは簡単ではない。要するに、
中京記念と
関屋記念は求められる適性が違う、と改めて結論づけたことになるのではないだろうか。
逆に、今後は
中京記念と
関屋記念を連勝するような馬が出るかもしれない。そのように性格が違うレースを勝ち切るためには、どれほどの
“強さ”が必要なのか、見てみたい気もする。たとえば、
ヤングマンパワーが
中京記念に出ていたら? それとも、
モーリスなら可能だろうか!?