ブランボヌールが母譲りの洋芝&短距離適性を発揮した
文/編集部(M)、写真/川井博
シュウジは前日売り時点から
1番人気に推され、
単勝3.5~3.7倍あたりで推移していた。人気の上昇に拍車が掛かったのは日曜日の午前のレースが始まってからで、
モレイラ騎手が札幌2Rを
アッキーで勝つと、
シュウジの単勝は
3.1倍に。同騎手が6Rを
グランドバローズで勝って
騎乗機会5連勝を飾ると、
シュウジの単勝オッズは
2倍台に突入した。
モレイラ騎手が9Rの
ニセコ特別(
カレンマタドール)で騎乗機会7連勝を飾った頃は、
シュウジの単勝オッズは
2.8~2.9倍ほど。
キーンランドCのレース直前になってさらに人気を集めて、最終的には
2.3倍となった。
シュウジの、というよりは、多分に
モレイラ騎手への人気が含まれた単勝オッズだったと思うが、これでも
キーンランドCの1番人気馬に課される壁までは越え切れなかった。
過去10年の同レースで
1番人気馬は[1.4.3.2]という成績で、勝利を収めたのは
単勝1.9倍だった11年の
カレンチャンだけ。単勝オッズが
2.0倍以上だった1番人気馬は[0.3.3.2]で勝てておらず、今年の
シュウジもこのジンクスに阻まれてしまった。
勝った
ブランボヌールは近3走が重賞で掲示板外だったが、いずれも
マイル戦で、体重も
過去最少を更新し続けていた(430kg→422kg→418kg)。今回は
3ヶ月半の休み明けだったが、ひと息入って滞在競馬で臨めるのは好材料で、過去2勝を
函館芝1200mで挙げていたから、
距離短縮&
北海道の洋芝替わりも良いに違いなかった。
好材料が目白押しで、馬体重は20kg増(438kg)と発表されたが、むしろ
それを待ってましたとばかりに人気を集めた。
ブランボヌールの単勝オッズは、
シュウジのそれを追うように下がり、最終的には
2番人気で5.6倍となった。
シュウジはその実力を認められても、
北海道の洋芝で走ったのが前走の
函館スプリントS(②着)だけで、その点がどうか?と感じていた。というのも、過去の
キーンランドC優勝馬はすべて
函館か札幌の芝で勝ったことがあったから。函館芝で2戦2勝だった
ブランボヌールが最後に差し切ったのは、ある意味で必然の帰結だったのかもしれない。
ブランボヌールの母
ルシュクルは
ダコールの姉だが、
サクラバクシンオー産駒で、中央での③着以内がすべて
芝1200m、しかも、全3勝を含めて4連対は
札幌と函館の芝1200mで記録していた。
ブランボヌールは母譲りの
洋芝適性と
短距離適性を発揮したわけだ。
今夏の北海道開催は来週で終了となるので、
ブランボヌールは次走以降、再び北海道以外で走ることになるのだろう。
ファンタジーS(0秒0差③着)や
阪神JF(0秒5差③着)でも好戦している馬だから、洋芝以外でも問題はないはず。気になるのはやはり、
馬体重の変動だろう。
ブランボヌールの2戦目以降を見ると、休み明けだった
ファンタジーS(③着)が10kg増(442kg)、同じく休み明けだった
チューリップ賞(⑭着)が2kg減(430kg)、そして、今回が20kg増(438kg)だ。それ以外は
中3~4週での臨戦で、馬体重は4kg減~10kg減(418~432kg)だった。
NHKマイルCは前述した通り、過去最少の馬体重(418kg)で、おそらく
1600mという距離も長く、
メジャーエンブレムが作り出したハイペースを先行していたから、
かなりきつかったと思われる。それでも0秒3差(⑥着)に粘っていて、
シュウジ(⑫着)にも先着していた。
ブランボヌールの
身体能力の高さは疑う余地がなく、得意のスプリント戦を万全な態勢で臨めればどこまで戦えるか、まだ底知れない。
これまでの
キーンランドC優勝馬は、いずれも同年の
スプリンターズSに出走していて[1.1.1.7]という成績。連勝したのは11年の
カレンチャンで、②着となったのは09年の
ビービーガルダン、③着となったのは昨年の
ウキヨノカゼだ。
昨年の
ウキヨノカゼは
キーンランドC勝ちが8番人気だったが、09年の
ビービーガルダンは
2番人気、11年の
カレンチャンは
1番人気での優勝だった。
キーンランドCを
1~2番人気で勝利して同年の
スプリンターズSに出走した馬は過去に3頭いて、09年
ビービーガルダン(②着)、10年
ワンカラット(⑤着)、11年
カレンチャン(①着)という成績だ。
ブランボヌールも、今回、
2番人気に支持されて優勝したことが好結果につながる可能性はありそうだ。